バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則(柿内尚文著、かんき出版)は心を動かす文章のコツを解説しています。伝え方は「仕組み」がわかるとすぐうまくなるとし、心を動かすキャッチコピー、文章のコツが網羅されています。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』は、柿内尚文さんが、かんき出版から上梓しています。
25年間編集者として1000人以上取材してきた著者が、「伝わるとはどういうことか」を何度も何度も考え、学び、実践しながらやってきたことの積み重ねが書かれているといいます。
つまり、わかりやすい伝え方、もとい伝わり方を教えてくれる書籍です。
「伝わる」とは相手主体、「伝える」とは自分主体と180度の違いがあり、それこそが本書のキモでもあります。
そして、伝わらないものは、存在しないことと同じであるとし、では伝わるためにはどうしたらいいのか、ということを全5章かけてじっくり解説しています。
余談ですが、私はかんき出版から書籍を上梓したことはないのですが、何度か企画を検討していただいたことがあり、同社のモットーは、読者に喜ばれる書籍づくりだと伺ったことがあります。
本書も、その方針のもとに刊行された1冊であると思います。
本書は2022年9月17日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
人は、伝えてもらわないとわからない
本書『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』はまず、大前提として「伝わる」と「伝える」の違いから言及。
「伝わる」とは相手主体であり、「伝える」とは自分主体であることを確認しています。
そして、大事なことは相手に「伝わる」こととして、こうまとめています。
- 人は、伝えてもらわないとわからない。
- ただ伝えるだけでは伝わりにくい。うまく伝えないと伝わらない。そして、伝え方には技術がある。
- 言葉だけでなく「態度+表情」も伝わるための大きな要素。
著者は、
伝わらないものは、存在しないことと同じ、としています。
だからこそ、伝えたいことをちゃんと伝える必要がある。
といいます。
そして、
一度で伝わらないとき、それでも伝えたいのであれば、「繰り返し伝えること」が必要です。
としています。
私は昔、週刊誌の記者をしていて、同じことを繰り返して書くと注意されたものです。
今はデジタルの時代、文章の巧さよりも、わかりやすさのほうが価値は高い。
しかも、そのわかりやすさというのはかなりベタな手法で、繰り返し書くとか、コソアド言葉を使わないとか、従来は文章がスマートでなくなるといわれていた書き方なんですね。
時代は変わったなあと思います。
たとえば、本書では、打ち合わせをしたら、最後の5分を使って、その日打ち合わせた内容を改めて相手に話してもらう、という方法を勧めています。
ネットのブログ記事でも、最後に「まとめ」として、本文の肝になる部分を繰り返している記事がありますよね。
私はそれはあまり得意ではないので、最初に、リードとして、本文の要約を入れる形で結果的に「繰り返し」を行っています。
本書では、「人は基本的に話をあまり覚えていない」と忠告しています。
そして、エビングハウスの忘却曲線を紹介しています。
人が何かを記憶したとき、
- 20分後には約42%を忘れる
- 1時間後には約56%忘れる
- 約9時間後には約64%忘れる
- 1日後には約66%忘れる
- 2日後には約72%忘れる
- 6日後には約75%忘れる
- 1ヶ月後には約79%忘れる
という忘却曲線です。
そこで、伝えたことは忘れられている前提で、伝える頻度を高めることが大切だとしています。
伝える「量」と「質」の分離
本書は、伝え方の課題には、「伝える不足」と「伝え方下手」の2種類ある、といいます。
「伝える不足」⇒量の問題
「伝え方下手」⇒質の問題
この2つを区別するとわかりやすい、といいます。
「伝える不足」の問題は、「伝える頻度(回数)」の問題としています。
ただし、頻度を高めると言っても、自慢話の繰り返しでは、相手が話の内容にネガティブな反応をしてしまいます。
伝えたい、わかってもらいたいのであれば、頻度を高めるとともに、伝え方を工夫し、質を上げることが大切といいます。
伝わる構造・技術・実践
さて、本書のタイトルである「バナナ」についての章からご紹介します。
問題
「バナナの魅力」を一言で教えてください。
答え
酸味と甘味のバランス(著者の場合)
