文京区小2女児殺害事件(鏡子ちゃん殺害事件)など3事件についての『死刑囚の最期~葬られた心編~』(烟巻和美/丸山勇樹/入倉ひろし/黒沢哲哉、大洋図書)。事件の経過と内容、元死刑囚の生い立ちや裁判・拘置所での言動などを漫画化しています。
『死刑囚の最期~葬られた心編~』は、烟巻和美/丸山勇樹/入倉ひろし/黒沢哲哉さんらの作画による漫画が大洋図書から刊行されたものです。
『ナックルズ the BEST』というシリーズ名がついています。
東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤・大阪姉妹殺害事件の山地悠紀夫・文京区小2女児殺害事件(鏡子ちゃん殺害事件)の坂巻脩吉……業火に焼き尽くされた3つの魂――というのが本書の内容です。
それぞれ、事件をまとめたルポや当時の報道を原案に漫画化されています。
本書は2022年8月19日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
障害でいじめられたり毒親だったりした行末の凄惨な事件
本書『死刑囚の最期~葬られた心編~』は、次の3作が収載されています。
終わらないピクニック(東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件)
原作・黒澤哲哉、漫画・烟巻和美、原案『夢のなか』『夢のなか、いまも』(創出版)
勤は捜査段階では犯行を認めていたが、公判になると供述を一転させる。
あれは誘拐じゃなくピクニックだったんです
本日は7月23日
【東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件】
1988年から1989年にかけて『宮崎勤』が4人の幼女・女児を誘拐、殺害した事件。
1988年8月22日、当時4歳の女児Aが誘拐・殺害される。殺害後しばらく経ち、死後硬直で固くなった遺体にわいせつ行為を行う様子をビデオ撮影している。同年10月3日、 pic.twitter.com/esd9FO6OFe— あんかけナポリ (@napori_ankake) July 22, 2021
壊れた人形(大阪姉妹殺害事件)
原作・黒澤哲哉、漫画・丸山勇樹
暴虐の限りを尽くした殺人鬼がひた隠す本心とは!?
??今回のテーマ??
大阪姉妹殺害事件犯人は幼い頃親を殺し
成長してからも、
殺人を行ってしまった????????動画はこちらから??https://t.co/PrUvK8cMa9#イラスト #イラスト好きな人と繋がりたい #雑学 pic.twitter.com/IacKJRdWRr
— 雑学王子トリビアーン@YouTubeマンガ動画 (@zatugaku_oji) January 1, 2022
ヘイマンボ!(文京区小2女児殺害事件/鏡子ちゃん殺害事件)
原作・黒澤哲哉、漫画・入倉ひろし
肺結核、ヒロポン中毒…世をすねた22歳は、自らの生すら頓着しなかったー。
【Hickeyの今日は何の日?】
今日(4/19)は
【文京区小2女児殺害事件の日】昭和29年4月19日
東京都文京区の小学校のトイレで
小学2年生の女児が
薬物中毒の男により殺害されたんだ??
この事件を機に
覚せい剤取締法が厳罰化されたんだ??#学校じゃ教えてくれない大事なこと pic.twitter.com/ubw6LD9RGD
— Hickey☆Blog ???? (@HickeyBlog) April 19, 2018
いずれも有名な事件です。
事の重大さから言っても、情状酌量の余地は感じませんが、共通して言えることは、元死刑囚たちは、障害を差別されたり、両親が不仲で家庭がうまく言っていなかったりしていますね。
とくに、親がちゃんとしているかどうかは大事だと思います。
「親の顔が見たい」というのは、伊達や酔狂で言っているわけではないんですね。
2019年4月18日に放送された、『クローズアップ現代+』の、『毒親って!? 親子関係どうすれば・・・』という放送で、キャスターの武田真一さんが涙を流したのは有名な話です。
「あのー、私は、毒親という言葉にものすごく抵抗があって、それを耳にするたびにですね、1人の親として本当にズタズタに切り裂かれるような痛みを感じるんですね」
ところが、それに対するWeb掲示板のコメントは、おそらく毒親に苦労した子だと思いますが、かなり辛辣でした。
毒親って公の場で(毒)親子関係の話題になった時とりあえずまずは泣くよね/自分が!傷付いてます!てかんじで/文字だけでイラッとした
