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あやしい求人広告、応募したらこうなった。(多田文明著、文庫ぎんが堂)は、実体験による「ビジネスのカラクリ」をルポする

あやしい求人広告、応募したらこうなった。(多田文明著、文庫ぎんが堂)は、実体験による「ビジネスのカラクリ」をルポする

あやしい求人広告、応募したらこうなった。(多田文明著、文庫ぎんが堂)は、実体験による「ビジネスのカラクリ」をルポしています。着ぐるみバイトや芸能オーディションなどの実態を暴露。人気バイトの裏側「実体験」ルポ、というサブタイトルがついています。

『あやしい求人広告、応募したらこうなった。』は、多田文明さんが文庫ぎんが堂から上梓しています。

ネットでは、しばしば面白そうな広告を見かけますよね。

テレビ・ラジオで話題のキャッチセールス評論家・多田文明さんが、取材とあわよくば実益を兼ねて、「おいしい仕事」に自分から応募して、あえて罠にハマった話です。

軽作業、警備員、清掃員、行政書士補助作業、チラシ配り、着ぐるみバイト、芸能オーディション、コールセンター…

どれも見たことある「求人」ですよね。

その「ビジネスのカラクリ」を完全解明しています!

本書は2023年5月4日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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報酬を得るための応募なのに逆にカネを出す

著者が応募した「あやしい求人広告」を列挙してみます。

軽作業、警備員、マンション清掃員、行政書士補助作業、チラシ配り、着ぐるみバイト、芸能エキストラ、コールセンター、ファーストフード店……などです。

チラシ配りまでは、定年後の第二の人生で選びそうな仕事ですよね。

でも結構きついですね。

少しネタバレ御免させていただきますが、たとえば、着ぐるみバイトですが、重い着ぐるみ自体、着続けることは大変です。

しかも著者のしごと場はパチンコ店。

パチンコで負けた客から、「殴っていい?」なんて言われるそうです。

著者は殴られなかったみたいですが、そうやって聞いてくるうちは良い方で、問答無用で殴ってくる客もいそうですよね。

それでもね、広告の内容よりも仕事がきつかったとかなら、まだましです。

著者は、「ただでさえお金に困っている求職者から、なけなしの金をかすめ取ろうとする悪徳業者」を経験しているのです。

仕事ですから、働いてお金を稼ぐわけですよね。

ところが、稼ぐために応募したのに、逆にお金をとられてしまうのです。

オーディション商法と言って、芸能エキストラに応募すると、オーディションが必要だから、レッスンが必要だからといって金を取るというのです。

私は、この著者より少しだけ歳上なので、このくだりを読んだとき、芸能界のロッキード「大原みどり事件」を思い出してしまいました。

歌手として売り出してャっからといって、どんどん金を搾り取られたわけです。

それが莫大な額になったので社会的な問題になりましたが、たぶん大なり小なりあるんじゃないかな。

私の経験では、損保会社で働いていたときのことなんですけどね。

ある売出中の女子プロレスラーが、レコードを出したんです。

全日本女子プロレスは、レスラーに歌を歌わせることを条件にテレビ中継を行ったからです。

すると、そこの実家では、積立の火災保険を「娘のレコーディングでお金がかかる」という理由で解約していました。

どうしてお金がかかるのか、プロモーションか、販売したレコードの何割かを買い取ったのか、そのへんはわかりません。

ただ、少なくともいえるのは、仕事としてレコーディングするのにどうしてお金を払わなくちゃならないのか、ということですよね。

まあ、彼女の場合には、普段はレスラーとして報酬をもらっていて、そういうこともあったのでしょうが、これから働こうという人に、カネを出せというのはちょっと問題ですね。

しかも、ここが最大の問題ですが、オーディションだけやって、肝心の仕事(報酬)がないとかね。

ハローワークや求人情報誌、ネット系の求人募集には、想像を絶する〝深い闇〟が隠されている。本書に記した私の体験談を「どうせ本だから大げさに書いているんだろう」と思う方がいるかもしれない。しかし、これはまぎれもない〝現実〟である。

