マンガでわかる!日本の7大仏教(桑沢篤夫/多田一夫、ユサブル)は、日本の大乗仏教の7宗門について、開祖の経緯や特徴を解説した漫画です。7大仏教とは、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗がそれにあたります。
『マンガでわかる!日本の7大仏教』は、桑沢篤夫さんと多田一夫さんが描き、ユサブルから上梓しました。
タイトル通り、日本の7大仏教の開祖の経緯を漫画で描き、各宗派の特徴を文章でまとめています。
日本の大乗仏教には、複数の宗派や流派が存在します。
以下に日本の主要な大乗仏教宗派である天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗の特徴をまとめます。
日本の大乗仏教には様々な宗派がありますが、ここでは代表的な7つの宗派である天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗の特徴についてまとめてみます。
天台宗
天台宗は、唐から日本に伝わった天台山の教えを中心とする宗派で、最澄によって創始されました。日本の代表的な宗派のひとつで、仏教の教えを学ぶだけでなく、山岳修行や禅定の修行を行うことでも知られています。
真言宗
真言宗は、空海(弘法大師)によって創始された密教の宗派で、真言を唱えることによって仏教の教えを受けることができるとされています。真言宗では、音や文字、色彩などが神秘的な力を持つと考えられています。
密教については、以前ご紹介したことがあります。
浄土宗
浄土宗は、法然によって創始された宗派で、人々が阿弥陀如来の誓願によって西方極楽浄土に生まれ変わることを信じる宗派です。浄土宗では、信心をもって阿弥陀如来の誓願を受け入れることが最も大切であるとされています。
浄土真宗
浄土真宗は、親鸞によって創始された宗派で、浄土宗と同様に阿弥陀如来の誓願によって西方極楽浄土に生まれ変わることを信じます。浄土真宗では、人間は自力では救済することができず、阿弥陀如来による他力救済が必要であるとされています。
浄土真宗は、「真宗十派」といわれているように10の宗派があり、それ以外にそのどれにも属さない単立系、さらには浄土真宗や親鸞の信者研究会を標榜する浄土真宗親鸞会がありますが、脱会者からは批判も聞かれます。
臨済宗
臨済宗は、中国から禅宗を伝えた栄西によって創始された宗派で、禅宗の教えを基にしています。臨済宗では、座禅や公案などの修行方法が用いられ、直感的な悟りを目指すことが重要視されています。
曹洞宗
曹洞宗は、道元によって創始された宗派で、禅宗の一派とされています。曹洞宗では、専ら坐禅に徹する黙照禅であることを特徴とし、仏陀・悟りを開いた人・目覚めた人の教えであり、出家在家に拘らず求道者各自が悟りを開くことを標榜します。
日蓮宗は、日本仏教の宗旨の一つで、法華宗とも称します。鎌倉時代中期に日蓮上人によって興され、かつては(天台法華宗に対し)日蓮法華宗ともいわれました。他宗を否定し布教も強引なため風当たりも強く、日蓮聖人は迫害を受けました。
宮沢賢治さんの『虔十公園林』は、日蓮宗が根本経典とする『法華経』の『常不軽菩薩品』という章がモチーフになっているといわれています。
いずれも、鎌倉時代に始まったので、鎌倉仏教ともいわれています。
それらについて、漫画で解説している本書は2023年5月17日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
お釈迦様の仏教と大乗仏教
もう、このブログをご覧の方ならご存知と思いますが、日本で「仏教」といわれている諸宗派は大乗仏教といいます。
もともとの、お釈迦様が悟った仏教徒は違います。
お釈迦様の仏教に、時代時代で新しいお経を架上しています。
お釈迦様の仏教は、出家して修行しなければならず、そこでは仕事を持ってはいけないし、田畑を耕しても行けません。
しかし、社会が発展すれば、そうもいっていられません。
だいいち、それでは全人類が救われることはありません。
だって、修行僧は托鉢で食っているのに、田畑を耕す人が誰もいなかったら困るでしょ。
