『歯医者が難病になってわかったこと』(三五館)を読みました。著者は歯学博士の長尾周格医師。虫歯や歯周病のメカニズムではなく、糖質制限や牛乳・ヨーグルトの忌避によって、口を含めた健康を指南。歯科医療の視点から食事と健康の関連性を探求しています。
我が家は、歯科治療のお世話になっています。
中でも私は、奥歯の詰め物がとれたのに、2年ぐらい放っておいたので、しばらくかかりそうです。
一方、妻も同じ状況でしたが、私よりもはやく治療を受けたので、軽く済みそうです。
私も、はやく治療を受けておけばよかったと思いました。
歯科治療も、「早期発見、早期治療」が大切ということではないでしょうか。
ということで、今更ですが予防歯科に関する本を読んでみました。
ご紹介するのは、歯科医の書籍『歯医者が難病になってわかったこと』です。
内容は、以下のとおりです。
著者が、潰瘍性大腸炎という難病にかかり困っていた。
それが、「先住民食」を食べるようになったら、病気が改善した。
先住民というのは、アイヌ民族やエスキモーなど開拓前の原住民です。
要するに、食事の改善によって、口を含めた全身の健康を実現できることがわかった。
その経験を活かして、予防歯科として、自費専門の歯科医院を開設している、ということです。
つまり、保険適用される普通の虫歯治療は行わず、予防だけにしぼった診察や処置をしているというわけです。
先住民のすべてが良いとは限らない
読書「歯医者が難病になってわかったこと」 長尾周格 https://t.co/XwX0ZNiYGm pic.twitter.com/ooF2kHERaG
— Ryoji Moroi (@ryoji_moroi) April 26, 2018
先住民の人々が何を食べていたかといえば、肉や魚であり、私たちのように、お菓子やインスタントラーメン、加工や精製した食品などは食べていませんでした。
つまり、著者は、
糖質、保存食、加工食品、インスタント、ファーストフード、スナック、植物油、牛乳、ヨーグルトなどを控えろ
と、述べています。
歯科医なので、それを虫歯や歯周病予防にも適用しているのです。
まあ、甘いものが虫歯、というイメージはありますからそれはわかるとして、保存食、加工食品、インスタントなどは、栄養が偏るとか、添加物がいけないとかいわれますが、虫歯との関連というのは、聞いたことなかったですね。
著者は、先住民食に回帰しろ、としています。
ただ、糖分はともかく、保存食、加工食品、インスタントなどをやめることが、なぜ虫歯の予防なのかは、よくわかりませんでした。
それに、糖質、保存食、加工食品、インスタント、ファーストフード、スナック、植物油、牛乳、ヨーグルトなど、弊害は様々言われていますが、現代社会には否定できない食文化であることも確かです。
公害が出るから良くないと言って、自動車を今から全面廃止はできませんよね。
情緒的な世相の責任にされているSNSを避けるために、ネットそのものをやめることもできません。
砂糖をやめろ、と本書ではいいます。
でも、適宜適量で、ケーキだって食べたいじゃないですか。
まさに医療の世界で言われる「リスクとベネフィット」を考えて、上手に使うことが求められますよね。
それと同じではないでしょうか。
本書では、「先住民食」の現代版として、クジラのハリハリ鍋、ぼたん鍋、ローストベニソン(鹿肉のロースト)などを紹介しています。
人生初のクジラのハリハリ鍋~ pic.twitter.com/SnGLM9OgOC
— 檀ゆま (@kenshin_woman) November 14, 2023
が、今はクジラはなかなか食べられるものではないし、水銀や寄生虫など、毒もまた多いはずです。
そもそも、先住民は、ナントカ鍋なんて、そんな洒落た食べ方はしていなかったと思います。
それに、主たる材料だけ真似しても、環境が破壊された「自然」のものや、もしくは農薬たっぷりの餌で育った家畜の肉や付け合せ、添加物たっぷりの調味料で作ったものなど、先住民食とは条件が違うのではないでしょうか。
また、著者によると、先住民は虫歯がなかったと言っていますが、でも寿命はどうなんでしょうか。
先住民の食生活による弊害は、実はよくわかっていません。
なぜなら、私たち日本人のように長生きしていないから。
先住民の寿命である50歳頃までに、私たちが三大疾病に罹患する確率はほんの数%です。
平均寿命が80年以上だから、いろいろ出てくるのです。
それなのに単純に、先住民に比べて今の日本人のほうが病気が多い、だから食べ物も先住民の真似をしよう、という捉え方は、科学的ではありません。
つまり、部分的に過去の「いい部分(と思えるところ)」を真似しても解決にはならず、現代社会の実情に噛み合った対策を考えなければならないのでは? と私には思えるのです。
歯の検診にするか、砂糖を断ってクジラ肉にするか
潰瘍性大腸炎を患ってマクロビをやって益々悪化したが先住民食にしたら治ったので狩猟まで始めた歯医者の話。 / “https://t.co/K5TKlxyE0c: 歯医者が難病になってわかったこと: 長尾 周格: Book” https://t.co/XSPHRca2mz
— 多情仏心 (@jiangminjp) March 13, 2017
食べ物にいろいろな取組をすることは否定はしませんし、著者の体験としてそれは事実なのでしょう。
が、やはり現在標準的な予防は、たとえば3ヶ月に1度の歯の検診を行い、歯石や初期の虫歯をきちんと治療することではないか、つまり「早期発見・早期治療」という私の考えは、本書を呼んでもかわることはありませんでした。
あとは、歯磨きの時にどんな歯ブラシを使えばいいかとか。
そういうことが知りたかったですね。
自治体によるのかもしれませんが、年に1回、健康診断とともに、歯の検診も東京都では無料です。
もちろん、そこで虫歯が発見されたら、治療を行わなければならないので、結局治療費はかかるんですけどね。
弁護士の法律相談の、初回相談料無料みたいなものです。
クジラ肉は、別に食べなくてもいいかな(笑)
子供の頃の給食は、しょっちゅう「クジラの竜田揚げ」でしたよ。
牛肉はもちろん、豚肉の方が高かったのかな。
みなさんは、歯の予防や検診をされていますか。