『完全保存版 THE芸能スキャンダル!』は、1950年以降の結婚、離婚、不倫、事件、各種トラブル等をまとめた読み物です。たとえば、石立鉄男&吉村実子さんの結婚と離婚など、かつての人気俳優の知られざる、もしくは疑惑の残った出来事を振り返っています。(キャッチ画像左側は『シンデレラの財布』(TBS)より)
本書の、サブタイトルを含めたタイ式タイトルは、『1950年~2016年「あの日」の真相474連発!完全保存版 THE芸能スキャンダル!』です。
2011年~2014年まで、『日刊ゲンダイ』に掲載された名物連載「プレイバック芸能スキャンダル史」の総集編です。
もちろん、日刊ゲンダイが編集し、徳間書店から上梓されています。
本書Kindle版は2022年7月24日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
なお、今回については登場芸能人の数が多いので、敬称は略させていただきます。
たかが芸能、されど芸能
本書『完全保存版 THE芸能スキャンダル!』は、2011年から2014年まで夕刊紙「日刊ゲンダイ」紙上に掲載された名物連載「プレイバック 芸能スキャンダル史」の総集編です。
芸能スキャンダルを元に、その時期にどんな事件、出来事があったのかを振り返ることができることをテーマにしたそうです。
サブタイトルの通り、1950年~2016年に起こった、もしくは報じられた芸能人の結婚、離婚、不倫、事件、各種トラブル等474件を振り返り、その真相をまとめています。
あとがきには、「生まれた時、結婚した時、一生で忘れられない思い出の月日に世の中ではどんなことが 起きていたかを、スキャンダルとともに思い出すことができるなら、記憶も鮮やかに蘇る のではないかとも考えました。」と、企画意図について書かれています。
芸能記事というのは、もっぱら娯楽的消費物で、センセーショナルに報じられてその時は話題になるのですが、いつしか忘れさられます。
書く方も書きっぱなし、受け手も「ああ、そんなこともあったね、忘れてた」なんて感じで。
その意味で、本書のように過去の出来事を事実に基づいて記録しておく書籍というのはめずらしい。
手前味噌ですが、拙著『平成の芸能裁判大全』(鹿砦社)は、かつて報じられた芸能人の訴訟報道について、裁判記録だけでなく和解や判決まで追跡し出版関係者のインタビューも掲載しました。
その資料的価値は当時も話題になりましたが、本書はまさに、芸能スキャンダル全般を拾っています。
「なんだ、芸能記事なんて政治や経済のような重要さを感じないね」
と、思いますか。
でも、芸能リポーターとして活躍された梨元勝さんは、私のインタビューにこう答えています。
そうやって、『週刊新潮』や『女性自身』の草柳大蔵、『週刊明星』や『週刊文春』の梶山季之といった人たちの時代があったわけです。
テレビも同じ手法ですよ。僕らが突撃で行ったのは、否定なら、それを現場に行ってインターホン越しのやりとりを通して視聴者に自然に伝えようということです。
芸能のレポートで身過ぎ世過ぎをしているという非難もありますが、たかが芸能、されど芸能です。
さきほどの新聞の1行、2行の話ですが、行間を実際の現場取材で確認してつまびらかにすることで、視聴者の誰にでもより大きく深い真実として明らかにする。
その方法論によって、政権だって倒れることもあります。
これは、『梨元勝「発表リリースとか、クラブの協定とか、もらい下げの情報で済ませちゃダメですよ」芸能リポーターの意義を語る』でご紹介した記事です。
芸能人も人間です。
その報道には、私たちの生き方に反映したり、社会背景を考えたりするものがあると思います。
エコの時代ですが、芸能報道も「消費する」だけではなく、きちんと最後まで知って総括する試みがあってもよいのではないでしょうか。