そこで、出家しない在家の人でも救われる仏教が求められたわけです。
ですから、大乗仏教といって、大きな乗り物、つまり在家のたくさんの人を乗せるための仏教として、新しいお経が架上されたのです。
従来の仏教は、上座部仏教といいます。
現在の日本は、大乗仏教一辺倒です。
上座部仏教と大乗仏教は、仏教の主要な二つの分派です。
以下にそれぞれの特徴を書きます。
上座部仏教(テーラワーダ仏教):
上座部仏教は、釈迦(仏陀)の教えを重視し、その教えを忠実に守ろうとする仏教の分派です。
原典の重視: 上座部仏教は、パーリ語で記された「パーリ・カノン(三蔵経)」を重視します。この経典には仏陀の教えや戒律が詳細に収められています。
個人の解脱: 上座部仏教では、個人の解脱を追求することが重要視されます。修行者は自己の苦しみから解脱し、悟りを開くことを目指します。
凡夫から阿羅漢へ: 上座部仏教では、凡夫(一般の人々)が修行を通じて阿羅漢(悟りを開いた者)になることを目指します。この過程で、修行者は三宝(仏・法・僧)に帰依し、八正道を実践します。
大乗仏教:
大乗仏教は、上座部仏教に比べてより広範かつ包括的な仏教の分派です。
広く普及した経典: 大乗仏教には多くの経典が存在しますが、特に重要なのは「大乗経典」です。これらの経典は、上座部仏教の経典に加えて、新たな教えや菩薩(覚者)の修行方法が含まれています。
衆生救済: 大乗仏教では、衆生(すべての生きとし生けるもの)の救済を重要視します。仏陀や菩薩は、自己の悟りだけでなく、他者の苦しみを救うことを目指します。
慈悲と智慧: 大乗仏教では、慈悲(あわれみ)と智慧(覚悟や理解)の両面を持っています。
要するに、「自利」といって、お釈迦様の仏教は自分で自分自身の心を正すことで涅槃を目指します。
大乗仏教は、「利他」といって、他者のために尽くすことで徳を積み、それによって涅槃を目指します。
お釈迦様の仏教には、法華経とか、般若心経などは出てきません。
お釈迦様の仏教と大乗仏教は、狙っているところが違うので、新たなお経が必要だったのです。
本書は、そのいきさつから描いています。
実際には13宗のお寺が日本にはある
本書のタイトルは「7」ですが、実際にはもう少し多く、13宗あります。
- 南都六宗(法相宗、華厳宗、律宗)
- 密教系(天台宗、真言宗)
- 念仏系(融通念仏宗、浄土宗、浄土真宗、時宗)
- 法華経系(日蓮宗、日蓮正宗など)
- 禅系(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)
奈良時代に平城京を中心に栄えた日本仏教の6つの宗派を指しています。
三論宗、成実宗、法相宗、倶舎宗、華厳宗、律宗の宗派がありましたが、現在では法相宗、華厳宗、律宗が残っています。
天台宗の最澄と、真言宗の空海は、同じ時期に遣唐使として中国で仏教を学び、最澄は比叡山、空海は高野山でそれぞれ新しい仏教を開きます。
浄土教、ともいいます。民衆救済のため、阿弥陀仏(阿弥陀如来)を本尊として、修行せずに念仏をとなえるだけで良いとする宗派です。「無量寿経」「観無量寿経」「阿弥陀経」の3経典である浄土三部経に基づいた仏教です。
日蓮聖人が、法華経をよりどころとして日蓮宗を興します。「南無妙法蓮華経」と題目を唱えれば、理想の世界が訪れるとしますが、法華経は前の方と後ろの方で矛盾もあり、そのため解釈の仕方の違いから、新宗教がもっとも多くなっている宗派です。
3宗を禅宗といいます。お釈迦様が、菩提樹の下で瞑想していたため、坐禅を修行の根本に据え「悟り」を目指しています。
普段は、特別信仰のない方でも、初詣、お葬式、法事などでは、この中のいずれかに属するお寺のお世話になっているのではないでしょうか。
菩提寺の宗派はわかりますか?
せっかく、ご縁があるのですから、どのような宗派なのかを知っておいてもいいでしょうね。
本書は漫画ですから、ハードル低く、アプローチできると思います。
以上、マンガでわかる!日本の7大仏教(桑沢篤夫/多田一夫、ユサブル)は、日本の大乗仏教の7宗門について、開祖の経緯や特徴を解説、でした。