ザ・女の事件【合冊版】Vol.4-2(ユサブル)は、カリスマ妊婦の悲しき過ち~乳児連れ去り事件の真相~など実録5作品の合冊版です。かわしま梨花さん、なせもえみ、小牧成さんの作品収載。スキャンダラス・レディース・シリーズというシリーズです。
『ザ・女の事件【合冊版】Vol.4-2』は、ユサブルから出版された5作品の合冊版です。
合冊というのは、単独で書籍化されている作品をまとめて収載して1冊としてたものです。
つまり、1冊で5冊分楽しめるわけです。
本書はKindle版をご紹介しています。
面白いのは、5冊合わせた本書は2022年11月11日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
つまり、同サービスに加入していれば追加料金はなく無料で読むことができます。
ところが、ひとつひとつの単冊はそれぞれ値段がついた有料です。
ですから、私は、というより私でなくても誰でも、本書の合冊版をおすすめすると思います。
収載されている作品は、以下のとおりです。
- 異常性欲殺人事件~一人の男と女三人のただれた密室~……かわしま梨花
- 3億円のドラッグを運んだ女たち……かわしま梨花
- 幼稚園2児復讐惨殺事件~ママ友間いじめの果てに~……なせもえみ
- 円満家庭の妻が定年夫を殺したワケ……小牧成
- カリスマ妊婦の悲しき過ち~乳児連れ去り事件の真相~……小牧成
『本書収録の作品は、すべて実際にあった事件を元に構成したフィクションです』と断り書きがあります。
表紙には、『欲望と快楽の奈落に堕ちて』と書かれています。
ただ、今回ご紹介する『カリスマ妊婦の悲しき過ち話』は、単純な「物欲」とは違うように思います。
カリスマ妊婦だから「流産」は言えなかった!?
『カリスマ妊婦の悲しき過ち話』の主人公は弥々子(ややこ)。
結婚して7年になる専業主婦ですが、なかなか子供に恵まれず、5年前から不妊治療を始めたものの依然として成果はありませんでした。
昔、つとめていた会社のお局的存在だった正美さんは、37歳で寿退社し、40歳で自然分娩の出産をしたという話も。
弥々子は、「いけないと思いつつも、私は笑顔でおめでとうを言える気分になれずにいた」と呻吟します。
その正美さんに、弥々子の内心が見抜かれたのか、気遣いの電話がありました。
実は、正美さんも不妊に悩んでいたこと、医師には「排卵がない」とサジをなげられていたこと、しかし、ある教室に通い始めて妊娠できたという内容でした。
弥々子は、その「ある教室」に行ってみることに。
37歳にして4人の子供を持つスレンダーな美人スーパーコーディネーター、小野寺律子が運営する妊娠・出産の教室でした。
教室での指導は、「寝室からカレンダーを外し」「基礎体温をやめましょう」「生理が来てもがっかりなんかしない」というもの。
心のプレッシャーを解きほぐしましょう。まずは心も身体も心地よくなるようなライフスタイルを大事にしましょう、ママが健康ならって赤ちゃんが来てくれます、ということでした。
“カリスマ妊婦”といわれる小野寺律子の、やさしく適切な指導は不思議と力に満ちていて、弥々子の心の中にうごめいていたしこりが、ほぐれていくような感覚を得ることが出来たと書かれています。
そして、なんと弥々子は、妊娠をします。
その報告をすると、小野寺律子にも5人目がお腹にいるとのこと。
「じゃあ、出産は同じ頃ですね」
弥々子は、教室が紹介してくれた助産院で無事出産。
その半月後、小野寺律子も出産したと教室で知り合った友人からの知らせが来て、弥々子はまた教室通いを再開しました。
教室では、赤ちゃんのベビーマッサージや沐浴も行っているのです。
しかし、小野寺律子は3ヶ月たっても我が子を連れてきませんでした。
「いちばん上の子が、すごく可愛がっていて、私のマネをして家で面倒を見てくれてるのよ」
やっと連れてきた「三男」は、弥々子の子より半月遅く生まれたのに、ずっと大きいのです。
弥々子は違和感をいだきましたが、それは「事件」という形で判明してしまいました。
小野寺律子は、実は9ヶ月目に流産をしていたため、つじつま合わせに「乳児連れ去り」を犯したとワイドショーで大々的に報じられたのです。
教室主宰のメンツもあったでしょうが、流産を自然な気持ちで言えなかったことに、弥々子はやりきれない気持ちが残ったのでした。
「心が爆破」してしまうあなたへ
女性にとって、どんなに娯楽が増えて、どんなに整形やおしゃれが進化しても、子を授かるというのは生きる摂理としてどうしてもはずしたくない欲求なんでしょうね。
Web掲示板では、『高齢出産』は必ず荒れるキーワードです。
なぜか、コーフンする人がいるのです。
「高齢で生んだら、ダウン症になる」
「保護者会で子供が可愛そうだ」等々の、虚しい中傷の数々。
ダウン症は生んではならない、とでも言いたいのかな。
あのですね、そもそもダウン症というのは、何をしたから生まれる、と決まったわけではなく、また高齢出産に限ったことではありません。
確率の問題であり、20代でもダウン症児を授かることはあります。
ですから、そんなこと言ったら、もう女性は妊娠ができません。
たとえいくつだろうが、妊娠出産子育てのリスクを踏まえて、それでも生もうと判断するかどうかはその人の価値観であり、第三者がとやかく意見するものではない、ということです。
そもそもダウン症云々は、優生思想と言って、そんなことを言っているあなた程度の人間も、結局は抹殺対象になるロジックなんですよ。
保護者会云々はもう、大きなお世話と言うか、世話になってないな(笑)
その母親が美魔女だったらどうするの?
