カラス飼っちゃいました (犬飼ヒロ著、ぶんか社) は、子どもの頃から生き物好きな著者が、嫌われ野鳥のカラスを飼ってしまった話です。犬の散歩時に遭遇したカラスのヒナは野生には戻れないと獣医から宣告。以来、面白困った飼育の日々が始まります。
『カラス飼っちゃいました』は、犬飼ヒロさんが、ぶんか社から上梓した漫画です。
本当にあった笑える話、というシリーズ名がついています。
この記事は、Kindle版をもとにご紹介しています。
カラズがペットでない理由を克明に綴った記録です。
というまえがきから始まっています。
著者は、幼少の頃から生き物が好きで、お小遣いを貰うとしょっちゅう生き物を買い、金魚、亀、ザリガニ、そして押し入れでセキセイインコを飼うなどしていたそうです。
それが、嫌われ野鳥のカラスを飼うことにつながるわけです。
本書によると、九官鳥のようにモノマネをしたり、人になついたりするカラスの「かぁ子りん」との生活を通じて、知られざるカラスの生態を学べるコミックエッセイです。
生き物好きな人というのは、色々なタイプがいるのですが、著者の場合は、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、何でもウエルカムなんですね。
本書は2023年4月25日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
賢くて社交的な鳥
カラスは、コウモリ目・カラス科に属する鳥類で、世界中に約40種が分布しています。
黒色の羽毛と大きなくちばし、先がとがった翼を持ち、賢くて社交的な鳥として知られています。
一般的には黒い羽毛が特徴的で、日本ではムクドリやハシボソガラス、アカガラスなどが代表的な種類です。
以下では、カラスについて詳しく解説していきます。一般的には、
- 生態
- 特徴
- 文化的な意義
カラスは、主に森林や草原、農地などに生息していますが、都市部でもよく見られます。多くの種類は、単独またはペアで生活することが多いですが、繁殖期には大規模な群れを形成することもあります。
日本に生息するカラスは7種類と言われますが、そのうち主なものは、ハシブトガラスとハシボソガラスです。
ハシブトガラスは、カーカーときれいに鳴き、ハシボソガラスは、ガーガーとだみ声でなくそうです。
本書に登場するカラスは、オスのハシボソガラスだそうです。
カラスは、主に果物や種子、昆虫、小型の哺乳類、魚などを食べますが、ごみ箱から食べ物を探し出したり、野生の動物、人間から与えられた食べ物を食べることもあります。
カラスは、非常に賢く、社交的であることが知られています。例えば、道路に落ちたナッツを車のタイヤに挟まれたままにしておくと、車が通るたびに割れてしまうため、カラスはナッツを車道に持ち運んで、安全な場所で割って食べるという行動を取ります。
また、カラスは、自分たちの死骸を葬るという行動をとることでも知られています。これは、他の動物に死体を漁られないようにするためであると考えられています。
カラスは、非常によく学習することができ、人間の言葉や動作を理解することができます。実際に、カラスは人間に倣って歌ったり、言葉を覚えたりすることが報告されています。
カラスは、古くから多くの文化において重要な役割を果たしてきました。例えば、北欧神話では、カラスは知恵の神オーディンの使い鳥であり、ケルト神話でも知恵や予知の象徴として描かれています。
また、日本では、縁起物としても有名で、江戸時代には、富士山に住む「富士のカラス」が有名でした。さらに、日本の古典文学らも登場しています。
といったことが挙げられます。
カラスは、一般的にはペットとして飼われる鳥ではありません。
一方、野生のカラスは人間に慣れているため、都市部や公園でよく見かけることがあります。
野生のカラスは、一般的に人間に対して警戒心が強く、人間に懐くことはありません。
しかし、長期間同じ場所で観察され、餌を与えられることで、野生のカラスは人間に慣れることができます。
