【ほぼ漫画】億り人のひきこもり生活(内向型の頂点著)Kindle版は、40代で「億り人」になって早期リタイアした人の自叙伝です。お金の心配がなくなった内向型人間である著者の、存分にひきこもれる生活を、イラストと文章によるフルカラーで公開しています。
本書は、人と関わるのが苦手で、コンビニのレジのような同時タスクのバイトもできず、学歴は商業高校卒で、そしておそらくは結婚していない(結婚生活の叙述がない)著者の、FIRE達成までの日々です。
FIRE(ファイア)とは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った造語で、資産運用によって経済的な自立を達成し、早期に仕事をリタイアするライフスタイルを指します。
億り人とは、株やFX、暗号資産等の取引で資産1億円を築いた投資家を指します。
社会の底辺にいた著者が、逃げるような転職を繰り返した末に、以前から興味があった業務システムの仕事に行き着き成功。
結局それすらも逃げましたが、そのときに稼いだお金を元手に、株やFXで資産を増やした、という話です。
「読者の皆さんに「こんなに緩い生き方でも人生は大丈夫なんだ」と思っていただければ幸いです。」
「快を得るよりも、不快を避けることを第一にした生活を送ってます。」
「人間関係のしがらみを避けるためにどこのコミュニティにも参加していないので、社会と関わる手段として本を書いてます。」
とのことです。
逃げまくっても、ヤることはヤッていた
『億り人のひきこもり生活』追加用の絵を描きました
この臆病さでも自分に失望しなかったので
社会人生活を勝ち逃げできました pic.twitter.com/gZZOF06HBx
— 内向型の頂点@平穏FIRE (@fuantensyoku) October 5, 2024
著者は学校時代、授業で細かい疑問ばかり浮かんで頭に入らず、テストは常に低い点数。
商業高校では、いろいろな資格を取れる機会を与えてくれたのに、取ったのは珠算4級だけ。
卒業後、受験戦争からは逃げ出して、無試験の専門学校(電子分野)に。
まあ、無試験ですから、それなりのことしかやらないモラトリアムだったようです。
就職の氷河期だったことで、これも逃げて、最初から就活は一切せず。
フリーターになっても、「合わない仕事」に遭遇することが多く、そのたびに逃げ出しました。
生活費が底をつくまで、はたらきたくないタイプだったそうです。
それでも、自分には何かしら才能があると思いこむようにして、可能性を探し続けたとか。
いかにもヌルそうですが、実はやることはヤってました。
歴史書や、昔の実業家などの本を読み、セブン-イレブン、トヨタ、マクドナルドなどの業務設計が好きで、趣味で関連書籍を読んでいたそうです。
これが著者を化けさせました。
ネット広告の会社で、広告の数値データ(ユーザーの行動を示すもの)の分析が性に合っていて、しかも一連の情報を、マイクロソフトアクセスとエクセルでデータベース化。
それが認められ、権限を与えられて業務フローを作れる仕事に。ベンチャー企業なので実績はすぐに報酬に反映しました。
そこから、自分にも自信がつき、人とも関わるようになりましたが、「搾取してくる人とは関わらず、相互で得意なことを交換して共存共栄できる人と関係を築きました」と書かれています。
要するに、付き合う人を選べ、ということです。
さらっと書かれていますが、このように、ヌルいふりして、成功者の教科書のような話が出てきます。
おそらくは、私もご紹介したことがありますが、トヨタの「自動化」に心を惹かれたようで、社内業務を自動化するためのシステム構築を次々行ったようです。
そして、共同出資で会社を立ち上げ、ある程度軌道に乗ると、また逃げ出します。
自分は、0から1を作り出すのは得意でも、そこからさらに発展させていくタイプではないとわかっているので、退くのも速かったそうです。
そして、溜まったお金を投資に回して、「億り人」になりました。
かなり端折ってご紹介しているので、詳細は本書をご覧ください。
Kindle読み放題リストに入っています。
「逃げる」ことの功罪
著者は、自分に適していないとわかると、次々転職を繰り返したそうです。
「逃げる」ことは、新しいステージをもとめる、むしろ積極的な営みだと言います。
「逃げる」ことを繰り返して、やっと適職を見つけたと言います。
私も、さんざん「トンヅラ」の経験はあるので、「逃げるにしかず」の良さはわかります。
ことと次第によっては、明らかに逃げたほうがいいことだってありますからね。
ただし、やっぱり物事には「功罪」というものがあり、「トンヅラ」は「功」だけでなく「罪」もあります。
周囲に迷惑をかける⇒巡り巡って自分の世間を狭くする、ということもありますが、やっぱり「逃げる」ことの最大の「罪」は、そのことと向き合わないことで、「反省し学習する機会を自ら捨てる」ことだと思います。
つまり、同じ失敗をまた繰り返す可能性を残すということです。
それは、限られた人生において時間と機会を有効に使ったことにはなりません。
著者は、たまたま社内業務を自動化するためのシステム構築に興味があり、それを活かせる職場に行き着いたから成功したのであり、そうでない人が同じことをしても、逃げるだけの人生になっているかもしれません。
著者はあくまでも、必然(興味)と偶然(それを活かす職場)が合致して、成功に結びついたのです。
風まかせの人生で、不満を感じたら、後ろ足で砂をかけて逃げながら生涯を過ごすんだ、と腹をくくっているのならともかくとして、そうでない場合、やはりどこかで理不尽でも歯を食いしばることも必要なんだろうなとは思っています。
著者のように、自覚的かどうかに関わらず、独自の準備があれば話は別ですけどね。
みなさんは、この「億り人」の生き方を、いかが思われますか。