若けりゃ良いってもんでもないでしょ。
もし、そこでいじめが起こったら、いじめ自体が悪いのであって、保護者の年齢のせいだというのは、おかしいでしょう。
冷静になれば、狂った言い分というのはわかるはずですが、それでもいいたくなるほど、他者の「おめでた」は、とくに女性の心を狂わせるんでしょうね。
以前、坂上みきさんの53歳妊娠出産に、遥洋子さんが率直なブログを書いていました。
おそらく、騒ぐ女子は何が自分を突き上げるのかの自己分析すらできていまい。思わず誰かにメールを打たずにはいられない心の波立ちがあったことだけは確かだ。“53歳妊娠”と耳打ちするだけで、誰かの心が爆破される。それほどの衝撃力がある。「心が爆破」という表現は言い得て妙です。
で、それを「いい加減にしてくれ」と書いている遥洋子さん自身も、本心は「心が爆破」しているのでしょう。
誰が高齢出産しようが、あんたの生活に何の関係があるのか、という話ですから。
子育てに苦労しようが、それは坂上みきさんの問題であり、別に遥洋子さんを含めて他の女性がなにか困るわけではありませんからね。
私は以前も、小松みゆきさんの出産に、「子どもが可愛そう」というのはヘイトスピーチだと書いたことがあります。
小松みゆきさんは49歳8か月で、第1子となる女児を出産しました。
子供に恵まれず、42歳頃に不妊治療を開始したといいます。
タイミング法、人工授精を経て高度不妊治療の顕微授精を何と14回以上行って、7年目にようやく妊娠。
1000万かけて頑張ったから、やっと授かったのです。
人生、やるか、やらないか、です。
小松みゆきさんだって、決して有り余るお金と時間があって、軽い気持ちで不妊治療していたわけではないと思います。
少なくとも言えるのは、他者の妊娠出産を妬んでいるだけでは、何も解決しないということです。
「いや、うちは子供は望めない体なんです」
という方。
だったらなおさら、不毛な嫉妬をしていても仕方ないと思いませんか。
なんか悲しすぎますよ。
私は、妻が43歳で次男を授かりました。
自然妊娠です。
でも、火災で中途障害になってしまいました。
正直、健常児を育て上げてみたかったという思いはあります。
でも、それもまた運命と思っています。
うらむときは、「ほしのもと」を怨めば良いのです。
赤の他人の「おめでた」を怨むなんて、悲しすぎるし的外れです。
その人が、あなたを不妊にしたんですか。
そうじゃないでしょう。
あなたの事情は、その人に関係ないじゃないですか。
自分の先祖や、信仰のある人なら、前世でも怨んだらどうでしょうか。
少なくとも、赤の他人の「おめでた」を中傷するよりは、マシだと思います。
以上、ザ・女の事件【合冊版】Vol.4-2(ユサブル)は、カリスマ妊婦の悲しき過ち~乳児連れ去り事件の真相~など実録5作品の合冊版、でした。
ザ・女の事件【合冊版】Vol.4-2 (スキャンダラス・レディース・シリーズ) – かわしま 梨花, なせ もえみ, 小牧 成