ザイム真理教(森永卓郎著、三五館シンシャ)は、宗教を通り越してカルト教団化する財務省の「財政均衡主義」の実態をあばく警世の書です。旧大蔵省時代を含めて、財務省が40年間布教を続けてきた「財政均衡主義」という教義に国民全体が洗脳されてしまったと嘆きます。
今日ご紹介するのは、Amazonの経済部門で、ずっとトップを走り続けた『ザイム真理教』です。
財務省の問題と日本経済への影響を告発しています。
財務省は、財政均衡主義と言って、国の「借金」(国債など)を回収して、「健全」な財政にしよう。
「借金」を孫子の代まで背負わすな、といい、そのためには税金で国民から搾り取ろう、という考えを持っています。
そうしないと、ギリシャのように経済危機に陥ったり、ジンバブエのように国が破綻したりすると脅すのです。
政治家もマスコミも一部の国民も、それに洗脳され、「借金なんてトンデモない」「それなら、給料が上がらなくても、税金を取られても仕方ない」と、財務省の言いなりになる。
その洗脳の状態を、昨今はネットでも「ザイム真理教」と呼んでいます。
本書のタイトルは、そこからついています。
もちろん、本書の狙いは、その洗脳を解くことにあります。
そもそも、「円」という紙幣通貨は自国で作っており、政府が発行した国債は銀行が買い、それを日本銀行が買うだけなので、経済破綻はありえません。
これは最近になって財務省自身が認めています。
ですから、国債を単純に「借金」というべきかどうか自体に議論があるのですが、「借金」と呼ぶにしても、それは政府が市中にお金を給付するために行っているものであり、少なくともそれを「国民の借金」と呼ぶのは適切ではありません。
「借金」が多いと「円」の国際的信用が下がるという意見もありますが、「円」は世界の通貨の中でも「比較的安全な通貨」とされています。
なぜなら、不透明な世界情勢の中では、何が起こるかわからないことが常識であり、世界情勢が不安定になった局面では、必ず「円」が買われる特徴があるからです。
もちろん、「日本円は安全」と思われている時代が、未来永劫続く保証はありません。
日本は近年、他の先進国に比べて経済成長率が低く、少子化で労働人口も減少しているからです。
しかし、そうした停滞要素を作り出している原因こそ、財務省の「財政均衡主義」による「緊縮財政」と「消費税増税」にある、ということを明らかにするのが本書の眼目です。
つまり、せっかく国債で市中に給付したお金を、また引き上げてしまったら、経済は冷え込むに決まっている、設備投資も人材育成も、子育てもできるわけないだろう、という話です。
Copilotは、以下のように概要をまとめます。
1. **「ザイム真理教」の教義とは?**
– 「財政再建こそが唯一の善」という信念を持ち、増税と無駄遣い削減を重視します。
– 経済成長は二の次とされ、疑問を持つことは許されません。
2. **信者と影響力**
– 「ザイム真理教」の信者は、政治家やエコノミストなどのエリート層に多く存在します。
– 彼らは増税や歳出削減を推進し、日本経済に影響を与えています。
3. **「ザイム真理教」の罪状**
– 教義が原因でデフレの長期化、経済成長の停滞、格差の拡大などが生じています。
4. **真の財政再建への提言**
– 経済成長戦略の策定
– 歳出削減の効率化
– 税制改革
– 社会保障制度改革
意外だったが一理ある安倍晋三再評価
ザイム真理教の権限 pic.twitter.com/ik8Ru8nupu
— miyata (@miyata03837944) August 8, 2024
私も、この30年の、緊縮財政と消費税増税が、日本を転落させてきた原因だと思っているので、だいたい書かれている内容は想像がつきました。
もちろんその内容は賛成です。
が、一点だけ意外なことが書かれていたのでご紹介すると、安倍晋三元総理再評価論です。
本書は、安倍晋三さんは、歴代総理の中で、唯一、財務省べったりではなかった総理だというのです。
森永卓郎さんは、どちらかといえば反自民的なスタンスなので、歴代首相には総じて点が辛いと思っていました。
しかし、自民というだけで絶対悪、なんていう自称「左」とは違い、そこは是々非々で見ていることで、その点は大変勉強になりました。
いわゆる京都学派といわれる。MMT推進派(藤井聡、中野剛志、青木泰樹、三橋貴明の各氏)が、しばしば「安倍擁護」と感じられる言説を述べることに対して、私は肯定しがたい気持ちがあったのですが、本書を読んで、ああ、そういうことだったのかと腑に落ちました。
たとえば、安倍内閣時代に、2度も消費税増税をシています。
誰もが、安倍は財務省べったりだろう、と思うでしょう。
しかし、これは民主党政権以来の三党合意に基づくもので、要するに主導したのは民主党の野田佳彦総理です。
2009年のリーマン・ショックで、麻生太郎総理は財政出動にかじを切り、次の鳩山政権まではそれが続いたために景気が上向いたのです。ところが、その後、財務省に洗脳された菅直人と野田佳彦が、その流れをまたモトに戻してしまったのです。
野田佳彦は、政権を取る前は「シロアリ」呼ばわりしていた消費税増税を、財務省に洗脳されて、自ら決めた公約破りの政治家です。
安倍晋三総理は、むしろ増税の予定時期を2度延ばしています。
そのうち1度は、解散をして信を問いました。
しかし、3度目の延長はできませんでした。なぜか。
今度は、モリカケ問題を財務省が仕掛けてきたのです。
モリカケも、桜も、安倍昭恵さんの尻拭いをしたような面はあったので、まあ夫人もね、もうちょっと夫の立場を考えて行動を慎んでも良かったんじゃないかと思いました。あの人何でも顔出すからさ(笑)私の従兄弟の妻の親類の結婚式まで祝辞を送ってましたよ。新郎も新婦も一般人なのに。
もちろん、安倍さん自身の甘さと言うか、いろいろ問題もありましたが、こと対財務省と増税問題に限っていえば、森永さんの指摘は合点がいくもので、なるほどなと思いました。
財務省言いなりの政権交代では政治は変わらない
で、その増税の真犯人の民主党は、立憲民主党になっても、次の総選挙では消費税反対・財政出動派のれいわ新選組元職候補に刺客をぶつけると息巻いている。
もちろん、自分たちは消費税減税とは口が避けても言わない。
国会議員5人の小政党に対してまで、ムキになるほど、財務省に忠誠を誓う反国民的政党に、政権交代なんかしてもらっても、ちっとも国民の暮らしはよくならないと私は思うのですが、かといって、今までのまんまというのも許せないし、いったい日本はどうなるんだろうと暗澹たる気持ちになります。
既成政党の足し算ではなくて、自民党政治に代わってクリアでかつ財政均衡論からの解放という新しい旗を掲げた勢力が出てくれば、ただちに政権交代が起こるような気がするんですけどね。
本書は、日本経済の未来を考える上で必読の一冊であり、森永卓郎さんの客観的な分析と提言が新たな視点をもたらします。
ぜひ、読まれることをお勧めします。