ただし、野生のカラスに餌を与えることは、彼らが自分で餌を探すことを放棄することになり、野生のカラスにとっては好ましくない状況になります。
また、野生のカラスに餌を与えることは、彼らが病気にかかる可能性を高め、健康に害を与えることがあるため、避けるべきです。
それでも、上野公園あたりでは、餌をあげる人にカラスが群がる姿を何度か見たことがありますけどね。
総合的に考えると、野生のカラスをペットのように懐かせたり、野生のカラスに餌を与えたりすることも避けるべきです。
カラス科に属する特定の種類のカラスは、ペットとして飼うことができますが、飼育する場合には適切な知識と準備が必要です。
というのが、カラスの一般的な解説です。
しかし、我が国では、ハシブトガラスにしろ、ハシボソガラスにしろ、そもそもカラスは、ハトやスズメ同様、「鳥獣保護管理法」の対象です。
ですから、野生のカラスを持ち帰って飼育することは、法律上はできないことになっています。
カラスに限りませんが、そもそも野生で暮らしているほとんどの動物は、「鳥獣保護法」によって保護されています。
許可なく攻撃したり捕獲したりすると、違法行為となってしまうのです。
では、どうして著者が飼うことになったのか。
野鳥の一時保護は認められることがありますが、いったん保護してから、実は鳥の身体が病気や怪我のため、もう野生に帰れないとわかることがあります。
その場合、そこで捨ててしまうことができずに、結局保護者が飼い主になってしまうのです。
著者もそうでした。
犬の散歩をしているときに、犬が傷ついて飛べなくなっているカラスのヒナを発見。
猫に噛みつかれたのに、その猫の飼主は「気持ち悪いから、あなた持っていって頂戴」と自分勝手なことを言ったそうです。
カラスを診てくれる病院で待つこと10時間。
羽も肝臓もやられていたカラスのヒナは、もう野生には戻れないと宣告されてしまいました。
先日の『ハトのハト子』 (たかの宗美著、竹書房)がまさにそうでしたね。
しかし、オウムと同じで、カラスの寿命は30年と長い。
スズメで3年、ハト(カワラバト)で6年ぐらい、ペットでは、ヒメウズラで5年ぐらい、家禽では、並ウズラが飼育下で7~8年ぐらい、ニワトリが5~10年ぐらいと言われています。
飼うとなると、人生のかなりの時間を費やすことになります。
しかも、野鳥ですから飼うことを前提としていないので、マニュアルはありませんしね。
引き取ったら、覚悟がいりそうですね。
かぁ子には感謝の気持ち
著者は、保護したカラスに、かぁ子と名付けました。
ただし、カラスはオスでした。
なぜオスとわかるかというと、人間の「異性」に懐くと発情して、卵を生んでしまうのですが、かぁ子は何年経っても卵を産まないので、オスだそうです。
いろいろなエピソードや気付きは、本書で詳しくご覧いただくとして、著者はカラスの他、犬、猫、ハムスターなどを室内飼いしている上に、出産もしています。
う~ん。
私は子どもができたときに動物を飼ったことはないのでわかりませんが、赤ちゃんのためにはどうなんだろうと思いますよ。
おっぱいの甘い匂いと、新鮮な柔らかいお肉の赤子は、動物にとっては好物でしょう。
あと、専門的なことはわかりませんが、脂粉アレルギーを引き起こすのではないかということ。
小さいときから牛乳を飲ませると、牛乳アレルギーになる、というではありませんか。
あれと同じことってないんですかね。
あとは、感染症。
人獣の「種の壁」が、はたして生まれたばかりの赤ちゃんでも確立されているのか心配です。
まあ、マンガにはそういったことは全く描かれていませんけどね。
なお、かぁ子は30年は生きなかったようです。
あとがきには、かぁ子への惜別の辞が書かれています。
感謝の気持が綴られていますから、著者にとってもかぁ子にとっても、よい時間を過ごせたということではないでしょうか。
私は、カラスの保護飼育をしてみたい!とは思えませんでしたが(大変そうなので)、みなさんがどうお考えになるか、ぜひご一読をおすすめします。
以上、カラス飼っちゃいました (犬飼ヒロ著、ぶんか社) は、子どもの頃から生き物好きな著者が、嫌われ野鳥のカラスを飼った話、でした。