『医療詐欺「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』 (上昌広著、講談社+α新書) は現役医師が現在の医療の問題点を指摘している書籍です。現役の医師・医学者が自分の活躍する分野を真っ向から物申すことはきわめて異例です。
医師・医学者として現在の医療の問題点指摘
『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(上昌広著、講談社)を、新刊ではないのですが読んでみました。
著者の上昌広さんは、東京大学医科学研究所特任教授。
本書では現在の日本の医療の問題点を次々枚挙しています。信ぴょう性はありますが、それだけに問題点はリアルで深刻です。
本書では、すでにマスコミも取り上げている医療スキャンダルをまとめ、さらに著者が医師・医学者として、改善案を提案しています。
御用学者、御用マスコミが「闇」を作った
たとえば、第一章は、昨今話題になった、製薬業界と医療機関の癒着から入っています。
降圧剤のバルサルタンの医師主導臨床研究に、製造元社員が統計解析者として、臨床データ操作に関与しました。
しかもその研究は、「奨学給付金」といって、製薬会社から大学への研究費を提供できる制度のもとに行われましたが、カネの出処は製造元だった、という話です。
つまり、ヤラセ疑惑+お手盛り、というわけです。
東京大学医学部附属病院が、白血病治療薬の臨床試験に対する不正関与したという「東大病院腫瘍・血液内科事件」も話題になりましたが、これもまた、御用学者、御用マスコミの存在があったと著者は指摘しています。
本来、人間の命にかかわる重要な立場であるはずの医療には、実にこんな問題がある、ということを、東京大学医科学研究所という、医師・医学者の世界のメインストリームにいて、著名な雑誌に論文をいくつも書いている現役が述べている、というところに何よりの意義があります。
普通、自分の携わる業界のスキャンダルは、事実であっても見て見ぬふりをするものです。
歯科医師を除く医師不足の問題は、1979年の琉球大学医学部以来、自由民主党政権が医学部増設をタブー化してきたからといいますが、政権交代でその風穴があいたとしています。
民主党政権は、おおむね国民の期待を裏切ってくれましたが、東北薬科大の医学部設置は、政権交代による成果というわけです。
混合診療については、著者は推進派です。
国に依存し、カネを引っ張るのではなく、医療機関は競争で利益を得て、患者への医療サービス(安全性)に還元すべきだ、と提案しています。
航空会社がビジネスクラスという料金の差別化で利益を得て、あらゆる交通機関の中でもっとも事故の確率が少なくなったことを根拠としています。
鋭い指摘だけに賛否両論
その一方で、たとえば、Amazonのレビューでは、こんな指摘もあります。
これはまあ、仕方がないでしょうね。
著名な教育学者が、町の小学校の教育現場まで、もれなく理解しているかといえば、そうではないだろうし、だからといって、その研究者の価値が全否定されるものでもないでしょう。
地域医療の問題は、またその専門家に頑張っていただくことにしましょう。
ちょっとむずかしい内容かもしれませんが、私たちの命と健康に直結する問題なので、知っておくことは重要だと思います。
ヒートショックプロテイン、続けています
話は変わりますが、先日、健康診断の採血で神経を傷めました。
採血注射を健康診断で行ったのですが、注射針を入れた瞬間、親指が電気が走るようにビリビリしびれ、すぐに抜いてもらいました。しかし、その後も腕から肘にかけて、筋が張ったような気持ち悪い状態が続いています。神経損傷は、注射針を入れる限り、あり得るリスクだとは聞いていましたが、初めての経験です。
その採血の結果が出てきたのですが、おかげさまで20代の頃と数値は変わらず、今年は胸部レントゲンでも問題なしでした。
私は、胸板が薄いらしく(汗)、肋骨の前の部分がはっきりとうつリすぎるため、その一部を腫瘍ではないかと疑われたことがあります。
「こんなにはっきりうつるのは珍しい、こんなに痩せているとは」
などと、体格のいい女医に今回も言われてしまいました。
それってドクハラでは?(笑)
いい年して、ラーメンライスは腹いっぱい食べて、甘いものも大好きですが、気にしていた尿酸値や血糖値・HbA1cなども下がり、逆に善玉コレステロールは上がりました。
ますます運動不足で、不規則な生活に拍車がかかる私の数値が悪化しなかったことで考えられる原因は、ヒートショックプロテインぐらいしかありません。
42度の風呂に10分入って、体温を38.5度以上にする健康法であることは先日ご紹介しました。
以前から、血糖値の上昇を防ぎ、善玉コレステロールを上げるのではないかと思っていましたが、今回改めてそう感じました。
今も週に1~2度行っていますが、今はもう42度も慣れてしまい、もっと熱い風呂でないと入った気がしなくなってしまいました。
ささやかな私の道楽であり贅沢であり健康法です。
以上、『医療詐欺「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』 (上昌広著、講談社+α新書) は現役医師が現在の医療の問題点を指摘、でした。