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『あらゆる領収書は経費で落とせる』 (大村次郎著、中公新書ラクレ)は、交際費や福利厚生費など経費についの解説本です

『あらゆる領収書は経費で落とせる』 (大村次郎著、中公新書ラクレ)は、交際費や福利厚生費など経費についの解説本です

『あらゆる領収書は経費で落とせる』 (大村次郎著、中公新書ラクレ)は、交際費や福利厚生費など経費についの解説本です。法人より個人事業主のほうが交際費損金算入で有利である、申告の不正は税務署側に立証責任がある、といったことが書かれています。

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法人よりも個人事業のほうが交際費損金算入で有利

『あらゆる領収書は経費で落とせる』(中公新書ラクレ)という書籍について今回は書いてみます。

前回の記事で書いた、『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』 (宝島社新書) と同じ、元国税調査官の大村大次郎氏による実用書です。

『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』(大村大次郎著、宝島社)は、元国税調査官が領収書から税金と経理のウラを語ります
『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』(大村大次郎著、宝島社)は、元国税調査官が領収書から税金と経理のウラを語ります。「お布施」は経理上も不透明で税金もかかりません。「住職の80%程度は脱税をしている」と本書では指摘しています。

同書の記事の中で、「領収書は「上様」やレシートではダメだといわれますが、実際には「上様」でも使えるし、レシートどころかメモでも構わない」と引用しました。

『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』 と『あらゆる領収書は経費で落とせる』は重複しているところもありますが、後者はタイトルどおり、「経費」についてとくに詳しく書かれています。

まずは目次のご紹介です。

自分の食費を経費で落とす―あらゆる生活費は「福利厚生費」で落とせる
最新型パソコンも経費で落とす―「業務で使っているか」がポイント
飲み代を経費で落とす―「接待交際費」と「会議費」をフルに活用する
確定申告の真実―確定申告―種類と締切の真実
家賃を経費で落とす―家賃を最大限、経費計上する方法
旅行費用を経費で落とす―「業務の旅行」と「視察旅行」
どうする?あて名間違いの領収書―領収書のあて名は上様でもOK
ニセ領収書は暴かれる―税務署はニセ領収書をこうして見破る!
領収書をなくしたら―領収書は「絶対に必要」なのか
キャバクラ代を経費で落とす(愛人手当編;家賃編;大金編)

『あらゆる領収書は経費で落とせる』は、交際費や福利厚生費を有効に使う啓蒙から始まっています。

大村大次郎氏は、法人(会社)と個人事業の違いは法務局に登記しているかどうかだけであるのに、交際費の決まりが違っていることを指摘。

大企業は交際費の損金処理が認められていないし中小企業も金額の上限があるが、個人事業にはその枠がないことを教えてくれています。

そして、一定の手続きと口実が成立すれば、家計消費をそれらに計上できることを説明しています。

ここを読んだとき、私は故・青木雄二氏の漫画『ナニワ金融道』を思い出しました。

何の話かは忘れましたが、ある産廃業者が、大きな敷地に立派な建物を構えてしっかりと事業を営んでいるのに、そこは会社組織になっていない。

産廃業者は、個人事業の方がいい(儲かる?)というようなことを話していました。

その理由は漫画にかかれていなかったのですが、交際費の使い方もその理由のひとつだったのかもしれません。

「あらゆる領収書は経費で落とせる」に話を戻すと、キャ×バクラ代や、キャ×バクラ×嬢にお手当てを出す費用は、税務上どのような手続きと口実で「経費」にできるか、というようなことも書いてあります。

ネタバレになりますが、その「お手当て」の名目は、役員報酬、業務委託、情報提供料などがありうると書かれています。私は、あるとすれば業務委託だろうなと思いました。

役員報酬で支払うには当然ですが役員にしなければなりません。

それには登記をしなければなりませんから、いちいち株主総会を開かなければなりませんし、そもそも役員賞与は節税になりません。

かといって、情報提供という具体的な名目では「費用」になってしまいますから、客観的な証拠を残さなければなりません(かくかくしかじかのことで○○は××だという情報を得た、というような記録が必要)。

それに比べれば、業務委託なら適当な委託内容を決めれば、あとは定額でまとまったお金を渡せるし、事業が危なくなったらいつでも打ち切れます。

ただ、いずれにしても個人商店ならともかく、同族でない会社でそれはなかなか難しいことですから、まあ書籍の目次構成を面白くするための話であると私は読みました。

領収書が、個人名や「上様」でも、レシートでも、メモでも有効という上掲の引用は本書にも書かれています。

そうしたことは、これまでに上梓されていた同種の実用書にもある程度書かれていたことなので、このジャンルの書籍をたくさん読まれている方にとっては、とくに目新しさはないかもしれません。

が、『あらゆる領収書は経費で落とせる』の真骨頂は、そうした雑多なTipsの紹介にとどまるのではなく、税金の申告についての不正は、挙証責任が納税者ではなく税務署であることをつねに強調している点にあります。

申告の不正は税務署が立証しなければならない

たとえば、税務署に呼ばれて、「この費用はおかしい」と言われたとき、そこで「そうですね、おかしいですね」と相手の言いなりになって申告しなおす必要はないと大村大次郎さんはいいます。

どう「おかしい」のかを立証する責任は法的に税務署側にある。

だから納税者は、申告に嘘さえなければ、額が大きかろうが、使い古しの紙切れに書かれた説得力のない出金伝票だろうが、何もびくびく怖がることはない、と教えてくれています。

税務署というと、怖いところという世間のイメージがあるから、そんなことはないのだ、少なくともその怖さに負けて言いなりになることはないということを法的根拠つきで教えてくれているわけです。

たいへんためになる話です。

税務署員は怖くない

ただ、中小零細の事業者で確定申告経験者ならご存知と思いますが、税務署員は決して怖くありません。

私も確定申告をしますが、30年以上申告していて、書類の書き方が雑で呼び出されたことも2度や3度ではないのに、怖い税務署員に当たったことなど1度もありません。

それは考えてみれば当然のことで、税務署は中小零細の事業者なんか修正申告や追徴課税させてもたかが知れているので、費用対効果がないからいちいち細かくつっこみません。

ですが、ときどきブログを見ていると、ちょっととんがった女性の起業者などに、税務署員が意地悪に追及してきたと書いているものがあります。

その人がいくら稼いでいるのかは知りませんが、たいていは、そういう現実を知らない新人起業者の「見栄」だと私は思っています(笑)

巷間イメージが定着している「怖い税務署員」を想定し、“それに対峙するアタシは起業者だからこそ、あなたにそんな経験ないでしょ”というような自己陶酔も含んだ見栄。

それほど売れているとも思えない漫画家が、締め切りと格闘しているなんて話と同類のものでしょう。

私も、1度は本当に「税務署員の意地悪な追及」を受けるほど儲かってみたいものです。わはは

以上、『あらゆる領収書は経費で落とせる』 (大村次郎著、中公新書ラクレ)は、交際費や福利厚生費など経費についの解説本です、でした。


あらゆる領収書は経費で落とせる (中公新書ラクレ) – 大村 大次郎


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