学研まんが NEW日本の伝記5 紫式部(イラスト/北神諒、編集/谷口孝介)は、紫式部の生涯と、著作『源氏物語』のあらすじを紹介しています。一条天皇(第66代天皇)の中宮彰子付きの女房として出仕していた5年間に作品を完成させたと言われています。
紫式部(むらさきしきぶ)は、平安時代中期の歌人・作家・女房(女官)です。
正確な生没年は不明ですが、970年から978年の間に生まれ、1019年ごろに亡くなったとされています。
父は、宮中にお使えした貴族で藤原北家の出身である藤原為時。
曽祖父は、文学者として『聖徳太子伝暦』を著した藤原兼輔です。
したがって、紫式部の本名は、姓は藤原になりますが、名は不明です。
式部とは、父親がお使えしていた宮でもある、現在の文部省に当たる名称で、要するにペンネームです。
『源氏物語』の作者で、いくつかある著作の中では生涯で唯一の物語作品ですが、これが日本文学史上に残る有名な作品になりました。
『日本書紀』は昔の話。
『竹取物語』は現実離れしすぎる。
私だけの物語を書けないものか。
物語だから架空の話。
だけど現実に起こりそうな、実際に起ってもおかしくない話。
人の心を……、喜びや悲しみ、恋を描く……。
一人の美しい男性を主人公にした、彼の人生と、出会う女性たちとの恋の物語。
そう考えた紫式部の、生涯をかけた力作です。
虚実ないまぜ。梶原一騎先生風のルーツと言えるでしょう。
宮仕えの約5年間で『源氏物語』を完成
紫式部は、藤原為時の娘として京都で生まれ、才能ある家庭で育ちました。
父が兄に勉強を教えているのを見て、兄以上に知識を吸収していきました。
20代後半で藤原宣孝と結婚。一女をもうけますが、夫は流行病のため、3年でシ別してしまいます。
その後、兄も亡くなり、不幸が続いたことがなにか心境を変えたのか、彼女は『源氏物語』の執筆を始めます。
その評判は宮中に広がり、続きを読みたがる人が増え、一条天皇(第66代天皇)の中宮であり、教養のある人を登用した藤原道長の娘・彰子付きの女房として出仕しました。
宮仕えは約5年間で、その間に『源氏物語』を完成させ、併せて『紫式部日記』を書き終えたとされています。
紫式部の作品は、平安時代の貴族社会を色鮮やかに描き出し、後世の文学に多大な影響を与えました。
彼女の和歌は「百人一首」にも収められており、歌人としても高く評価されています。
紫式部の功績は、日本文化史において非常に重要なものとされています。.
平安時代の貴族社会を色鮮やかに描き出す
源氏物語の人物相関図は頭に叩き込んでおきましょう?? pic.twitter.com/nmNByMjLPH
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『源氏物語』は、美貌と才能に恵まれた光源氏の一生と、彼の子孫たちの物語です。
物語は三部構成に分かれています。
第一部では、按察大納言の娘が、桐壺帝の更衣として後宮に仕えたところから始まります。
その美貌と、優れた品格で桐壺帝に深く愛されましたが、他の妃たちからのヤキモチによるいじめに苦しみ、せっかく息子の光源氏が生まれたのに、幼い頃に亡くなります1。
彼女の早逝は、光の母親に対する深い憧れと愛情を形成する要因となります。
また、彼女の死後、桐壺帝は彼女に瓜二つの美貌を持つ藤壺の宮を後宮に迎え入れます。
この藤壺の宮への禁断の恋が、光源氏の複雑な恋愛感情の始まりとなります。
彼は多くの女性との恋に生き、政治的な権力をも手に入れます。
第二部では、光源氏の老いと苦悩、そして最愛の女性とのシ別を経て、出家を決意します。
この部分では、光源氏のシが示唆されています。
第三部は、光源氏のシ後を描き、彼の子や孫たちの恋愛や人生が中心となります。
特に宇治十帖では、宇治の三姉妹と光源氏の子孫たちの複雑な恋愛模様が描かれています。
全体を通して、平安時代の貴族社会の風俗や心理描写が細かく描かれており、日本文学の古典として高く評価されています。
私はかつて、源氏物語の『宇治十帖』編で卒論を書きました。
私が不真面目だったから、指導教官との折り合いも悪かったのですが、でもやっぱり懐かしいなあという思いがこみ上げてきます。
紫式部は仏教に帰依したのか
さて、本作は虚実ないまぜと書きましたが、実は紫式部自身、自分の不幸な出来事から人生をはかなみ、出家を考えていたとする説があります。
紫式部が出家を考えたという話については、彼女の父・藤原為時が任期を残して出家したことと関連付けて語られているようです。
ただ、紫式部自身が出家を考えたという直接的な記録は見つかっていません。
紫式部の晩年に関する詳細は不明であり、彼女の生涯については多くの部分が謎に包まれています。
そこで、本書で彼女の生き様を知ったうえで、作品を読むと、その「謎」である彼女の仏教への帰依についての考察もできると思います。
宮沢賢治や芥川龍之介ほどミエミエではありませんが、随所にそれが垣間見えるのてはないかと私は思っています。
源氏物語は、読まれましたか。
以上、学研まんが NEW日本の伝記5 紫式部(イラスト/北神諒、編集/谷口孝介)は、紫式部の生涯と、著作『源氏物語』のあらすじを紹介、でした。
学研まんが NEW日本の伝記5 紫式部 はなやかな王朝絵巻『源氏物語』の作者 学研まんが NEW日本の伝記 – 北神諒, 谷口孝介