フランキー堺さんなど1960年代の懐かしいスターを特集しているのは、『週刊現代別冊週刊現代プレミアム2021Vol.2ビジュアル版昭和の怪物』です。右肩上がりの高度経済成長時代の昭和を駆け抜けたスターたちの興奮が活字で蘇ります。(上掲キャッチ画像のバックは映画『駅前旅館』より)
フランキー堺さんは大田区池上の出身
『週刊現代別冊 週刊現代プレミアム 2021Vol.2 ビジュアル版 昭和の怪物 1960年代の懐かしいスターたち』は、タイトル通り昭和の高度経済成長時代に当たる1960年代の芸能界を代表する人物を、貴重な写真と秘話で綴るテーマで、物故した14人についてまとめたムックです。
14人をご紹介します。
- 坂本九
- 田中邦衛
- 八千草薫
- 三波伸介
- 島倉千代子
- 大鵬
- 円谷幸吉
- 稲尾和久
- 金田正一
- 森光子
- 坂上二郎
- フランキー堺
- 田宮二郎
- 石原裕次郎
先日、このブログでは、同じシリーズで、『週刊現代別冊 週刊現代プレミアム 2020Vol.1 ビジュアル版 昭和の怪物 闇と光の芸能界編』の中から、石立鉄男さんの記事についてご紹介しました。
今日は、本書のうち、フランキー堺さん(1929年2月13日~1996年6月10日)の記事をご紹介します。
もちろん、14名どの方もご紹介したいのですが、フランキー堺さんは私の地元の名士なのです。
生まれは鹿児島ですが、大田区立池上第二小学校(通称イケニ)出身。
その隣りにある成田山成心寺(大田区中央)の石塀に、寄進者としてフランキー堺さんの名が刻まれています。
イケニから旧制麻布中学に進みますが、同級生にはやはり大田区の隣町である女塚(現西蒲田)出身の小沢昭一さんがいました。
しかし、本書によると、フランキー堺さんは麻布中学の4年次に飛び級で慶應義塾大学に進学。
「君は優秀だったから、五年制中学の四年から慶応大学に行ったんだよ。そんなときに言った言葉は『お先に』って。今度も『お先に』じゃないか。君はいつだって『お先に』だよ」と、小沢昭一さんは盟友の死に追悼の言葉を送りました。
数多くの映画やテレビドラマに出演
フランキー堺さんは、大学時代から進駐軍のキャンプでバンド「シックスレモンズ」のジャズ・ドラマーとして演奏。
1954年には、フランキー堺とシティ・スリッカーズを結成しました。
スパイク・ジョーンズをまねた冗談音楽を演奏するバンドでしたが、桜井センリ(ピアノ)、谷啓(トロンボーン)、植木等(ギター、ボーカル)、稲垣次郎(テナーサックス) など、後にハナ肇とクレージーキャッツで活躍したメンバーもいました。
ただし、結成して1年後、フランキー堺さんは伴淳三郎さんと出会い映画俳優に。
日活と契約しますが、その当時の代表作と言えば、川島雄三監督の『幕末太陽傳』(1957年、日活)です。
東海道品川宿・相模屋を舞台にした時代劇で、石原裕次郎、小林旭、二谷英明、左幸子、南田洋子など、当時から映画で活躍していた顔ぶれが揃っています。
オープニングには、懐かしい八ツ山橋や北品川の町並みも写っています。
翌年には、テレビドラマ『私は貝になりたい』(1958年、TBS)で、BC級戦犯として裁かれ死刑になる理容室店主を演じました。
さらに同年からは、1960年代の東宝を支えた人気作品、喜劇駅前シリーズ(全24作)の第一弾『駅前旅館』が封切られています。
主演は、森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺。
当時の東宝作品は、都会的でモダンな、いわゆる東宝カラーといえる傾向がありましたが、喜劇駅前シリーズは東京映画が制作し、地方や下町などが主な舞台になったため、松竹映画に作風が近いといわれました。
森繁久彌さんとの共演と言えば、社長シリーズも忘れられません。
『社長洋行記』(1962年)以来、27作目の『社長千一夜』まで怪しげな日本語をしゃべる日系バイヤー役などで怪演しました。
ちなみに、その後任のバイヤー役は、麻布の同級生だった小沢昭一さんでした。
社長シリーズを降板したフランキー堺さんは、今度は松竹で国鉄の専務車掌や駅長などをつとめる旅行シリーズ(全11作)に主演します。
監督は瀬川昌治さん。
テレビドラマの瀬川作品では、『顔で笑って』(1973年10月5日~1974年3月29日)や『赤かぶ検事奮戦記』(1980年10月3日~10月31日、松竹/朝日放送)などに出演しました。
あと、個人的に好きな作品は、日本テレビのドラマ『おふくろさん』(1975年4月6日~9月28日)があります。
おふくろさん#ntv #京塚昌子 #石立鉄男 pic.twitter.com/DJAyoFuScf
— しがない三四郎 (@shinya_bokudake) January 16, 2018
最終回で結婚することになる相手が京塚昌子さん。
喜劇駅前シリーズで姉弟その他の設定で共演しました。
フランキー堺とシティ・スリッカーズ時代に一緒だった谷啓さんも出演しています。
そして、脚本は大西信行さん。
フランキー堺さんの麻布時代の同級生でした。
そうそう、もうひとつ、岡本喜八監督の『ダイナマイトどんどん』(1978年、大映/東映)も面白かった。
ヤクザが野球チームで戦う史上最高のヤクザコメディー映画です。
東映ヤクザ映画ではお馴染みの菅原文太さんに、嵐寛寿郎さん、フランキー堺さん、松竹新喜劇の小島秀哉さんが絡む異色キャスティングです。
菅原文太の所属するチームの監督をつとめる傷痍軍人役がフランキー堺さんです。
ストライクが入らない石橋正次さんが、よく見たらその前のしくじりで指を詰めていたことが発覚。
傷痍軍人のフランキー堺監督は、自分の伸びなくなった指を見せ、「戦争でんなんでんなか時に、自分で自分の指ば……バカモン」と叱る、さりげない反戦映画です。
本記事の扉には、「変幻自在の演技を見せ、鮮やかなドラムは一級品」と書かれているフランキー堺さん。
何をやってもきちんと仕事をし、またしたいことがいつも実現する人生でしたが、ひとつだけ叶わなかったことがありました。
心血を注いだ写楽は結局演じられず
記事で紙数を割いて取り上げているのは。『写楽』(1995年、西友・TSUTAYA・堺綜合企画・表現社・テレビ朝日/松竹・松竹富士)です。
しかし、篠田正浩監督は、ウンと言わなかったといいます。
「肉体的にもエネルギーに満ちていた人間でなければ、これはだけの画業を残せない。あなたは写楽の線を描く体力はもうないんじやないか?写楽をプロデュースした蔦屋重三郎をやらないかといいました。彼にとっては不愉快なことだったと思います」
最終的に、フランキー堺さんは蔦屋重三郎を演じ、作品はカンヌ映画祭に出品されました。
が、カンヌから帰国後、フランキー堺さんは体調を崩し、次の仕事のNHKテレビドラマ『ぜいたくな家族』が遺作となりました。
みなさんは、フランキー堺さんというと、どんな作品を思い出されますか。
本書は、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
このブログは、坂本九さんについての記事もご紹介しています。
以上、フランキー堺さんなど1960年代の懐かしいスターを特集しているのは、『週刊現代別冊週刊現代プレミアム2021Vol.2ビジュアル版昭和の怪物』、でした。
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