松下幸之助など『知って驚いた!昭和トンデモ偉人伝』(昭和の偉人研究会、マガジンボックス)。昭和に活躍した偉人たちのトンデモな素顔に迫る!書籍です。1人2~4ページで、偉人たちの人生と功績についてまとめています。(文中敬称略)
本書『知って驚いた!昭和トンデモ偉人伝』は、Amazon販売ページにこう書かれています。
昭和に活躍した偉人たちのトンデモな素顔に迫る!
ビックリなエピソードが満載!!
田中角栄は300万円の借金の申し込みに500万円あげていた!
ヌード写真集を出していた三島由紀夫
美空ひばりは「のど自慢」で落ちていた
モハメド・アリは徴兵拒否して王座を剥奪!
昔の偉人ならではのヤンチャだったり、ユニークだったりするエピソードを集めた知的エンタ-テインメント!
この宣伝文句でもわかりますが、実際に紹介されている人々は、別に「トンデモ」というほどでもなく、「意外なエピソード」にフォーカスして、国内外の偉人たちを紹介しています。
ということで、その中には松下幸之助(まつした こうのすけ、1894年11月27日~1989年4月27日)も入っているので、いったいどんなエピソードかと思いましたが、そのタイトルは、「最終学歴は小学校中退だった」。
学校を出ていないけど、成功したという話です。
なあんだ。
学者や官僚ではなく、実業家なら、「トンデモ」どころか「意外」でもないだろうという話です。
わりと強引に企画意図に合わせている感じですね。
松下幸之助は、日本の実業家であり、パナソニック(旧松下電器産業)の創業者として知られています。
本作から人生と功績を以下にまとめます。
「水道哲学」と「ナショナルショップ」で発展
松下幸之助さんの好きな名言をもう一つ紹介します
『人相が悪いのは肉体か精神に問題を抱えている。性格や精気は顔に出る。人相が良くなると運が良い。自然に反する生き方を止め、人の悪口や欠点を言わない。人にものをあげること、この3つを実行すれば、一気に人相が好転する』
よし!がんばるぞ! pic.twitter.com/CFGaHUfOcx— 目玉焼き??卵かけご飯 (@yositaka20251) September 11, 2024
松下幸之助は和歌山県で生まれました。
家が貧しかったので、小学校を中退して9歳で大阪に出て、火鉢店や自転車店で丁稚奉公を経験しました。
その後、大阪電灯(現関西電力)に勤務し、電気の世界に触れることになります。
1918年、大阪市で松下電気器具製作所(後の松下電器産業、現パナソニック)を創業しました。
最初は電球ソケットの製造販売から始まりましたが、次第に事業を拡大し、乾電池や自転車用電池ランプなども手掛けるようになりました。
松下幸之助は、「水道哲学」と呼ばれる経営哲学を提唱しました。
これは、水道のように低価格で良質な製品を大量に供給することで、消費者にとって手に入りやすくするという考え方です。今で言う「コストパフォーマンス」を重視した製販体制ということです。
もうひとつ、1957年に「ナショナルショップ」という、特約店(電器店)ネットワークを発足させました。これが製品普及に大きく影響しました。
このネットワークは、ナショナル(現パナソニック)製品を取り扱う地域電器店の集合体であり、アフターサービスの良さやきめ細かさをセールスポイントとしています。
現在は「パナソニックショップ」と改称されているのですが、商店街の電器店では、当時の「ナショナル」の看板を出しているところ、ありますよね。
それらの電器店は、直販店方式とは異なり、ナショナル(現パナソニック)の資本は入らない別企業体ですが、製品を取り扱うなら、ナショナルの看板を出して商売していいよという、形態としては保険代理店に近いものです。
ナショナル(現パナソニック)にとっては、資本や給料の要らない事実上の直販店になりますし、電器店側にとっては個人商店でも「ナショナル」の看板で商売ができるということで、高度経済成長時代は、まさにwin-winの関係だったわけです。
こうした製販両面の新機軸で、松下電器産業は急速に成長し、世界的な企業へと発展しました。
松下幸之助は1989年に94歳(またまた長寿)で亡くなるまで、経営の第一線から退いた後も相談役として会社に関わり続けました。彼の遺産は多くの慈善事業や教育機関に寄付され、その影響は現在も続いています。
見栄や虚栄心を捨て現実を受け入れる
松下幸之助さんの『道』
何度この言葉に励まされたことか。自分には自分に与えられた道がある__ pic.twitter.com/DezRqJjXqi
— 橘 直人|管理職のぼやき (@tachibana7010) September 7, 2024
松下幸之助は、自らの人生を振り返り、こう語っています。
「貧しかったから金の価値がわかり、学歴がないから優秀な人の力を借り、健康でないから人に任せて部下が育った」
人間は、見栄や虚栄心という「煩悩」がありますが、実は仏教(浄土真宗)を信奉する松下幸之助は、幼少期から苦労する中で、「上には上がいる」という現実を受け入れ、そのような人生観になったようです。
凡夫は往々にして、松下幸之助のように謙虚ではなく、金がなく勤勉でもないことを正当化せんと、「金がすべてじゃないよ」などと強がります。
そして、金を稼ぐことを悪い事のようにすら云う。
ホリエモンや前澤友作さんを「魂を売った」とかね(笑)
でも、「すべてじゃない」といいながら、では金以上の何があなたにあるの?と聞かれても、そういう人に限って金以外もない。要するになにもない。
また、自分は無学だからと一歩下がらずに、知ったかぶる。
でもその根拠は、真偽の定かでないネット情報のコピペである。
そういうことは、不毛であるという話です。
それでは、自分の進むべき正しい道を掃き清めることができません。
さらに、松下幸之助は、自分の健康を過信せず、「体が弱かった」という自己認識があるから、逆に体をいたわり、94歳の長寿だったともいえます。
本書は、「学歴も大切だが、いちばん大事なのは考え方なのだ」と結んでいます。
要するに、相対的な自分と向き合い、ありのまま受け入れることから、次に自分がなすべきことが見えてくる、ということです。
みなさんの地元の商店街には、「ナショナルショップ」改め「パナソニックショップ」の電器店はありますか。
以上、松下幸之助など『知って驚いた!昭和トンデモ偉人伝』(昭和の偉人研究会、マガジンボックス)。昭和に活躍偉人のトンデモ素顔、でした。