人は「そとづら」が9割(三枝理枝子著、アスコム)は、「面相」ではなく「人当たり」の良くなる会話の仕方について解説しています。「私は」となるべく言わない、隙をちょっと見せるのがポインetc…。話題になった書籍のKindle版が遂に登場です。
『人は「そとづら」が9割』は、ANA(全日本空輸株式会社)の国内線、国際線でチーフパーサーを務めた(三枝理枝子さんが、アスコムから上梓した書籍です。
この記事では、Kindle版をもとにご紹介しています。
元来、「そとづらがいい人」というと、あまりいい使われ方ではありません。
また、人はうわべだけでなく、内面を見なければわからない、なんて言われます。
人間にとって、内面と外面はどちらも重要ですが、内面がより重要だと言われることのほうが多いでしょう。
外面は外見や行動など、人々が私たちを見て評価する要素です。
外面は重要ですが、それがすべてではありません。
内面には、価値観、信念、思考、感情など、人間の本質的な部分が含まれています、なんてね。
内面は、私たちが持っている知識や経験、感情、思考プロセスなどによって形成されます。
内面が強い人は、自己理解が深く、自信を持って行動し、他者に対して寛容であることが多いです。
また、内面が弱い人は、自己否定的であったり、自分自身を理解できていなかったり、他人に対して攻撃的になったりすることがあります。
したがって、私たちは内面と外面の両方を大切にしなければなりませんが、内面を強化することは、私たちが自分自身や他人と良好な関係を築くために不可欠なことであると考えます。
……というのが、優等生的な答えですが、著者はここで発想の転換を突きつけます。
「そとづら」がいいということは、決して悪いことではなく、むしろ「そとづら」のよさこそ、私は推奨したいのです。
著者によると、「家族やごく親しい知人を除いて、ほとんどの人とのお付き合いは、言ってみれば「玄関先」で済んでいる」。誰でも、初めて訪れる家は、期待と不安が入り混じっているものです。だから「いい関係を築こうと思うなら、やはり迎え入れる側には、それなりの玄関にしておく準備が必要」とのことです。
もし、玄関が気に食わなかったら、いくら家の中をきれいにしても、相手はそこで引き換えしてしまうでしょう。
つまり、「そとづら」をよくするからこそ、「うちづら」の価値を見てもらえるというわけです。
なお、本書が言うところの「そとづら」とは、化粧をするとか、着飾るといったことではなく、会話の仕方です。
この言葉はイケない、この一言を添えよう、といったことが教示されています。
本書は2023年4月13日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
相手を肯定し、認めることからコミュニケーションは始まる
本書の第1章は、「そとづら力」を上げる。
たとえば、「私は」「僕は」という一人称主語は使わない。
自己主張が強くなりがちだから、といいます。
それより、「〇〇さんは……」と、相手を主語に会話を進めていけば、相手も話を聞いてくれて、会話に心を入れてくれるようになるといいます。
どうしても、自分が伝えておきたい主張があるときは、
「こんな場合があるらしいですね」
「私の知り合いで、こんなふうに考える人がいます」
「誰でも思っているようですが……」
等々、「私」を脇において、一般論にしてみたり、自分の意見を他人に置き換えるだけなどワンクッション入れてみることで、穏やかに相手に伝わると書かれています。
そして、言い回しには敬語をまぶす。
そこには、本来の日本語がもっている「穏やかな慎み深い感情」を美しく表すための言葉がたくさん詰まっているといいます。
「恐れ入りますが」
「お手数をおかけしますが」
「もうご存知かと思いますが」
このような言葉を入れることで、ストレートな強さを包み込む穏やかさとなって、その後にあなたが伝える言葉が相手に受け入れられやすくなるとしています。
しかも、それを早口でなく、ゆっくりと話すことで、謙虚に、慎ましやかに、奥ゆかしくなります。
『朝まで生テレビ』のようなものを見ていると、声が大きいものが勝ち、相手が話す前に自分が話すこと、といった価値観が植え付けられてしまうかも知れませんが、本書では、反論したいときほど黙って相手の話を聞くと、釘を差しています。
「しかし、そうおっしゃられても」
「でもねそういうご意見もあるかと思いますが」
「だから、私はこう思うのですよ」
といった反対意見の定番言葉は使わずに、
「なるほど、おっしやるとおりですね」
「ごもっともです」
「とても参考になります」
など、相手を肯定し、認めることからコミュニケーションは始まるとしています。
反論したくなるときほど、発言は控えめに。「そういう考えがあるのですね。とても勉強になります」と言ってみることを本書では勧めています。
事実なので名前を出してしまいますが、日本共産党が、党員の異論について除名処分したことについて朝日新聞が批判記事を書くと、「差し出がましい」と志位和夫委員長はコメントしました。
あれは、まずかったなと思いました。
マスコミというのは、本来「差し出がましい」のが仕事です。
事件の真相を取材して調べたり、政治家や財界人や公党などに耳の痛い諫言をしたりするんですから。
それを否定したら、「やっぱり日本共産党は独裁だ」と思われるのがオチです。
いや、そう思われて当然です。
受け入れられない意見なら、とりあえず「ご意見は頂いておきます」とか言ってスルーしておけばいいのです。
かつて、山田洋次監督が『武士の一分』という映画のメガホンを取ったとき、主演の木村拓哉がああだこうだと提案したのを、ニコニコ笑いながら聞いていてたものの、結局何一つ使わなかったというエピソードが有りました。
いい大人が、それぐらいのことをできなくてどうするですか。
ペットや子供の話題は厳禁
会話をする場合、共通の関心事をテーマとしなければ、相手はノッてこないですよね。
まあこれは本書に限らず言われていることですが、ペットや子供の話題は厳禁とも書かれています。
ペットは好き嫌いがありますしね。
たとえば、私は、犬や猫の話をされても、全く関心がありません。
むしろ苦手です。
少なくとも、その家で飼っているペットなんだから、私とは何の関係もないわけですしね。
子供の話は、まあある意味、もっともデリケートな話題ですよね。
だって、お金を出して買えるものではないですから。
ネットでは、高齢出産というキーワードは必ず荒れます。
率直にいうと、子どもが欲しい人のヤキモチです。
私は、2人目の子が妻が43歳の時の子だったので、率直に羨ましいという人とともに、ドロドロとしたやきもちを焼く人もいました。
そんなもん、授かりもんなんだから、生まれたことに嫉妬しても仕方ないんですよ。
と言っても、人の負の感情って、なかなかおさまらないですよね。
気持ち悪くて気持ち悪くてねえ。
というわけで、「そとづら」改革をしてみたい方は、ぜひ本書をご覧ください。
以上、人は「そとづら」が9割(三枝理枝子著、アスコム)は、「面相」ではなく「人当たり」の良くなる会話の仕方について解説、でした。
人は「そとづら」が9割 – 三枝 理枝子
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