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どぶ 1~4(土山しげる著、日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話

どぶ 1~4(土山しげる著、日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話

どぶ 1~4(土山しげる著、日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話を描いています。サラリーマン社会とは正反対の価値観の中で、営業職時代に培った企画力で何度も来る逆境を跳ね返します。

『どぶ』(全4巻)は、土山しげるさんが、日本文芸社から上梓しました。

長年勤めた会社を、部下の謀議でリストラされた主人公・岩田政次が、妻からも一方的に離婚され、退職金までだまし取られてしまい、人生のどん底に堕ちてしまいます。

しかし、ボーイから始めた風俗業界で、前職の営業も生かして次第にのし上がっていきます。

生き馬の目を抜く業界のため、途中何度も裏切られたり、試練が与えられたりしますが、営業職時代に培った企画力でそれらを乗り越えていく話です。

この世界には、前に進むか倒れるかしかないのです。

つまり、現状に満足してぼんやりしていたら、新興勢力に取って代わられるか、もしくは内部からの裏切りにあってしまうか、する世界です。

まあ、どんな世界でも大なり小なりそうかもしれませんが、この業界は、現場のスタッフの引き抜きが日常茶飯ですから、いずれにしてもずーっと同じ状態で安穏としていられるわけではありません。

仏教で言う諸行無常の世界です。

カラー版イチから知りたい!仏教の本(大田由紀江著、西東社)は、仏教の歴史、教え、宗派、名僧、古寺など仏教の百科事典です
カラー版イチから知りたい!仏教の本(大田由紀江著、西東社)は、仏教の歴史、教え、宗派、名僧、古寺など仏教の百科事典です。仏教のそもそも論について解説している書籍は多々ありますが、本書はもっともわかりやすく詳しい網羅的一冊です。

次々新しいアイデアを出して事業を拡大したり、新しい事業に踏み出したり、自分も変化していかなけければならないのです。

『どぶ』というタイトルは、まさにそのような壮絶な世界をあらわしています。

土山しげるさんの作品としては、『喰王スペシャル』もピンク産業が舞台でしたが、そのときはあくまで食べ物がメインテーマ。

今回は、まさにピンク産業そのものがテーマです。

本作は2023年2月19日現佐、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

第1話から見ていきましょう。

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裏切り、監視など当たり前の世界

部下から、「主任、おごりますよって、スカッと拔きましょ」といわれ、「アホ。部下に奢られて抜けるか。君らの分も出したる」と言ってしまった岩田政次。

あるピンサロ(ピンクサロン)に行きます。

早めに店から出ていた部下。

岩田政次自身は、たんなる部下サービスのつもりで、とくに感慨もなく、女の子の名刺もその場で破り捨ててしまいました。

翌日、人事課に呼ばれた岩田政次は、ピンサロに行った写真を突きつけられます。

課から1人、リストラをするというので、部下にはめられたのです。

そして、給料につられて、よりによってそのピンクサロンで働くことに。

しかし、募集のときの金額と、実際は違ったのですが。

妻は、事情を知り、実家に帰ってしまいました。

夫婦なんて、脆いもんですね。子どももいるのにさ。

わずかな退職金は、ピンサロの同僚にだまし取られてしまいました。

もうどうでもよくなっていたとき、ピンサロ嬢のサヤに気に入られます。

そして、肉体関係に。

「おっちゃん。あんた、本当の優しさ、もってはる男や。あんたみたいな男が、店長ヤッてくれたら、女の子もみんな喜んで働くで」

しかし、そのときは、あまり気乗りがしなかった岩田。

「俺が店長やと?こんなドブみたいな世界でなんで俺が……。でも……」

そう言われて悪い気はしません。

このあたりから、少しずつ、岩田はその気になってきます。

店は、何店舗も手広く経営するオーナーのほか、そのうち数店舗ずつを監督する営業部長がいます。

岩田の働く店は、岸辺営業部長の管轄。

店長のイビリにも負けずに頑張る姿に、見どころがあると思った岸辺営業部長は、ある仕掛けをします。

店にかかってきた応募の電話で、岸辺営業部長は、岩田に面談をさせます。

喫茶店での面談。

メガネを掛けた地味な女性は、26歳、バツ1で子ども1人といいます。

岩田は仕事の説明をしますが、竿をくわえるという、肝心のことが言えずにいると、後ろでこっそり聞いていた岸辺営業部長が、「あんた、見ず知らずの男のチンポ、しゃぶることできるか?」と直截に聞きます。

いったんは、店を出ていった彼女は結局、働くことになります。

岸辺営業部長は、「彼女はあんたに預けるから、彼女をうまく使って稼いで店長になれ」と言います。

岩田もその気になります。

が、実は彼女は、岩田の監視役に、岸辺営業部長は彼女をつかせたのでした。

このへん、怖いですね。

上司も、どんな策略を巡らせているかわからない世界です。

どういうことか。

警察のガサ入れがある、ということを、別のピンサロ譲と喧嘩して店をやめたサヤが、こっそり岩田に教えてくれました。

というより、サヤが、その別のピンサロ嬢が未成年であることや、本番もヤッてることを警察に垂れ込んだのでしょう。

岩田はその情報を、上層部に報告しませんでした。

自分を裏切った部下をその時、店に客として引き入れ、部下を逮捕させることで報復するつもりだったからです。

だから、ガサ入れで逮捕者を出してもらわにければいけなかったのです。

ただ、「地味な女性」にだけは、ガサ入れの時刻には店を離れるようにこっそり教えました。

そして、予定通り警察が入り、店は営業停止になりました。

といっても、「その店」が停止になるだけで、おなじ運営会社で、名前を変えて「新規開店」するだけの話ですが、それでも数日間、休まなければならないため、オーナーに損失は発生します。

