手取り15万円のマイホーム購入【かきおろし漫画付】(田口始著、ぶんか社)は、伊豆の300万円の中古マンションを購入した話です。もちろん、購入自体の手続きだけでなく、そこにいきつきまでの苦労やノウハウなどを漫画にしています。
『手取り15万円のマイホーム購入【かきおろし漫画付】』は、田口始さんが、ぶんか社から上梓しています。
本当にあった笑える話、というシリーズ名がついています。
この記事は、Kindle版をもとにご紹介しています。
漫画家だけでは十分な収入にならず、Webデザインなどで「手取り15万円」の著者が、手持ちの300万円で伊豆にマンションを購入。
さらにリフォームをかけて現在も暮らしている、という話です。
本書には、いきなり突っ込んでおきますね。
タイトルは、「手取り15万円」ではなく、「貯金300万円」とすべきでした。
なんとなれば、著者はかなりの倹約家のようで、「手取り15万円」でも、貯金を300万円持っていただけでなく、マイホーム転居後のリフォーム時にも、すでに100万円は現金として持っているのです。
たぶん、横浜在住の「手取り15万円」では、日々の生活で精一杯で、そんなにたまりません。
というか、同じ収入レベルなら、赤字の人のほうが多いんじやないでしょうか。
そして、いくら転居先が都市部でないからと言って、「手取り15万円」の上に収入自体不安定な人(つまり波があり得る)が、1年で100万はたまらないでしょう。
ローン組んだわけではなく現金で買ったのですから、タイトルは「貯金300万円のマイホーム購入」にして、「手取り15万円」は、「手取り15万円で300万円貯める方法」という、別のノウハウとしていったん分けるべきでした。
そうでないと、他の「手取り15万円」の人には参考になりません。
「手取り15万円」の方が、よりインパクトがあると思ったのかもしれませんけど、タイトルに曖昧なものがあると、それだけで読者は失望してしまいますからね。
本書は2023年5月13日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
熱海にマンションを購入
横浜在住の売れない漫画家・田口始は、現在結婚を前提に付き合っている彼女がいます。
ちょっと躁鬱気味だそうです。
その方と一緒に暮らして落ち着くことは、お互いのためにいいだろうと考えます。
まずは一緒に住もうと、著者は言います。
そうなんだ。
今は同棲で「お試し」してから結婚するんですね。
私は、「お試し」したら、「やっぱりやめる」と言えないたちなので、そんだったら最初から結婚することを選択しますけどね。
……なーんてエラソーに書いてますが、実は私も事実婚の時代が長く、長男は婚姻前に生まれてしまったので婚姻準正しています。
人それぞれ事情があるんですよねー
本書の後ろの方に出てきますが、相手の女性には結婚願望がないそうなので、ネタバレしますと、本書では最後まで同棲のままで婚姻はしていないようです。
これはたぶん、女性が自分のことが心配で結婚に踏み切れないのかもしれませんね。
というのも、家探しは、あくまでも自分と女性の希望だけで、つまり2人の同棲生活を前提としていて、「ファミリー」という前提ではないんですね。
将来、子どもができた場合のことは考慮したという描写はありません。
普通、家は一生物ですから、子どもができたときのことを多少は考えますよね。
そうしたことはともかくとして、女性は30歳すぎていたため、女性の実家では反対もせず送り出してくれることになったとか。
そこで、いよいよ本腰で家を購入することに。
月収入は手取り15万円。
漫画だけではなく、Webデザインなども行っているようです。
残念ながら、ローンを組もうにも信用される収入ではなかった。
まあ、これは15万が30万になっても変わらないですよ。
会社員ではないとだめです。
フリーターはもちろん、自由業、自営業、みんなだめです。
私なんか株式会社、2005年の新会社法施行前に資本金1000万円で「取締役会設置、監査役設置会社」を作っていますが、それだもだめです。
私が、ある不動産仲介業者にアパートを借りたいと言ったとき、「通帳に1000万用意しろ」といわれましたもんね。
たかだか月々10万程度の家賃ですよ。
ふざけんな、そこまで信用ないのかと思いました。
だいたい1000万あったら、普通預金でそのままにしておくわけ無いだろう……
話を戻すと、著者は、貯めていた300万円の家を一括で購入しようと物件を探しはじめました。
色々探して、結論としては東京を外れてもやむを得ないということで、熱海の相模湾を一望できるマンションに。
いいじやないですかねえ。橋田壽賀子さんも、熱海に住まわれていたわけですし。
本書では、その経過を詳細に描写。
家の探し方、不動産の手続き、リフォームなどの体験が描かれています。
家は借りるか買うか
家は借りるか買うか、というのは、いつも議論になるテーマですね。
家賃はずっと払い続けても家は自分のものにならないが、買えば自分のものになるから買った方がいいではないか、というふうに単純に思うのですが、家は取得価格だけでなく、維持にお金がかかるんです。
修繕代、固定資産税。
あと、隣家が変な人でも逃げられない。
金持ちは家は買わない、といいますよね。
時代時代によって、家は変わります。
風呂も、今はバランス釜なんてありませんよね。
私たちが子供の頃は、部屋は畳でしたが、今はフローリングとかCFが主流ですよね。
自分の家を持ってしまうと、それは自分で直さなければなりませんが、借家なら、その時時の最新鋭の設備に移ればいいのです。
でも、持っていれば資産価値があるから、子孫に財産として残せる?
建物は、時の経過とともに資産価値を失います。
失うどころか、前述のように修繕・リフォーム費用がかかります。
あとは土地ですが、場所によりけりですよね。
たとえば再建築不可物件。
私の実家がそうなんですが、その土地を担保にお金を借りることもできず、全面的な建て直しもできず、今のボロ家をリフォームし続けて使うしかありません。
ただ、その地域一帯を再開発するから、土地を買い取りたいなんていう場合は、それなりの価格で売れるでしょう。
要するに、地上げ屋待ち(笑)
では、家は借家に限るのか。
そうともいえないから難しい。
今回、著者は家を「買う」話でしたが、たとえば「借りる」話になると、色々厄介だと思います。
売れない漫画家ですと、保証人をつけろというし、保証会社とセットで、なんて強引な場合もあります。
あとは、緊急連絡先も必要ですが、私は夫婦揃って親類とは絶縁状態なので、これが意外と難しい。
緊急連絡先と連帯保証人は、全く別ものなのに、同じものと勘違いして警戒する人もいるのです。
生活設計だけでなく、社会的立場、経済力、人脈なども絡んだ問題なので、答えはケース・バイ・ケースといったところでしょう。
以上、手取り15万円のマイホーム購入【かきおろし漫画付】(田口始著、ぶんか社)は、伊豆の300万円の中古マンションを購入した話、でした。