474件は盛りだくさん
第1章は、 結婚・離婚・破局 (1950年~1989年)。
大屋政子/八千草薫/中村錦之助・有馬稲子/市川猿之助・浜木綿子/石立鉄男・吉村実子/若尾文子/司葉子/加山雄三/高倉健/倍賞美津子/梅宮辰夫/加藤登紀子/藤圭子/和田浩治/千葉真一・野際陽子/吉永小百合/寺尾聰・范文雀/十朱幸代/岸恵子/森山良子/倍賞千恵子/三船敏郎/上原謙/松任谷由実/中村雅俊/和 田アキ子/左幸子/浅田美代子・吉田拓郎/中条きよし/麻丘めぐみ/中山千夏/大信田礼子/乙羽信子/都はるみ/大原麗子・渡瀬恒彦/欧陽菲菲/平尾昌晃/井上陽 水/愛川欽也/ディック・ミネ/岡崎友紀/南沙織/松方弘樹/布施明/武原英子/ 内田裕也・樹木希林/つかこうへい・熊谷真実/東野英治郎/清水国明・クーコ/宝 田明/高田美和/いしだあゆみ・萩原健一/竹下景子/アン・ルイス・桑名正博/佐久間良子・平幹二朗/頼近美津子/研ナオコ/早乙女愛/松田聖子・神田正輝/高田みづえ/ジェリー藤尾/斉藤とも子・芦屋小雁/志穂美悦子・長渕剛/千昌夫/伊藤 蘭・水谷豊/小柳ルミ子/浅香唯/沢田研二・田中裕子/吉沢京子。
以下第2章は、やはり結婚・離婚・破局 (1990年~2016年)。
浜田雅功・小川菜摘、香坂みゆき、石川秀美、宮崎美子、田丸美寿々、松坂慶子……森高千里・江口洋介、田中健、木佐彩子、南果歩、近藤サト、青江三奈など。
第3章は、不倫・熱愛・隠し子。
佐藤慶、加賀まりこ、石橋蓮司・緑魔子、梶芽衣子、萩本欽一、桃井かおり・つかこうへい、野口五郎、伊藤咲子、佐良直美、火野正平、峰竜太、深田恭子、山本モナ、矢口真里、ベッキーなど。
第4章は事故・騒動。
山本富士子、三船敏郎・石原裕次郎、オックス、小川知子、宇多田ヒカル、宍戸錠、布袋寅泰、t.A.T.u.、西部警察、葛城ユキ、木村拓哉、久米宏、あびる優、沢尻エリカなど。
第5章は闘病・死去・自殺。
赤木圭一郎、佐田啓二、市川雷蔵、ソルティー・シュガー、黒沢明、舟木一夫、坂東三津五郎……本田美奈子、飯島愛、松村邦洋、上原美優、高倉健、菅原文太など。
第6章は事件・カネ・トラブル。
鶴田浩二、高島忠夫、里見浩太朗、藤山寛美、こまどり姉妹、森進一……押尾学、酒井法子、市川海老蔵、ASKA、小向美奈子など。
第7章は解散・引退・ヌード・話題。
小川ローザ、九重佑三子、ザ・タイガース、内藤洋子、ピンキーとキラーズ、麻田奈美……松坂慶子、向井亜紀、KATITUN・赤西仁、桜金造、島田紳助、中島知子、SMAPなど。
というわけで、474件すべてを枚挙していませんが、これはもう、たった1回の記事ですべてをご紹介はしきれないですね。
高倉健のように、複数回登場している人もいます。
また機会があれば、具体的に本書に書かれた出来事を振り返ってみたいと思います。
今回は、その中から、石立鉄男と吉村実子の結婚と離婚について振り返ってみましょう。
石立鉄男・吉村実子 別居と離婚までの3年を振り返る
石立鉄男と吉村実子が結婚式を挙げたのは1968年2月3日。
当時は、吉村実子の名前を先に書くべき関係。
すなわち、吉村実子が「格上」の格差婚でした。
共演以来、石立鉄男のほうが見初めて結婚にこぎつけたのですが、石立鉄男がまず裏切ります。
結婚後のために2人でお金を出し合って家財道具を少しずつ購入し、それらを石立鉄男のアパートに置いておいたそうです。
ところが、ある日、吉村実子が訪れると、冷蔵庫をはじめ一切がなくなっていたそうです。
ギャンブル好きの石立鉄男が、負けてつくった借金を返すために家財道具を売り払ってしまったというのです。
このために、2人はいったん没交渉になり、結婚したのは出会いから5年経っていたそうです。