「地味な女性」は、応募自体は本当でしたが、岸辺営業部長が試しに岩田の竿をしゃぶらせたときに、岩田の出した「赤ちゃんの素」を、テッシュにプッと吐き出す仕草をしたので、彼女が素人ではない、この道は初めてではないことを見抜き、岩田の見張り役をするように彼女に言い含めたのです。

「娑婆っ気が抜けてないのね。仏心なんか出していたら、この世界じゃ生きていけないってこと」

彼女はそのことを岩田に教えると、オーナーの使いの者が、岩田をオーオーナーのもとへ連れていきました。

油断も隙もないストーリーはまだまだ続きます。

こんな感じで、失敗を繰り返しながらも、次第に岩田はのし上がっていきます。

どん底から這い上がるモチーフ

土山しげるさんについては、KindleUnlimitedでこれまでの作品の多くが公開されたので、このブログでもいくつかの作品をご紹介してきました。

『食キング』(土山しげる著、日本文芸社)は、「B級グルメ店復活請負人」の主人公が、傾いた庶民向け飲食店を再建するストーリーです。

食キング(土山しげる著、日本文芸社)は、「B級グルメ店復活請負人」の主人公が、傾いた庶民向け飲食店を再建するストーリー
食キング(土山しげる著、日本文芸社)は、「B級グルメ店復活請負人」の主人公が、傾いた庶民向け飲食店を再建するストーリーです。店主には、一見すると店の料理とは無関係な修業を質問厳禁でさせますが、実際には再建のために必要なことがわかります。

物語の前半は、歳三が再建請負人として全国を転々とします。

後半は、幾多の料理人と様々な料理対決を行います。

『漫画版野武士のグルメ カラー版1st01』(久住昌之/原作、土山しげる/画、幻冬舎)は、定年を迎えた還暦男性がありふれた食堂を巡る話です。

漫画版野武士のグルメ カラー版1st01(久住昌之/原作、土山しげる/画、幻冬舎)は、定年を迎えた還暦男性がありふれた食堂を巡る
漫画版野武士のグルメ カラー版1st01(久住昌之/原作、土山しげる/画、幻冬舎)は、定年を迎えた還暦男性がありふれた食堂を巡るグルメコミックです。ネオクラシック系ラーメン店には目もくれず、昭和の佇まいを感じる町中華でタンメンをすすります。

人気ドラマ『孤独のグルメ』の壮年版です。

どうして「野武士」なのかというと、「元サラリーマン」で無職だから「浪人」だが、それでは「イメージが悪い」から、主人公が「野武士」と自称しているのです。

『男麺』(土山しげる、ゴマブックス)は、商社に勤める無類の麺好き主人公が、立ち食いそばや町中華の焼きそばなどで騒動を解決する話です。

男麺(土山しげる、ゴマブックス)は、商社に勤める無類の麺好き主人公が、立ち食いそばや町中華の焼きそばなどで騒動を解決
男麺(土山しげる、ゴマブックス)は、商社に勤める無類の麺好き主人公が、立ち食いそばや町中華の焼きそばなどで騒動を解決するストーリーです。どんな揉め事があっても、大衆的な「麺」を食べることで心が穏やかになってハッピーエンドです。

商社に勤める無類の麺好き、通称イケメンの主人公が経験する、様々なトラブルや面倒な騒動が、全て一杯の麺、しかも大衆的なもので解決するのが大まかなストーリーです。

喰王スペシャル(土山しげる、日本文芸社)は、食べることが好きなキャバクラ店長が、食べ物で問題を解決する日常を描く漫画です。

喰王スペシャル(土山しげる、日本文芸社)は、食べることが好きなキャバクラ店長が、食べ物で問題を解決する日常を描く漫画
喰王スペシャル(土山しげる、日本文芸社)は、食べることが好きなキャバクラ店長が、食べ物で問題を解決する日常を描く漫画です。“飯テロ”的なエキセントリックなシーンもなく、グルメ漫画の多い作者としては異色ともいえる作品です。

食べることを除くと、こちらもピンク産業という点で、今回の『どぶ』とは似ています。

シャケ (原作/津流木詞朗、画/土山しげる、ナンバーナイン) は、肩を壊したドラ1投手とブルペン捕手が球界の事件を解決する話です。

シャケ (原作/津流木詞朗、画/土山しげる、ナンバーナイン) は、肩を壊したドラ1投手とブルペン捕手が球界の事件を解決する
シャケ (原作/津流木詞朗、画/土山しげる、ナンバーナイン) は、肩を壊したドラ1投手とブルペン捕手が球界の事件を解決する話です。女性問題、八百長を巡る暴力団とのトラブル、政治家と野球選手による三角関係など、様々なトラブルを解決していきます。

こちらは、作画のみですが、やはり野球の続行が難しくなった主人公が、女性問題、八百長を巡る暴力団とのトラブル、政治家と野球選手による三角関係など、様々なトラブルを解決していきます。

こうしてみると、土山しげる作品、ずいぶんご紹介していますね。

いずれも、どん底から這い上がるモチーフです。

世の中の厳しさと、人生の儚さのようなものが感じられ、それでも勝ち抜いていく力強さが、読んでいて力をわかせてくれます。

みなさんも、いかがですか。

以上、どぶ 1~4(土山しげる著、日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話、でした。


どぶ 1 – 土山しげる

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