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名作落語50席がマンガで読める本(版東園子/著、二ツ目ユニット「成金」/解説)は、古典落語50の演目をマンガと解説で紹介

名作落語50席がマンガで読める本(版東園子/著、二ツ目ユニット「成金」/解説)は、古典落語50の演目をマンガと解説で紹介

名作落語50席がマンガで読める本(版東園子/著、二ツ目ユニット「成金」/解説)は、古典落語50の演目をマンガと解説で紹介しています。中には『紺屋高尾』『居残り』『黄金餅』など、映画やテレビドラマ化されておなじみのものもあります。

『名作落語50席がマンガで読める本』は、版東園子さんが漫画で落語のストーリーを描き、若手落語家グループの「成金」が、演目の成り立ちや世界観、実際には落語家にどんなふうに演じられたかなどを解説。KADOKAWAから上梓しています。

古典落語50の演目については、すでにAmazonの販売ページで公開されています。

粗忽長屋/大工調べ/らくだ/野ざらし/あくび指南/夢金/出来心/粗忽の釘/子ほめ/火炎太鼓/宮戸川/崇徳院/紺屋高尾/たちぎれ/錦の袈裟/紙入れ/たらちね/悋気の火の玉/厩火事/明烏/品川心中/居残り/お見立て/三枚起請/元犬/猫の災難/ねずみ/権兵衛狸/寿限無/初天神/真田小僧/桃太郎/子別れ/時そば/酢豆腐/目黒のさんま/饅頭怖い/応挙の幽霊/親子酒/禁酒長屋/長屋の花見/芝浜/文七元結/藪入り/鰍沢/死神/お菊の皿/黄金餅/あたま山/化物使い

落語については、そのストーリーをつかったテレビドラマや映画もあります。

ここでは、主な演目がどんなドラマや映画に使われたかもご紹介しましょう。

本書は2022年10月28日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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紺屋高尾


紺屋高尾(こんやたかお、こうやたかお)は、染物屋の奉公人が吉原の花魁、高尾太夫に惚れ込み、その思いを成就する話です。

神田紺屋町の染物屋吉兵衛奉公人、久蔵は偶然見た花魁道中で高尾太夫にひと目ぼれして寝込んでしまいます。

心配した親方が事情を聞き、「十両あれば高尾太夫に会える」と言うと、久蔵は3年間寝る間を惜しんで働き、親方がそれに1両足して10両にしてくれました。

そして、念願かなって高尾に会えますが、「次はいつ来てくれるの?」と聞かれると、久蔵は泣きながら「3年たったら…」と答え、その日のために3年間必死働いて金を貯めた、また貯めなければならないから次に会えるのは3年後になると打ち明けました。

事情を聞いた高尾は、自分を3年も思ってくれたことが嬉しい、来年の3月15日には年季が明けるので、その時に女房にしてほしいと言い、久蔵が持参した十両と形見にと香箱の蓋を渡しました。

九蔵は高尾との約束を奉公先で報告しますが、誰も信じません。しかし、本当に約束の日に高尾は文金高島田の姿でやってきました。

九蔵は暖簾分けを許され、2人は幸せに暮らしましたとさ。

商家のしがない奉公人が、高嶺の花だった吉原の太夫を嫁にもらう、一方で遊女でも堅気の男と所帯を持って幸せになれるという、男女ともにウインウインな夢のある話なので、映画やドラマの恋愛ものはこれがベースになっているストーリーが多いですね。