自分にとってのバナナのおいしさの「構造」がわかったんです。 それ以降、追熟で酸味が消えて甘味が強くならないよう、常温ではなく冷蔵庫で保存して追熟のペースを遅らせ、自分が 好きな酸味を維持させています。
著者は言います。
「構造」がポイントであると。
構造がわかると、いろいろなことが見えてくる。
何かを身につけるときには、まず構造を知ることで全体像や本質が理解できます。
そして、伝わるためには
- 「伝わる構造」の理解
- 「伝わる技術」の習得
- 「実践(行動)」
といいます。
「伝わる技術」で必要なことは、「読む人の頭の中を想像すること」。
- 理論などが腑に落ちるよう「たとえば」の多用
- 恋愛やレストランの話など、自分ゴトにしやすい事例の活用
- 読者と僕(著者)の、本を通したキャッチボール
- 「間」を積極的に活用
そして、著者は「伝わる構造は『7階建てのビル』」と例えています。
1階(ゴール設定)……何を伝わるようにしたいのか。
2階(納得感)……理解する、腑に落ちるように伝わること。
3階(相手ベース)……伝わらなかった場合、表現を変えたりほかの方法を試したりと、伝わるための動きを取る。
4階(見える化)……相手の頭の中に思い浮かべられるようにすること。
5階(聞く力)……営業は『自分たちの商品を売る』のではなく『相手に必要な商品を紹介する』こと。商品を売り込むのではなく、相手の話をとにかくよく聞いて、相手にとって自分たちの商品のどこに必要性があるのかを見つけ出す。
6階(親近感)……「共通点を見つける」「相手に興味を示す」「自分のダメをさらけ出す」「笑顔」
7階(信頼感)……「誠実さ・素直さ」「スキル・能力」「結果・成果」「接触頻度」「モラル」「関心」「意義・価値・動機」
「親近感」もかよー、めんどくせーな、とは一瞬思いました(笑)
相手との距離感で、あまり近くなりたくないという思いが自分ではありましたからね。
だからやはり、私はこれまで、「伝わる」ではなく「伝える」でやってきたんでしょうね。
たしかに相手に嫌悪感を抱かれたら、こちらを受け入れるてくれなくなってしまいますから、親近感をもってもらうことは重要です。
とまあ、そういう構成で、以下、「伝わる技術」の具体的な16の法則、「伝わる」人が実践している4つの行動、「伝えるのが面倒な人」への対応策、などが紹介されています。
余談ですが、伝わりやすい方法として、数字を入れるといいというのもあります。
「16の法則」とか、「4つの行動」とかね。
「わからずや」対応策(笑)
有隣堂アトレ川崎店さんでこんな展開に!ありがたいです。
おかげさまで本日増刷が決まり、バナナ本、おにぎり本ともに7万部になりました。ありがとうございます。 pic.twitter.com/uoubo5O70v— 柿内尚文@編集者|バナナの魅力を100文字 (@blX9DAIbsapp5OO) February 22, 2022
私は、その「伝えるのが面倒な人」への対応策がとくに面白かったですね。
「すぐ否定する人」「話が通じない人」「重箱の隅をつつく人」「話が広がらない人」「話しかけにくい人」などへの対応策が描かれています。
いますよね、そういうわからずや(笑)
といいつつ、実は私自身だったりして。
まあ、それは相手次第ですよね。
悪意を持っているかどうかで対応も変わりますし。
たとえば、「重箱の隅をつつく人」については、話にできるだけ入らせないようにすること、だそうです。
でも、頭から否定すると相手が逆ギレするので、できるだけ否定はしない。
「ご指摘の箇所は、今日の会議で○○の部分の承諾をいただけたら、次に取り掛かりたいと思います。貴重なご指摘ありがとうございます」とかわせばいいといいます。
簡単に言えば、「その話は、また今度ね」と返しているわけです。
もっとも、最後の「貴重な……」の一言は、私だったら、皮肉っぽくあしらわれているように聞こえるので、腹を立てると思います。
私だったら、そこまで慇懃無礼にヤらずに、「よろしくお願い致します」でいいんじゃないかと思うんですけどね。
いずれにしても、詳細は本書でじっくりお読みください。
以上、バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則(柿内尚文著、かんき出版)は心を動かす文章のコツを解説、でした。
バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則 – 柿内尚文
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