本当にコワい?食べものの正体(中川基著、すばる舎)は、添加物は危険、無添加は正義、という主義主張に「本当にそうか?」と注意を促している書籍です。わざわざ添加されているのは「理由」があります。それに無添加が安全とは言い切れません。
『本当にコワい?食べものの正体』は、中川基さんが、すばる舎から上梓した書籍です。
本書は、キケン、コワイといわれている食品添加物について描かれています。
この記事は、Kindleをもとにご紹介しています。
これまで、食品添加物というと、『買ってはいけない』を筆頭に、「XXという化合物は発がん性がある」「この成分は危ない」「あれは買ってはいけない」「どの商品を食べればいい」だの、センセーショナルな言葉を掲げた書籍が並んでいます。
そんな影響もあり、添加物は危険、無添加は正義、という主義主張がまかり通っています。
しかし、本当にそうなのか、ということを解説しています。
一般的に、食品添加物は、食品の色合い、風味、賞味期限、安全性などを改善するために使用されます。
食品添加物の多くは、長年にわたって安全性が評価され、許容される量が決められています。
食品添加物が危険であるかどうかは、使用される種類、量、組み合わせに依存します。
いうまでもありませんが、その「使用される種類、量、組み合わせ」が「危険」にならないような取り決めは当然あります。
ただし、一部の食品添加物は、一定量を超えると健康に悪影響を与える可能性があります。
また、個人によっては、特定の添加物に対してアレルギー反応を引き起こすことがあります。
したがって、食品添加物を完全に避けることは不可能ですが、使用される添加物を理解し、自分の健康状態に合わせて摂取することが重要です。
食品添加物が気になる場合は、できるだけ加工食品を避け、自然食品を選択することをお勧めします。また、食品に使用される添加物についての情報を確認するために、栄養成分表示や原材料表をよく読むことも重要です。
本書はいいます。
遺伝子組み換え作物も、人間にとっては安全でも、環境に負荷が大きかったり、急に毒性が見つかる可能性もゼロとは言えません。 けれども、こうしたリスクというのは、毎日のコーヒー、上司から怒鳴られるストレス、喫煙所を通りがかって吸い込んでしまった副流煙、といったものよりも遥かに低いレベルのものが大半です。
確かに添加物の中には、青酸カリに匹敵する猛毒の成分さえあります。
しかし、そこで「なんて恐ろしい、添加物は毒」と思考停止してはいけないのです。
そんな毒性のあるものが、わざわざ添加されている「理由」があるはずなのですから。
この理由を知ることこそが、食品の本質に最も触れることができる行為だと言えます。
ということで、食品添加物のキケンと安全の虚実について書かれています。
本書は2023年3月21日ねKindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
そのリスクはそんなに深刻ですか
本書は、食品添加物、ジャンクフード、遺伝子組換えなど、従来「おそろしい」とされてきたものを、思考停止とし、付き合い方次第だと述べています。
「得体の知れない白い粉が食べものをつくっている」
「添加物はなんらかの発がん性がある」
「添加物が子供達をキレやすくする」
「添加物無使用の無添加が体にいい」
こういった言葉を聞かない日はありません。
著者は言います。「この根源には、人間というのは不思議なもので、 常に何らかの不安を抱えていないと安心できないという矛盾した生き物である、ということと多大に関係があるようです。」
今や、水道をひねれば安全な水が出て、 便利な家電製品に囲まれ、電気やガスのエネルギーも使い放題。
そんな現代生活において、 仕事まで保証されると、その不安の矛先は食品に向くことが多いようです。
なるほど。
マスコミもキケンを煽りますからね。
ただ、実際のところはどうですか。
むろん、ジャンクフードも、ガムシロップを含むソフトドリンクも、健康に良いとはいえませんし、遺伝子組み換え作物も、未知の毒性がないとはいえません。
でも、著者曰く、「こうしたリスクというのは、毎日のコーヒー、上司から怒鳴られるストレス、 喫煙所を通りがかって吸い込んでしまった副流煙、 といったものよりも遥かに低いレベルのものが大半です」といいます。
ナニナニという成分からマウスで発がん性を確認、なんて情報でびびってしまうあなた。
それは、どの位の量を摂ると毒なのか、ということを調べるために、通常とは桁違いの量をわざと与える毒性試験の結果なので、それだけでひびることはないのです。
