嗚呼!!花の応援団(漫画/どおくまん、原案/太地大介、eBookJapan Plus)は、大阪の南河内大学応援団のギャグ群像劇漫画です。中でも、親衛隊隊長で3回生青田赤道の、ハチャメチャな行動に振り回される富山一美と北口良一のドタバタがストーリーの中心です。
『嗚呼!!花の応援団』は、どおくまんが描いた作品をeBookJapan PlusがKindle化しています。
本作は、双葉社の『週刊漫画アクション』に、1975年10月16日号~1979年5月24日号まで連載され、映画化もされました。
「クェックェックェッ」「ちゃんわちょんわ」「役者やのう」などのセリフが流行語になりました。
たしか、当時のテレビCMで、湖池屋のポテトチップスが採用していたと記憶しています。
連載からかなり時間が経っていましたが、とんねるずの『森永チョコボール』も、「クェックェックェッ、チョコボール」と歌っていたように思います。
映画は、にっかつで1976年から1977年にかけて3本作られています。
当時の日活は、ポルノ路線にカジを切っていましたが、ナンセンス漫画を原作にした作品もありました。
たとえば、『みんなあげちゃう』という弓月光さんのストーリーギャグ漫画があるのですが、それには、私は当時調布の事務所で仕事をしていたので、エキストラで2度ぐらい呼ばれたことがあります。
それはともかくとして、本作は、大阪南部にあるとみられる架空のFラン大学・南河内大学の応援団を舞台にして、団員を巡る暴力、下ネタなど過激なネタをふんだんに盛り込んだストーリーギャグ漫画です。
ストーリーは、無理やり応援団に入らされた、1回生の富山一美と北口良一が経験する出来事で、その多くに青田赤道という破天荒な3回生が絡んできます。
その青田赤道が、人気ものになったのですが、かといって、すべての話に登場するわけではありません。
その他にも同級生や先輩部員がストーリーを動かしており、ドラマや映画で言うところの群像劇(特定のヒーローではなく複数の登場人物を活写する)になっています。
ですから、誰が主役というべきか、迷ってしまいます。
連載当時、私は高校生でしたから応援団という世界は全く分からなかったし、大阪も行ったこともなかったので、松田優作さんではありませんが、「なんじゃこりゃー」という印象でした。
しかし、その後、やはり、どおくまんプロで描かれた漫画『なにわ遊侠伝』が大変面白くて、そこからまた『嗚呼!!花の応援団』に戻って読むようになり、「ああなるほど、面白いや」と感じた「遅れてきたファン」なのです。
本書は全15巻が2023年3月20日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
応援団の人間関係や日常をナンセンスギャグでコーティングして描く
第1話は、1回生の富山一美のひとり語りから始まります。
富山が入った大学は、大阪河内の辺鄙なところにある、今で言うFラン大学。
入学式の日に怖そうな兄ちゃんに応援団に入れられたそうです。
入団してからやることは、まずは先輩に会ったら馬鹿でかい声で「オッス」ということ。
先輩がタバコを持ったら、さっと火をつけること。
火をつけるにもタイミングがあるので、先輩がタバコを咥える前から、後輩はマッチを持って構えていなければならないそうです。
第2話では、応援団が体育会系の応援中(試合中)は、団旗を絶対におろしてはいけないと描かれています。
これは、私も聞いたことがあります。
年間通して、応援団が試合の応援をするのは数日。
そのために、体力を鍛えるトレーニングをしたり、先輩の奴隷のような仕事をシたりシます。
たかが1~3年先輩なだけで、どうしてこんなバカなことをしなくてはならないのか、と思うことも少なくないとか。
しかし、これは体育会系はみなそうですね。
だから、私は高校や大学の部活に馴染めませんでした。
私なんか、高校時代は映画研究部でしたが、それでも部長と折り合いが悪くてやめましたから(笑)
とにかく、このへんは実際の応援団にありがちな話です。
第1話では、先輩団員が噂をするだけで、まだ青田赤道は登場しません。
団員を一通り登場させないで、いきなり青田赤道を登場させると、青田赤道の一人舞台になってしまうので、群像劇としての体裁を保っているわけです。
それにしても、統制部長とか、青田赤道は親衛隊隊長とか、団員はネットで調べても通常の応援団にはない肩書もあるのですが、大学によって、いろいろあるのかもしれませんね。
青田赤道の初登場は、その応援団が野球の応援をしているときに、野球の試合に出場しているというシーンからです。
いきなり破天荒ですね。
でも、運動神経はよさそうです。
そこで、代打逆転満塁サヨナラホームランを打ったことで、お酒などお祝いが届くのですが、青田赤道は、富山一美と北口良一にその酒を路上で売らせます。
まあ、往来に酒を並べても、誰も買うわけ無いですよね。
青田赤道は、酔っぱらいを捕まえて、「酒が好きなら買え」と勧めます。
酔っ払いは断りますが、青田赤道は、コインをぐにゃっと曲げ、さらにそれを食べてみせ、ビビった酔っ払いは酒を買います。
そして、その上がりでキャバレーへ。
エロエロ楽しんで、もちろん酒を飲んで、それでも帰りは青田赤道の車で帰ります。
ずいぶんな大学生です。
ということで、いささかエッチで乱暴だけれど、応援団の仕組みや日常の一端も描かれている、たんなるギャグ漫画ではない面白さがあります。
群像劇が楽しい
第1巻の表紙には、主な登場人物が描かれていますが、くずれたマスゲームのような体制に、頂上で青田赤道が、犬が“お手”をするように手を出し、片足を後ろに上げて、蛇のように舌を出しているポーズは、もう作品を読んだことのない人でも覚えているのではないでしょうか。
コントのゆーとぴあの、城後光義(ホープ師匠)さんがサゲでやっていた「ヨロシク~ネッ!」と並び称される定番ポーズです。
私は、どちらかというと、単独ヒーローの話よりも、こういう群像劇の方が好きなんです。
中学や高校時代は、あまりアイドル歌手と言っても、どんぐりの背比べに見えてそんなに熱心になれなかったのですが、1985年におニャン子クラブが出てきたときは、いつのまにか夢中になり、25周年ではとうとう『おニャン子クラブ&ソロデビュー・レコジャケOTAKARAファイル』という本まで書いてしまいました。
『おニャン子クラブ&ソロデビュー・レコジャケOTAKARAファイル』(草野直樹著、鹿砦社)はグループ結成25周年に詳細な解説で振り返るファン待望の書です。https://t.co/w4DOUryTQQ #おニャン子クラブ #福永恵規
#夕やけニャンニャン— 赤べコム (@akabecom) March 19, 2023
同じ大阪を舞台にした話ですと、やはり先日『じゃりン子チエ』をご紹介しました。
作風の違いはもちろんありますが、大阪の街が親しみやすく描かれている点では共通項があるように思います。
じゃりン子チエ【新訂版】(はるき悦巳著、 双葉社)は、1978年~1997年まで19年にわたって週刊誌に連載された漫画の単行本 https://t.co/TThgu8U1jI
— 石川良直 (@I_yoshinao) March 19, 2023
それと、青木雄二さんとか、川崎のぼるさんなども含めて、大阪発の漫画って、結構濃いですよね。
細かいというか、丁寧というか。
うどんのつゆは、関東のほうが濃いですが、漫画はその逆ですね。
なつかしい傑作。おすすめします。
以上、嗚呼!!花の応援団(漫画/どおくまん、原案/太地大介、eBookJapan Plus)は、大阪の南河内大学応援団のギャグ群像劇漫画、でした。
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