仏壇じまい~仏壇・仏像・位牌の片づけ・処分方法~(暮らしの仏教振興会著)は、仏壇、ご本尊、お位牌、仏具の処分方法を解説した書籍です。核家族化の中で、ご先祖の面倒を見られなくなったり、将来見られなくなる場合に知っておきたい内容です。
『仏壇じまい~仏壇・仏像・位牌の片づけ・処分方法~』は、暮らしの仏教振興会が上梓したKindle書籍です。
AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
暮らしの仏教振興会とは、平成29年に発足した、葬儀社、仏壇店、石材店、寺院、弁護士、司法書士、遺品整理など有志で構成された団体だそうです。
個人的には、『墓じまい』というのは聞いたことあるのですが、『仏壇じまい』とは初めて聞くので、興味深く拝読しました。
まあ考えてみれば、ご先祖との付き合いを終了するには、墓だけでなく仏壇(の中身)もなんですよね。
都会では、仏壇のある家庭のほうが少ないかも知れませんが、それだけに、その処分の方法がまとめてあるのは有用です。
仏壇の構成物の行き先
仏壇じまいと言っても、仏壇そのものだけではなく、仏壇の中身も当然含めます。
本書によると、その構成物の「じまい」はこうなっています。
ご本尊
仏壇の主役は、本来位牌ではなくご本尊です。
こちらの処分は一択です。
浄焚(焚き上げ、焼却)のみです。
位牌・過去帳
家庭に仏壇を置く最大の理由は、先祖や家族の位牌を置くためではないでしょうか。
当然、位牌には宗教的な意味のあるもので、魂入れをしていますが、まずは魂抜きをします。
その上で、こちらは3通りあります。
親戚の仏壇、永代供養(寺の本堂)、浄焚(焚き上げ、焼却)です。
位牌というのは、その人(家庭)で拝みたいからお寺に作っていただくものです。
たとえば複数の兄弟がいる場合、両親の位牌が複数ある場合もありえます。
本書によると、ご本尊と違うのは、位牌に書かれている先祖の供養を今後も続けるのかどうか、処分する時点で判断しなければならないということです。
「お仏壇をしまうタイミングで、ご先祖様の供養を打ち切るのも一つの判断かもしれません」と書かれています。
過去帳については、魂入れはされていないので、最後の供養を行った後、浄焚(焚き上げ、焼却)することとしています。
仏壇本体
仏壇の処分は、意外と難しいのです。
仏壇に直接魂を入れているわけではないので、粗大ごみでもいいように思います。
げんに、粗大ごみでは仏壇も受け付けています。
本書では、浄焚(焚き上げ、焼却)か廃棄です。
私が、祖父母の墓のあるお寺に尋ねると、位牌についてはお焚き上げを受け付けてくれますが、仏壇については、購入した仏具屋さんがいいと言われました。
要するに、持ち込まれたら迷惑なのかも知れませんね。
仏具
仏具については、廃棄の一択です。
具体的には、ろうそく立て、香炉、花立、仏飯器、湯茶器、高杯(供物台)、おりん、木魚などです。
本書は、そもそも仏具については「宗教的ではない」としています。
つまり、宗教的な処分を必要としていないということです。
遺影はどうする
もうひとつ、仏壇とセットになっているものとして遺影があります。
これはどうしたらいいでしょうか。
詳しくはwebで
【お仏壇・遺影】魂抜きするもの・しないもの【曹洞宗のお坊さんが解説】https://t.co/IiDtUaV9H8
— 大慈@お寺YouTuber?? (@Daiji_Zen) April 5, 2021
仏教・お寺ch 大慈さんの動画です。
大変参考になる動画をYoutubeで知ったので、シェアします。
宗派によっては、違う見解もあるのでは? という素朴な疑問はあるかもしれませんが、他宗派の住職が「いいね」を付けたり、リツイートしてくれたりするそうです。
曹洞宗目線ではあっても、仏教的な間違いはない、ということでしょうか。
結論から書きます。
位牌・仏像……魂抜きをします
仏壇……魂抜きはせずお焚き上げします。線香立てなど中の道具も含めて
遺影……必要ありませんが、個性の表現なので気になるのもやむなし
お守り・お札……物による(いただいたお寺に直接相談を)
まあだいたい予想通りですが、見解が知りたかったのは遺影です。
そもそも遺影は、偉人のように長く歴史として伝えられる以外では、いつまでもある事自体、よくないそうです。
なぜかというと、戒名をつけるのは、生前とあり方が変わることを意味している。
33回忌ぐらいから遠忌(おんき)といって、面識のない子孫による法要になっていく。
そして、50回忌を過ぎて「ご先祖さま」というざっくりとした存在になっていく。
そこからさらに時間がたち、「ナニナニ家のご先祖様というところからも埋没していき、仏教の世界そのものに溶け込んでいく」というのです。
つまり、年月の経過とともに「人間であることをだんだん抜いていき、個性を抜いていく」のに、顔を思い出したり認識したりする遺影は「個性をとどめすぎる」というのです。
お寺によっては、魂入れをすることもあるのかも知れませんが、亡くなった人については、いつまでも存在をとどめすぎることなく、ほどよく忘れて乗り越えていくことが必要ではないでしょうか。
仏のことを熱心に行うと短命なの?
私の家には、父方祖父母の仏壇と遺影があります。
祖父母はとっくに50回忌も超え、祖母に至っては80年以上経っているので、率直なところ、「いつまで置いとけば良いんだ」とストレスにすらなっています。
私のおばや、従兄弟は低級な連中で、さんざん祖父母に世話になったくせに、仏を大事にしませんでした。
仕方ないので、家督も相続せず長男でもない私の父が、位牌を預かり、墓守もしていのです。
そして、父が亡くなってからは、祖父母とは一面識もない私と母が、祖父母があまりにもかわいそうに思い、それを引き継いだのです。
しかし、合理的な根拠はありませんが、よく「仏のことを熱心に行うと短命だ」というでしょう?
私の亡父は、墓だ、仏壇だ、遺影だ、法事だと「仏のことを熱心に行」い過ぎ、実際に短命でした。
私も、火災を経験して無一文になってしまった不幸な人生だし……。
祭祀承継してもロクなことがありません。
妻が言うには、野に生きる動物と同じで、「かわいそうだ」などと情なんかかけると、ホトケの方がくっついて離れなくなると。
野に生きる動物がそうであるように、人に馴染んではいけないと。
一理あると思いました。
いずれにしても、先祖の供養は私の代で終わりにしたいのですが、祖父母の菩提寺は、位牌は魂抜き&お焚き上げを引き受けたものの、それ以外は良い返事をしなかったのです。
仏壇の処分は業者がいるのですが、遺影だけはどうしたものか処分に困っていました。
ということで、仏壇のあるご家庭には必携の書籍と言えるでしょう。
以上、仏壇じまい~仏壇・仏像・位牌の片づけ・処分方法~(暮らしの仏教振興会著)は、仏壇、ご本尊、お位牌、仏具の処分方法を解説、でした。