むしろ、そういう実験をシているからこそ、「安全な量」というのがわかるのです。
そして、それは伊達や酔狂で添加されているわけではなく、食品としての価値に必要だから使われているのです。
「価値」が、「品質の向上を目的としたものなのか、粗悪な材料であることをごまかすためなのか」は、食品ラベルに書かれた成分表示から読み解くことができるといいます。
ただ思考停止で怖がっているのではなく、そうしたことを見抜く目が、消費者として必要であることを著者は説いています。
もちろん、本書では成分表示の読み解き方も解説されています。
そしてPART3では、 「危険!」と騒がれている食品添加物は、 実際どうなの? という点について解説しています。
私も、以前ご紹介した『健康情報・本当の話』で、「水道水がキケン」という煽り本への反論を書きました。
水道水を「そのまま」使う人は6割弱しかいないといいますが、「まずい」からか、残留塩素やトリハロメタンを過剰に心配してなのかは謎ですね。https://t.co/OTDqLiBRCI
— 石川良直 (@I_yoshinao) March 21, 2023
キケンキケンと、センセーショナリズムを煽ったほうが本は売れますからね。
自然のものが安全で添加物がキケン、という思い込み
意外と思われるかもしれないのは、低農薬よりも無農薬のほうが実はリスクがあるという話。
無農薬のキケンについては、私も過去に記事にしました。
『食のフェイクニュースで「添加物が悪い。無添加がよい」という論法があるが自然のものは毒性ありというのが“食の常識”』です。
食のフェイクニュースで「添加物が悪い。無添加がよい」という論法があるが自然のものは毒性ありというのが“食の常識” #トレンド雑談 https://t.co/2ZZhOiqZol
— スケプティクス豚 (@butacorome) March 21, 2023
食品添加物の安全性試験には、以下の段取りを経ていることを書きました。
- 28日間反復投与毒性試験
- 90日間反復投与毒性試験
- 1年間反復投与毒性試験
- 繁殖試験
- 催奇形性試験
- 発がん性試験
- 抗原性試験
- 変異原性試験
- 一般薬理試験
- 体内動態試験
実験動物に28日間繰り返し与えて生じる毒性調査。
実験動物に90日間繰り返し与えて生じる毒性調査。
実験動物に1年以上の長期間にわたって与えて生じる毒性調査。
実験動物に二世代にわたって与え、生殖機能や新生児の成育に及ぼす影響調査。
実験動物の妊娠中の母体に与え、胎児の発生・発育に及ぼす影響調査。
実験動物にほぼ一生涯にわたって与え、発がん性の有無調査。
実験動物でアレルギーの有無調査。
細胞の遺伝子や染色体への影響調査。
薬理作用の試験では、例えば、中枢神経系や自律神経系に及ぼす影響や、消化酵素の活性を阻害し実験動物の成長を妨げる性質の有無など調査。
体内での吸収・分布・代謝・排泄など、体内に入った物質が生体内でどうなるか調査。
しかし、添加物の認定をされていない「自然のもの」は、そういったチェックを受けていません。
『木酢液を使った鶏卵に、変異原性が認められた衝撃の研究報告が話題なので、ブランド卵を扱う身近な生産者・販売業者に調査した』という記事では、農薬ではない自然由来の木酢液について、市販の木酢液4種類と、自家製品1種類、つまり7種類中5種類に変異原性が認められたという研究報告をご紹介しました。
木酢液を使った鶏卵に変異原性が認められた衝撃の研究報告が話題なのでブランド卵を扱う身近な生産者・販売業者に調査した #トレンド雑談 https://t.co/4jhPb8nEI3
— スケプティクス豚 (@butacorome) March 21, 2023
変異原性というのは、生物の遺伝情報に変化をひき起こす作用を有する物質または物理的作用をいいます。
自然のものが安全で、添加物がキケン、という話は合理的ではないことは、おわかりいただけたでしょうか。
まあ、わざわざ何か添加物を加えるということは、できればしないほうがいいと思うことは分からないではないので、添加物に対して全く抵抗がない、という心境になれないという方もおられるかも知れません。
そういう方には、ぜひ本書をご覧いただきたいものです。
以上、本当にコワい?食べものの正体(中川基著、すばる舎)は、添加物は危険、無添加は正義、という主義主張に「本当にそうか?」と注意!でした。
本当にコワい? 食べものの正体 – 中川 基
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