幾代餅(いくよもち)という、舞台を米搗き屋(精米店)にかえただけのほぼ同じストーリーもあります。

『水戸黄門』(第7部)の32話で、太夫を野際陽子さん、奉公人を松山省二さんが演じた話が印象に残っています。

野際陽子さんがきれいでしたよ。

らくだ


『運が良けりゃ』(1966年、松竹)という、落語の熊さん(ハナ肇)、八っつぁん(犬塚弘)をモチーフにした山田洋次監督作品。

『らくだ』『さんま火事』『突き落とし』『黄金餅』など、複数の江戸古典落語を下敷きにしています。

らくだという、日頃から素行の悪い男がいました。

半次という、らくだの兄貴分が、らくだがフグにあたって死んだから通夜の席を設けろと言いに来ました。

屑屋の久六がそれを受けて長屋の面々に知らせたのですが、まず、長屋の家主は嫌がって断りました。

理由は、らくだは生前、家賃滞納王だったからです。

半次は、らくだの死骸を久六に背負わせて家主の家に行き、家主の目の前で死骸にカンカン踊りを踊らせます。

せしめた酒を飲んでいると、久六の人が変わり、「らくだの死骸を焼いてもらいに行こうじゃねえか」と言い出しました。

途中、らくだの亡骸を落としてしまいますが、酔って寝込んでいた願人坊主をらくだと間違えて桶に入れ、焼き場で火を付けると、坊主が目を覚ましました。

「アツツツ、ここはどこだ」
「ここは火屋(ひや)だ」
「冷酒(ひや)でいいから、もう一杯くれ」

黄金餅


下谷の山崎町の裏長屋に住む、身寄りもない老人・西念は相当の小金をため込んでいます。

世話を焼いてくれる金兵衛にあんころ餅を買わせ、「一人で食べたいから帰ってくれ」と追っ払うので、腹がたった金兵衛は「なにか特別の食べ方でもあるのか」と外から覗き見をすると、西念は餡を取り出してかわりに小判を入れて食べているではありませんか。

しかし、やはり無理のある食べ方だったのか、喉につまらせて死んでしまいます。

金兵衛は長屋の連中を集めて形ばかりの弔いを行った後、火葬人に「ナマ焼け」と注文して、焼いた亡骸から小判をいただき、餅屋を開業して成功するという話です。

前出の『運が良けりゃ』(1966年、松竹)という、落語の熊さん(ハナ肇)、八っつぁん(犬塚弘)をモチーフにした山田洋次監督作品に、まさにこのシーンが出てきます。

西念は守銭奴のおかん婆(武智豊子)、火葬人は渥美清、小判をいただくのは熊(ハナ肇)、あんころ餅を買ってきてあげるのは熊の妹・せい(倍賞千恵子)という設定です。

『運が良けりゃ』は、底辺に生きる人間のしたたかなエネルギーを描いた作品なので、まさに「悪銭身につく」この黄金餅こそが作品全体のベースにあるのだろうと思います。

居残り


居残り佐平次は、『幕末太陽傳』(1957年、日活)という、川島雄三監督による、東海道品川宿・遊女屋相模屋を舞台にした時代劇で映画化されました。

主人公の佐平次を演じるフランキー堺を中心に、石原裕次郎、小林旭、二谷英明、左幸子、南田洋子など、当時から映画で活躍していた顔ぶれが揃います。


オープニングには、懐かしい八ツ山橋や北品川の町並みも写っています。

佐平次(フランキー堺)は、文無しのくせに遊女屋相模屋で遊んだために、宿の主人夫妻(金子信雄、山岡久乃)は居残り奉公をさせることに。

「居残り奉公」というは、代金を支払えなかった者に対して、代わりの者(一緒に来た者や家族など)が代金を支払うまで、その身柄を拘束したことを言います。

でも要領の良い佐平次は、下働きの奉公だけではおさまりません。

宿の息子・徳三郎(梅野泰靖)と、女中のおひさ(芦川いづみ)の仲のとりもちを10両で引き受けたり、御殿山英国公使館の焼打ちを謀っている泊客・高杉晋作(石原裕次郎)のために、出入りしている大工に公使館の地図を作らせたりして小金を稼ぎます。

そして、焼き討ちを見届けた佐平次は宿を発とうとしますが、看板女郎のおそめ(左幸子)とこはる(南田洋子)から求愛を受けます。

しかし、結核を患っている佐平次は、自分の将来もわからないのでどちらも断ります。

そして、こはるが嫌がっているこはるの客には、こはるは急死したといって、適当な墓を教えて東海道の松並木を去って行きます。

これらが漫画と若手落語家たちの解説付きで読めるのが本書です。

いかがですか。読んでみませんか。

以上、名作落語50席がマンガで読める本(版東園子/著、二ツ目ユニット「成金」/解説)は、古典落語50の演目をマンガと解説で紹介、でした。


名作落語50席がマンガで読める本 – 東 園子, 二ツ目ユニット「成金」


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