その後、石立鉄男は、『奥さまは18才』で岡崎友紀の相手役にキャスティングされ、以後はユニオン映画の人気ドラマシリーズ『おひかえあそばせ』『気になる嫁さん』『パパと呼ばないで』『雑居時代』と立て続けに出演。
さらに局を変えて『事件狩り』『夜明けの刑事』にも出演し、“水曜8時の男”としてのポピュラリティを獲得しました。
しかし、時期的に言うと、『雑居時代』が放送された1974年あたりから「家庭に亀裂が見え始める。外泊が増え、顔を合わすことも減っていった」と本書にはあります。
ある大物「政商」の愛人だった人と暮らし始めたそうです。
石立鉄男が最後に自宅に寄ったのは1978年正月。
これを境に家族との関係は完全に閉ざされた。
俳優として一人前になり、これから夫人孝行や家庭サービスができる、というときに、家庭を捨ててしまったのです。
一人前になれたから、一人前の女優にも飽きてしまったのかもしれません。
「憎いとか悔しいとかいう感情はない。ただ、辛かった。あんな辛い思いをするのは、私も息子達も二度と嫌なだけだった」と述べた吉村実子は、石立鉄男の葬式には参列しませんでした。
吉村実子からすれば、いったい何のための結婚だったのか、と思って当然だと思います。
「オレも女遊びを随分したけど」と語った石立鉄男、長い別居生活のあと離婚した吉村実子は石立の没後しばらく経って『文藝春秋』に手記を発表。「憎いとか悔しいとかいう感情はない。ただ、辛かった。あんな辛い思いをするのは、私も息子達も二度と嫌なだけだった」で文章を〆ている。 pic.twitter.com/SSk0Pxo2RV
— 高鳥都 (@somichi) September 15, 2017
夫婦のことは、当事者しかわかり得ないことがあるので、これをもって石立鉄男の人格を「冷たいやつだ」と断罪するつもりはありません。
ただ、女優としてのキャリアをこれから積み上げていこうという、前途洋々の女性と婚姻しながら、その機会と時間を奪い、期待した婚姻生活の責任を果たさなかったことは紛れもない事実です。
松木ひろしさんが、石立鉄男を「性格破綻者」と呼ぶのは、こうした生き様を指しているのでしょう。
……と書くと、「お前は石立鉄男のファンではないから、そういうネガティブなエピソードを書けるのだ」という人が必ずいます。
あのね、
そうじゃないんだよね!
本当のファンというのは、その人の、光も影も、表も裏も、すべてと向き合えなければならないのです。
「性格破綻者」であるからこそ、そこまで自分を追い詰めたからこそ、あの不世出のキャラクターと演技につながっているのではないでしょうか。
ネガティブなところは見たくない?
そんな人に、石立鉄男を語る資格はありません。
私は、小~高校生の頃、ユニオン映画シリーズが放送されていて、当時ロケ地はすべて行ったほどのマニアです。
私の妻は、『パパと呼ばないで』第39回の舞台である団地に住んでいました。
私のアイデンティティには、「石立鉄男(の演じたキャラ)」と「梶原一騎(の漫画のキャラ)」が間違いなく反映されています。
私は、マスコミに積極的に自分の情報の切り売りをしなかった石立鉄男をもっと知りたいと今も思います。
こういう、「ひどい人」エピソードも含めて。
陰翳の全体像を知りたいんです。
本当のファンて、そういうもんじやないのかなあ。
あなたは、いかがですか。
完全無欠、聖人君子の石立鉄男でいてほしいんですか。
以上、『完全保存版 THE芸能スキャンダル!』は、1950年以降の結婚、離婚、不倫、事件、各種トラブル等をまとめた読み物です。でした。
1950年~2016年 「あの日」の真相474連発! 完全保存版 THE芸能スキャンダル! – 日刊ゲンダイ
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