実際の毒親育ちからするとすごく迷惑な番組だった
テレビで一方的に親に泣かれる子供の気持ちも想像してみたらいいのに/想像力の欠如が色々な問題を生むんだよ
泣きたいのは毒親に当たった子供の方だよ
こうやってイイ親パフォされると反抗しづらくなってガキの方はより精神的に追い込まれるよね。
以前もご紹介しましたが、我が国には、未だに家制度の因習を事実上残す目的で、子は親に無条件で従う奴隷であることを示す法律(民法第818条)があります。
たとえば、親であることをタテに、子に特定の選択や価値観を強要する毒親は、今の日本では虐待など違法行為が公然としたものでない限り「合法」になってしまうのです。
それが、親が絶対などという、インチキ道徳と毒親を生み出す原因だと思います。
要するに、子は親の背中を見て育つわけで、子供を叱る前に親は自分の不明を恥じなさい、ということです。
もちろん、犯罪者の犯罪の全ては親の責任、なんて言うつもりはありません。
ただ、こうした事件を見て、親として心しておくべきことはあるでしょう、ということです。
というわけで、今日はその中の一つ、文京区小2女児殺害事件(鏡子ちゃん殺害事件)を見ていきましょう。
文京区小2女児殺害事件(鏡子ちゃん殺害事件)は事件3年後に死刑執行
1954年4月19日、東京都文京区立元町小学校の正面玄関右側トイレで、授業中に2年生の女児が殺されました。
授業中にトイレに行ったまま戻ってこなかったのですが、担任は近くにある自宅まで忘れ物を取りに戻ったのだろうと思ったそうです。
しかし、2時間経過しても女児は戻らず、担任やクラスメイト、さらにたまたま学校にたち寄っていた女児の母親がが手分けして学校中を探し、正面玄関横にあるトイレ内で女児は遺体で発見されました。
女児は、下着を口に詰められ暴行された上、絞殺されていました。
4月29日には、別件で逮捕された坂巻脩吉(当時20歳)が強姦致死容疑で逮捕。
トイレの配管から、容疑者のものと思われるイニシャル入りのハンカチが発見されたことで決め手となりました。
当時の裁判事情に詳しくないのですが、そこからが早いですね。
1955年4月15日には、東京地裁で死刑判決。
1956年10月25日には、最高裁で上告棄却。
そして、東京拘置所から刑場のある宮城刑務所に送られ、1957年6月22日には死刑執行。
享年22でした。
本作によると、収監されていた人たちは、計画性もなく、1人の殺害なら無期懲役と思っていたそうで、判決の重さにびっくりしたそうです。
坂巻脩吉は、事件直前まで静岡の結核療養所に入所していたものの、無断外泊はしょっちゅう。
事件を起こす1ヶ月前に、母親が危篤だと嘘をついて入院患者から7000円と上着を借りて上京。
遊び呆けた末に、久しく会っていなかった父親に金の無心をするも断られていたそうです。
ちなみに、1954年の大卒初任給(公務員)8700円、高卒初任給(公務員)5900円。
牛乳:15円 かけそば:25円 ラーメン:35円 喫茶店(コーヒー):40円、銭湯:15円 週刊誌:25円 新聞購読料:280円 ※9月改訂 新料金 330円 映画館:130円だそうです。
さらに、ヒロポン中毒(覚醒剤の一種)でもあったといいます。
刑務官がつぶやきます。
「あいつの家庭は、奴がガキの頃からボロボロに壊れていたんだよ」
父親は幻覚な人、一方母親は派手で博打好き。
男出入りも激しく揉め事が絶えなかったといいます。
そして、息子もグレる。
お定まりのパターンです。
それでも、母親の乱行はおさまらず、両親は離婚したものの、後妻と合わない坂巻脩吉は家を飛び出し、ヒロポンを覚えてしまったのです。
この事件を機に、覚醒剤取締法が厳罰化され、全国の学校の安全対策が見直されるようになったといいますが、附属池田小学校事件のようなこともありましたから、学校当局も保護者もいつもこの事件を思い出して、生徒・児童の安全対策は気を緩めないでいただきたいですね。
本作は、加賀乙彦『死刑囚の記録』(1980年、中央公論社)、加賀乙彦『宣告』(1979年、新潮社。のち新潮文庫)、大塚公子『あの死刑囚の最後の瞬間』(1992年、ライブ出版)。文庫版タイトル『死刑囚の最後の瞬間』(1996年、角川書店)などが原案になったと思われます。
以上、文京区小2女児殺害事件(鏡子ちゃん殺害事件)など3事件についての『死刑囚の最期~葬られた心編~』(烟巻和美/丸山勇樹/入倉ひろし/黒沢哲哉、大洋図書)、でした。