『ミスターK&まどかのマンガストーリーとキャラクターのつくり方 前編』は、楽しみながらマンガをつくり、作品を届ける方法を解説したものです。読み終わったときに、作中の登場人物にまた会いたいと思ってもらえることがマンガの最大かつ唯一の目標といいます。
『ミスターK&まどかのマンガストーリーとキャラクターのつくり方 前編』は、UIKOさんが著し、Contigo編集部が編集し、Kindle版で上梓しています。
楽しみながらマンガをつくり、作品を届ける方法を解説したものです。
「前編」とありますが、まだ「後編」はリリースされています。
「前編」自体、まだ発表して時間が経っていないということでしょう。
『マンガの描き方シリーズ』というシリーズ名がついています。
Amazon販売ページでは、「初心者さんへむけてできる限りハードルを下げ、楽しみながらマンガをつくり、より広い読者様へあなたの作品を届ける方法をマンガで解説した本です。」と書かれています。
マンガには、タイトル通り、オリジナルキャラクターのミスターK(PCのキーボードの『K』の妖精)と、まどか(PCのキーボードの『。』の妖精)のふたりが、説明しています。
本書は2023年3月21日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
マンガ制作は8つの流れ
「『マンガってこうだよね』って考えるレベルが、めっちゃ高くなっているよねえ。でもさ、ぶっちゃけさ。絵はそこまでうまくなくても良くない?『おもしろい』と思うのはストーリーがワクワクするからだし、『また読みたい』って思うのって、キャラクターが好きになってまた会いたくなるからじゃない?
読み終わったとき『またミスターKに会いたいな~』って思ってもらえることが、マンガの最大かつ唯一の目標なんだね」
これは、PCのキーボードの『K』の妖精のセリフです。
絵のうまさにこだわって、漫画を描かないのはもったいない。
大事なのはストーリーやキャラクターだよ、という話です。
今は電子書籍市場の、8割がマンガというのはびっくりしました。
そういえば、私もこのブログで漫画をずいぶんご紹介してますからね。
「極端に言えば、円と線さえ描ければ」
あー、それはたしかに極論かも。
逆に言えば、よほどキャラクターとストーリーが完成度の高いものでないとねー。
本書では、『マンガ制作の流れ』として、8つの流れにまとめています。
- なにを描くか考える
- キャラクター・世界観を考える
- プロットを作る
- 長さと表現スタイルを考える
- ネームを描く
- ネームを見てもらい描きなおす
- 仕上げる
- 発表する
うまく描けない人というのは、「2」が抜け落ちていそうですね。
うわべのストーリーだけ思いついても、話が広がらないパターン。
プロットというのは、プロットというのは、結末までの流れですね。
ネームというのは、コマ割りです。
ページごとのコマの構図・セリフ・キャラクターの配置等を大まかに表したものです。
プロは、この段階で編集者に見せて、OKが出たらペン入れを始めます。
本書では、漫画を描くためのツールを紹介してくれています。
タブレットでも、スマホでも、PCでも掛けるツールなら、データをクラウドに保存しておけば、いつでもどこでも描けますね。
ただし、本書では、その前にスケッチブックとお気に入りの鉛筆やペンで描くことを勧めています。
アイデアは寝かせて何度でも見直し、スケッチブックでどんどん描いてみることです。
キャラクター設定の方法についても、本書は教示してくれます。
プロットは、
- 誰のために
- どんな世界で
- なにを伝えたいか
がボイントだと教えてくれています。
面白い作品て、どうやって描けばいいのか。
そもそも、面白いってどういうことか。
本書は、『面白い』の正体についても解説しています。
そして、ストーリー構成の基本は起承転結です。
これは、私も知っています。
ストーリーは起承転結が基本
私は、目からウロコのシナリオ虎の巻(新井一著、彩流社)をご紹介した記事で打ち明けた通り、以前、シナリオの勉強をシていたことがあります。
そのときに教わったのは、本書でも書かれている「起承転結」によるストーリー作り。
私が具体的に教わったのは、「箱書き」という物語の構成方法です。
実際の箱でなくてもいいのですが、まあ紙に長方形を書いて、それを4×2等分でもいいです。
箱書き(構成)の最小単位はシーンで、そこに起承転結エピソードを入れていくのです。
では、起承転結を8等分かというとそうではなくて、1:6:2:1ぐらいの割合ですね。
要するに、「承」の部分が一番厚いのです
箱書きを書く時には、シナリオ(脚本)の最小単位であるシーンを、四角で囲むように書くため、四角形が箱をイメージさせるので箱書きと呼ばれるようになったといわれています。
といっても、いきなり箱書きなんか作れませんよね。
本書が示している8項目の通り、まず、ストーリーの大まかなスケッチをして、そこからプロットを造り、さらに箱書きでシーンごとに出来事を進めて、話を完成させていく。
箱書きというのは、その流れを具体的にシーンごとに書き込んでいくわけです。
後私が教わったのは、アンチテーゼです。
たとえば、
起……友人と意見が異なった
承……友人と喧嘩した
転……勢い余って一方が危ないことになったので相手が助けた
結……お互い謝って仲直りした
なんて話があったとして、仲直りというエンディングのために、最初に仲違いをさせるわけです。
そして、やはり本書にも書かれている通り、大事なのはキャラクターです。
キャラクターが魅力的に描かれているか、というのは大切です。
脚本家の鎌田敏夫さんは、あの人気ドラマ『男女7人夏物語』を描くにあたって、主演の俳優ひとりひとりと面接を行い、その俳優のリアルに近いキャラクターを作り込んでいったそうです。
さらに、登場人物については、かりにドラマでは結局出てこなくても、ストーリー展開とは直接関係なくても、どんな家庭で育ったか、どこの学校を出たのか、といった細部まで決めるそうです。
そこまではっきりと人物像を作り込んでいけば、あとはひとりでに登場人物が動いてくれるので、自然なストーリーが描けます。
といったわけで、みなさんもストーリー作りの参考に、本書をご覧になってはいかがでしょう。
論より証拠で、まず本書に理解を助けていただきながら、ストーリーを完成してみませんか。
以上、『ミスターK&まどかのマンガストーリーとキャラクターのつくり方 前編』は、楽しみながらマンガをつくり、作品を届ける方法を解説、でした。
ミスターK&まどかのマンガストーリーとキャラクターのつくり方 前編 マンガの描き方シリーズ – UIKO, Contigo編集部