と、本書のまえがきには書かれています。

事務所を渡り歩いて仕事しまくったのは昔の話か

本書の中で、私が一番興味深かったのは、「芸能エキストラ」です。

多田文明さんは、エキストラのベテランだそうですが、私も20代の頃、ヤッてましたね。

1980年代です。

たしか、僅かな(1200円ぐらい)登録料は払いましたが、きちんと仕事は来ていたので、「怪しい仕事」ではなかったと思います。

ま、「やすい仕事」ではありましたけどね(笑)

媒体は忘れましたが、新聞の折込広告のモデルなどを登録する事務所が、その始まりだったですね。

そこで最初に来た仕事が、『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』という映画のエキストラでした。

ただ、エキストラというには、多少演技を要求されまして。

その時は、食堂で飯を食う労働者役だったんですが、尾藤イサオさんが前にいて、それに驚く芝居を求められたんですけど、一緒に労働者役だった人のフォローもあって、なんとか乗り切ったんです。

で、その人が、「この仕事をするんなら、専門の事務所の方がいいよ、一緒にやろうよ」と言って、その人が仕事をしていたクロキプロというところを紹介してくれたんですね。

で、さっそく、1200円払って登録したところ、最初に来た仕事が、また『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』(笑)。

ま、当然違う場面の違う役なんですが、これもまた小芝居の必要な、エキストラというより端役ですね。

クロキプロは調布にあったので、日活撮影所の仕事が多かったのですが、当時私は、ブラブラしている身だったので、わりとどんな時間帯でも仕事を請けていましたから、そうした小芝居の必要な仕事が多くて、ラーメン屋の客とか、通行人とか、そういう典型的なエキストラは、むしろ記憶に無いほどですね。

そして、仕事を重ねるうち、「クロキプロは映画が多いけど、テレビドラマをヤッてみたいな」とか生意気なことを考えるようになり、鳳プロとか、白鳥座とか、今度はそちらの方で仕事をするようになりました。

繰り返しますが、仕事は結構来ましたから、決してインチキではなかったですね。

だって、今挙げた事務所って、全部メインタイトルのとき出演者のところで出でくる事務所でしょ?

ですから、昨今、bsとかcsとかDVDとかで、過去のテレビドラマ見ていると、同じ事務所で一緒にヤッていた人が結構でいるので、懐かしい再会をするような気持ちで見ていますよ。

いい思い出ということです。

でも、本書を見ると、もうそういうことはないのかもしれないですね。

どことはいいませんが、「シニアタレント募集」とかのコピーにつられて応募しても、オーディション代とかとられて、それでいて仕事は来ない、というようなめにあいそうです。

私はそうした事務所にいた頃、そんなお金は一銭も払わなかったですよ。

そういう話もなかったし。

エキストラというより、小芝居を求める端役の仕事が回ってきたということは、人手も不足していたのでしょうしね。

ある現場で仕事を終えると、ADから「明日空いてない?」とか聞かれるんですよ。

正直、え、私ごときにスケジュールの確認なんてするの?と思ってびっくりしてしまい、どう答えていいかわからないでいると、「事務所に聞いてみないとわからないよね」と、逆に向こうから収めてくれたりしてね。

「事務所にスケジュール確認」なんて、芸能人になった気分でね、なんか嬉しくて(笑)

そういう楽しい思い出しかないから、今、かりにやってみたいと思っても応募しないほうがいいなと思いました。

嫌な思いして、そういう過去の「青春の楽しい思い出」まで壊したくないしね。

今、企業も終身その人を面倒見るということから、足りないところは副業していいから自分で補ってください、という時代になりましたよね。

そこで、世間知らずの人が、騙す求人に引っかかるというのは、これからも増えそうです。

でもまあ、おいしい話には気をつけよう、ということでしょう。

そのための情報として、本書を読まれることをおすすめします。

以上、あやしい求人広告、応募したらこうなった。(多田文明著、文庫ぎんが堂)は、実体験による「ビジネスのカラクリ」をルポする、でした。


あやしい求人広告、応募したらこうなった。 人気バイトの裏側「実体験」ルポ (文庫ぎんが堂) – 多田文明

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