「運がいい人」になるための小さな習慣(サチンチョードリー著)は、成功者たちの思考と行動の共通点と「小さな習慣」を明らかにした書籍です。 『世界の成功者が実践するたった1分のルール』というサブタイトルが付いています。#運がいい人
『「運がいい人」になるための小さな習慣 世界の成功者が実践するたった1分のルール』は、実業家のサチン・チョードリーさんが、アスコムから上梓した書籍です。
サチン・チョードリーさんは1973年にニューデリーで生まれ、バブルの頃に来日。
1996年に再来日し、電話回線の飛び込み営業をするも、鳴かず飛ばず。
預金残高が3万円になり精神的にギリギリのところまで追い込まれたものの、印僑大富豪から「ちょっとだけ変わればうまくいく」との教えを受けたことが大きな転機になり、現在は複数のビジネスを手掛け、法人/個人向けの経営コンサルティング、講演・セミナー事業を行っています。
では、その「ちょっとだけ」とは何か。
詳しく紹介されているのが本書です。
たった1分の「小さな習慣」で人生が変わる
本書は、まずプロローグでこう述べています。
多くの人は、「運」を偶然のものとしてとらえ、自らの力で「運のいい人」になろうとしません。
しかし、サチン・チョードリーさんは、「運とは、自分で高められるもの」と断言しています。
成功している人たちに共通して言えるのは、皆「自らの思考と行動で運が良くなる」ことを正確に理解していると。
具体的には、こう枚挙されています。
- 彼らは常に「可能思考」で考えます。
困難なことはその理由を「因数分解」して「どうすればできるのか」を考え、物事を動かしていきます。 - 彼らは「コンフォートゾーン」を嫌います
自分の慣れ親しんだスタイルを繰り返すよりも、新しいことに挑戦することを優先します。 - 彼らが何よりも重視するのは行動です。
まず行動し、走りながら考えるのです。
そして、ヒンズー教の格言を引いています。
心が変われば態度が変わる。態度が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる。
つまり、たった1分の「小さな習慣」を積み重ねることで、心から仕事を楽しみ、お金の不安が消え、笑顔の絶えない過程を築く、理想的な人生を手に入れられるというのです。
同時に意識したのは、古くからインドに伝わる「ジュガール」といいます。
ジュガールは、インド人の心の底流を流れるものであり、日本の「禅」を一言で説明することができないように、簡単に説明はできないものの、サチン・チョードリーさんは、7つに集約されるとしています。
- 少ない力で多くの利益を得る
- 自分の枠を超えた発想で考え、行動する
- やわらか頭で考えてピンチをチャンスにする
- シンプルに考える
- 自分を抑えつけない
- セルフエイカシー(自己効力感)を大事に育てる
そして、サチン・チョードリーさんが実践する「小さな習慣」を、本書で開陳しています。
詳しくは本書をご覧いただくとして、目次はこうなっています。
“第1章
「可能思考」がすべてのカギ
~できることにフォーカスすれば道が開ける~
「自分は運がいい」と1日に5回言う
「失敗した未来」をイメージし失うものを考えてみる
自分一人で解決できないときは迷わずに人を頼る
「○○○しなきゃ」を「○○○したい!」に置き換える
ネガティブを断捨離する
第2章
「コンフォートゾーン」の外へ
~いつも同じ仲間と飲んでいる人は成長しない~
気になるイベントを見つけたら迷わず参加ボタンを押す
「いつものメンツ」との飲み会や集まりを減らす
初めての人と飲みに行く約束をする
若い人のスマホを見せてもらう
第3章
「PDCA」より「DCAP」
~早く行動した人だけが結果を出す~
迷ったときはすべて「YES」と答える
大きなゴールを設定し「小さな一歩」を書きだす
アポイントはその場でとりSNSでグループを作る
ひとつに集中せず「いい話」にはすぐに飛びつく
第4章
「成功環境」が運を呼ぶ
~成功の絶対法則は成功者の模倣~
自分が憧れ、目指す人物をランチに誘う
自分の強みを誰かに聞く
ホテルのラウンジでミーティングをする
SNSを使って相手の感情を知り効果的なタイミングでメッセージ
SNSでのアウトプットは相手のメリットを意識する
第5章
「お金への罪悪感」を捨てる
~お金の神様に愛されるには~
出費をリストとして書き出し可視化する
お金で「時間」と「空間」を買う意識を持つ
コンビニの募金箱に釣銭を入れる
第6章
自分の「ファン」をつくる
~まわりが応援団になれば、すべてが好転する~
人と会う前には必ず鏡を見る
相手の服装などから「共通言語」を見つける
相手のことを好きになる
「ギブ&ギブ&ギブ」で与え続ける
褒め言葉は事実の3割増しに盛る
第7章
流されそうな日常を「ルール化」する
~自分との約束で無意識を意識に変える~
食事のルーティーンを「1日3食」から変えてみる
起床・就寝の時間を手帳やスマホに書き記す
30分早く起き、うがい、シャワー、体重測定を朝の3点セットに
第8章
「神様」「ご先祖様」を味方にする
~捧げるのは祈りではなく感謝~
神社の前を通るときは足を止めて一礼する
お墓の前でも足を止めその家族や子孫の幸福を願う
太陽にも毎朝の感謝を捧げる
