『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)は、山口真由さんが次々結果を出して確立した勉強法を開陳しています。その「努力」のための勉強法「7回読み」が、誰でもできる才能も要らない方法というのです。
才能も要らないシンプルな勉強法を確立
『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)は、東大法学部を首席で卒業し、官僚を経て弁護士、テレビコメンテーターなどとして活躍する山口真由さんが開陳する勉強法です。
山口真由さんは。自分を天才とは評価していません。
こんにちがあるのは努力によるもの。
知識を学び、自分のものにするには、勉強という極めて地味で、時には退屈、多くの場合は苦痛でさえある作業が必要です。
もっとも、努力できるのもひとつの才能なんていわれます。
さすれば、山口真由さんはやはり「才能」でここまで来たのでしょうか。
山口真由さんは、それを否定します。
なんとなれば、その「努力」のための勉強法が、誰でもできる才能も要らない方法というのです。
それが、タイトルにもある、「本を7回読む」というシンプルな方法です。
本書の構成
本書の構成は、まず第1章がマインドセット。
頭のいい人になる最良の手段は、勉強法を身につけることだといいます。
第2章は、山口真由さんの学校時代を振り返っています。
「少し上のライバル」を意識することで「勉強しよう」という意思が芽生えたといいます。
第3章は、学校を卒業後、財務省や司法試験での経験を綴っています。
そして、第4章には『誰でもできる! 「7回読み」勉強法』について具体的に書かれています。
さらに、第5章、第6章では、精神的なアドバイスが書かれています。
「7回読み」勉強法について
「7回読み」勉強法とは、とにかく7回読むことです。
それも、音読したり、線を引いたり、文章の意味を考えたりといったことはせずに、つまり最初から理解しようとはりきらず、とにかくサラサラと速く読むことだそうです。
ただし、7回ですが、各回ごとに「何を把握していくか」 には違いがあるそうです。
そのプロセスを本書から抜粋引用させていただきます。
1回目……「見出し」を頭のノート上に写し取る感覚で読みましょう。
2回目…… 1回目を読んで「見出し」が頭に入った段階で、全体を流し読みします。このクールを終えると、「こんな話が、こういう順番で書いてある」ということが把握できます。
3回目……全体を軽く流し読みしている段階です。2回目にはアウトラインがわかるようになりますが、これはまだうっすらとしたもの。 そのアウトラインをより詳細、かつ、明確なものにしていくのが、この3回目読みの作業です。
この3回目までは、これから読むための土台作り。ここではっきりとした意味が取れなかったとしても、それは気にしなくていいそうです。
4回目……文章の中のキーワードを意識して読みます。よく出てくる単語、詳しく説明される用語を目に留めておきましょう。ただし、それを「理解しよう」「覚えよう」とはしないこと。「頻出語」「詳しく書いてある」と感じ取 るだけで十分です。
5回目……作業内容は4回目と同じ。そして、キーワードがどのように説明されているのかに目を向ける段階です。キーワードとキーワードの間をつなげば、 その段落の要旨をつかめるようになります。
6回目……ディテールにも目を向けます。5回で確認済みの要旨について、「そうそう、このキーワードの意味はこうなんだ」「このキーワードとこの キーワードの関係はこうなんだ」などと思いながら読み進めましょう。 7回目…… 6回目を終えたら、頭の中のノートにだいたい本が写し取れているはずです。しかし、まだ鮮明ではないので、 7回目でしっかり定着させます。
ということですが、いかがでしょう。
7回で、ここまでできますかね。
本書によると、「7回読み」は、「内容を直接的に説明してくれる一種類の記述に何度も目を通し、確認を繰り返しなから自分の頭で理解する」方法といいます。
「7回」というのは、「7」という数字が絶対的なものではなく、理解するためには8回でも10回でもいいそうです。
まあ、五目そばとか、八百万の神と同じようなものでしょう。
「読む」内容も大切、科目によってアレンジも必要
「7回読む」のはもちろん教科書・参考書ですが、何を読むかも大切なことです。
たとえば、チャートや図解などでレイアウトされているものよりも、文章で書かれているものを選んだほうがいいといいます。
また、内容は、学ぶべき内容を余すところなくカバーしている網羅的なものを選んだ方がいいと書かれています。
そして、科目によってはアレンジする場合もあるといいます。
たとえば、高校で習う「現代文」は、授業中の先生の解説を書き取ったノートを作って読んだ方がいいといいます。
英語は、語学力を身につけるのなら、月刊の英会話雑誌など更新されていく教材を継続して利用すること。
受験英語の場合、英単語は100語~150語の短い英語の文章を読みながら、単語を拾い書きしていく「7回書き」が効果的。
文法は、問題集の「7回解き」がおすすめだそうです。
果たして誰でもできるのだろうか
しかし、現実には7回読むこと自体が苦痛である、という人もいるかも知れません。
というか、私はたぶん苦痛だと思います(笑)
山口真由さんは、自分が普通であることを強調して、自分のやり方は誰でもできると本書を上梓していますが、マイケル・サンデルさんの『実力も運のうち』にあるように、山口真由さんの、もともと持っている学力や、こうした学習法を確立する企画力や努力できる持続力など、「ほしのもと」によるところが大きいのではないかと思います。
『実力も運のうち』は、その人の本来持っている能力、地道に努力しようという気持ち、価値観、前提となる文化水準などは、結局親の遺伝子や経済力や環境や人脈に大きく依存しているとしています。
つまり、努力も能力も、しょせんどういう「ほしのもと」かによって影響されているのです。
ことさら「誰でもできる」と書かずに、「私はこうしました」で良いのではないかと思いました。
以上、『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)は、山口真由さんが次々結果を出して確立した勉強法を開陳、でした。