本書は、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
「清貧」を良しとする日本人文化の弊害
すでにいろいろな方がレビューを書かれているので、今更私が改めてご紹介することもほとんどないのですが、私が個人的に印象深かったのは、『運がいい人は「お金への罪悪感」を捨てる』(第5章)についてです。
要するに、日本人は「『儲ける』ことは悪いことだという誤解」があるという指摘です。
だから、機会の損失につながると。
もっともな指摘だと思いました。
お金お金と言うのは、下品でがめついこと。
私利私欲を捨て、貧しくても正しい行いに邁進することこそが美しい、というのが多くの日本人の好む文化です。
お金のことなんか口にしちゃいけない、として、一方では1円でも安いスーパーを探すセコイ現実を甘受している大衆。
お金を稼ぐことについて、そのやり方によっては、「お金のために魂まで売りたくない」なんて言い方もありますが、なんでそんなに悪し様に表現するのか、全く共鳴できません。
そもそも、貨幣というのは経済学的に言えば「貸し借りの情報」であり、価格は市場的な価値を示すものですから、いずれにしても、そこにいいとか悪いとか意味はありません。
つまり、「お金への罪悪感」は、その人が勝手に感じている主観に過ぎません。
私はむしろ、お金の話を後景に退ける価値観を美談にしてはならないと思います。
考えても見てください。
バブル以来の緊縮財政と、度重なる消費税増税で、日本はどうなりましたか。
21世紀に入り、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなど先進国は例外なくGDPを伸ばしている中で、日本だけが20年間ほぼ横ばい。
労働者の社会保険料負担(対GDP比)の国際比較を見ると、同様に主要国は労働者の負担が横ばいか減っているのに、日本だけ社会保険料の負担が増え続けています。
日本だけは、賃下げなのに社会保険料は上がるということです。
この凋落をもって、すでに日本は先進国ではない、という指摘もあります。
かつて、世界第2位のGNP/GDPを誇った国が……。
これでも、政府に疑問も憤りもいだかない日本国民も、たいがいだと思いますよ。
この間、為政者はなんと言って国民を耐えさせたでしょうか。
小泉純一郎さんは「痛みに耐えろ」といいましたが、貴乃花の優勝時に「痛みに耐えて感動した」など、筋違いのこじつけまで行って、自分の言説にポピュラリティを得ようとしました。
お金は出さずに社会保障費などはもっと削ると。
可処分所得が減るという「痛み」に耐えなさいと。
言ってみれば戦前の「欲しがりません、勝つまでは」じゃないですか。
安倍晋三政権も、積極財政派に理解あるふりをしながら、結局その人たちを裏切り2度も消費税を増税。
プライマリーバランス黒字化のために「最大限歳出を削減する」と宣言していましたが、これは「痛みに耐えろ」と結局同じです。
緊縮財政に対して、積極財政派は、MMTという理論を根拠に、財政破綻などしないことと、国の経済はスペンディングファーストで回っていることを述べています。
「プライマリーバランスを黒字化などシたら、逆に企業や個人の貨幣がなくなってしまう。税収が大切というのなら、まずは財政出動で経済を回して景気を良くしてから税収で回収するのが道理であり、緊縮財政などシたら、企業も個人もカネをますます出さなくなって経済が冷え込むではないか」と、もっともな批判をしています。
ところが、肝心の大衆(の一部)が、積極財政を「バラマキ」と悪しざまに言うのは驚きました。
ちょっと、ちょっと。国民の財布にばらまいて何が悪いの?
そこにもっともな理由をつけるために、「インフレになる」と懸念を表明しているのですが、まってくださいよ。
コロナ対策で、200兆円以上の補正予算を組んでいるのに、インフレになりましたか。
デフレはびくともしなかったでしょう。
そもそも、政府と日本銀行の政策協定では、インフレ率2%というオフィシャルな目標値が2013年に明らかにされており、これは現在の岸田内閣でも継承されると1月26日の政府答弁で明らかになったばかりです。
インフレになってもいいのです。
もとい、「弱インフレ」にしないと経済が回っていかないのです。
にもかかわらず、「バラマキ」と唾棄する根底には、カネは汗水垂らして得るものであって、それ以外のお金は「悪いお金だ」という考えが一部国民にはあるのかも知れません。
まあ、この先、何十年デフレが続こうが、日本が先進国から転落しようが、企業・商店がバタバタつぶれようが、消費税がもっと上がろうが、きっと暴動は起こらないでしょうね。
それどころか「高齢化社会なんだから痛みに耐えようね」と、逆に為政者に理解を示したりして。
もちろん、国民のすべてが、そんな無知なドMではないでしょうから、そうではない人と付き合わないと、運気が落ちるということでしょう。
本書は、おすすめの一冊です。
以上、「運がいい人」になるための小さな習慣(サチンチョードリー著)は、成功者たちの思考と行動の共通点と「小さな習慣」を明らかにした、でした。
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