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『死後離縁』など、体験投稿の5作を収載したのが『本当にあった女の人生ドラマ Vol.64 もうガマンの限界! 倍返しする女』(ぶんか社)

『死後離縁』など、体験投稿の5作を収載したのが『本当にあった女の人生ドラマ Vol.64 もうガマンの限界! 倍返しする女』(ぶんか社)

『死後離縁』など、体験投稿の5作を収載したのが『本当にあった女の人生ドラマ Vol.64 もうガマンの限界! 倍返しする女』(ぶんか社)です。勘違い同僚や同級生、舅の介護を押し付ける姑や小姑たち、相続上父親の再婚に反対する母娘などが描かれています。

『本当にあった女の人生ドラマ Vol.64 もうガマンの限界! 倍返しする女』は、テレビドラマにもなった話題のレディースコミック『本当にあった女の人生ドラマ』の第64弾。

今回は、虐げられていた主人公が、形成逆転して自己の目標を達成したり、ウサを晴らしたりする話をまとめています。

タイトル通り『倍返し』ともいえる逆転劇です。

このシリーズでは、『本当にあった女の人生ドラマ Vol.62』をご紹介したことがあります。

本当にあった女の人生ドラマ Vol.62(ぶんか社)は、ネットに関する「おばさん」や「ママ友」間のトラブル投書を漫画化した
本当にあった女の人生ドラマ Vol.62(ぶんか社)は、ネットに関する「おばさん」や「ママ友」間のトラブル投書を漫画化したものです。誹謗中傷、不謹慎狩り、成りすまし、炎上など老若男女のリスクに加えて、女性コミュニティ特有の難しさも感じます。

今回の『Vol.64』は、その中から『死後離縁』についてご紹介します。

この記事は、Kindle版をもとにご紹介します。

本書は2023年01月24日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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熟年離婚より都合がいい事態に

主人公は、50歳の主婦・佐藤良子。

会社員の夫と高3の娘がいます。

夫の父親が脳こうそくで倒れ入院。

介護が必要になりました。

夫は、実家に転居して、つまり良子にとっては舅姑との同居を提案します。

娘が受験期である上に、もともと姑とは折り合いの悪かった良子は渋りましたが、夫は「自分は長男だから仕方ない」「同居すれば家賃もかからない」といった理由で、結局おしきります。

「相続も有利になるだろうし、損じゃないだろ?」というのは夫の言い分ですが、これは間違いです。

介護と相続は別なので、優遇される法律は一切ありません。

だから、押し付け合いになるのです。

娘も言います。

「私はおばあちゃん、苦手なんだよね。かわいがられたこともないし」

良子も姑を嫌っています。

なかなか子供ができず責められ、不妊治療で娘が生まれれば、男の子じゃないと責められた。

同居も介護もしたくない……。

案の定、同居すると姑の嫌味が始まります。

「女腹」などというハラスメントまで飛び出します。

舅は妙なプライドがあり、おもらししてもおむつをなかなか変えさせません。

介護ヘルパーを頼むと、姑は娘たちにいいつけます。

介護は嫁がするもので、ヘルパーがするものではない、と姑は頑張ります。

小姑は小姑で、なにもしないくせに口出しだけはします。

「あなたの都合で頼むんだから、あなたが払ってね」

馬鹿ですか。

介護ヘルパーを頼むのは当たり前でしょう。

良子の都合ではなく、舅の都合です。

姑は、将来自分が介護されるときのことを考えて、そう言っているのでしょう。

こんな奴は、そうなっても介護ヘルパーなんてもったいない。

ま、これは結末の伏線になっているんですけどね。

夫は、自分で同居を希望したくせに何も手伝わず、それどころか家にいつかなくなります。

良子は考えます。

「あの人、出張が増えた。残業で泊まりの日もある。なんだか仕事を理由に、介護から逃げているみたい。それに、不妊治療をしていたとき浮気したことがある。まさかとは思うけど……」

娘は大学進学。

介護をはじめて3年目に、舅は脳梗塞を再発し、亡くなります。

しかし、夫の携帯はつながらず。

会社に電話すると、「佐藤さんは定時で帰られました」

え!?

今日は残業で遅くなると言っていたのに。どこで何してるの?

こうして舅の介護は終わり、夫への不信感を抱えたまま、良子は葬儀を行います。

そして相続。

案の定、夫の姉と弟たちは、等分の相続を求めます。

法的には、それを覆すことはできません。

結局、家・土地は姑、預貯金が3等分です。

この期に及んで、家・土地を相続する姑というのもすごいですね。

あんた、夫がなくなったんだから、自分だって時間の問題だろ。

むしろ、ここは譲って良子にいい思いをさせることで、「貸し」を作るほうが賢明だと思うのですが、そういう頭はないようです。

良子は、夫への疑惑も晴らします。

「残業なんて嘘ついて、私に介護を押し付けたんでしょ」

確証はないものの、そうカマをかけると、夫はあっさり注文通りうたってしまいます。

「ごめん、悪かった。もうしない」

おいおい、それで済むのかよ。

今度で2度目だろ。

そこへ出てきたのが姑。

「謝ってるんだし、もういいだろ。昔のことまで持ち出して、執念深い人だねえ」

いや、そもそも夫婦のことに口出すなよ。

さすがに、嫌気が差した良子は、夫の定年を目処に離婚しようと決意します。

介護から開放された良子は、パートに出て自由になるお金を作り、念のため夫を生命保険に入れました。

もちろん、保険金殺人なんて考えてませんよ。

死亡保険金は、遺産分割協議をしていなくても凍結されずに、受取人のもとに支払われるからです。

つまり、この時点では、あくまでも離婚しても自分で自由になるお金を考えていたわけです。

娘は大学を卒業して独立。

夫の定年まであと2年。

もうすぐこの家を出ていける。

そう考えていたある日、夫がラブホテルで心筋梗塞を起こし、急死しました。

まだ浮気を続けていたんですね。

定年後の離婚という計画通りにはなりませんでしたが、むしろ好都合と良子は考えます。

定年近くだから、死亡退職金もそれなりの額だ。

遺族年金も。

死亡保険金ももらえる。

夫が舅から相続したお金も、離婚ではもらえないけど相続ならもらえる。

熟年離婚より都合がいい。

あとは、姑を捨てられるかどうか。

小姑は、なんだかんだと良子を奴隷にして当然との強弁をぶちます。

「あなたは姑の世話をする義務があるのよ。あなたが相続した英一の財産には私の父親の分も入っているでしょう」

良子は、フフッと薄笑いを浮かべて言います。

姻族関係終了届を出しました。姓も復氏届けを出して旧姓に戻りました。法的な扶養義務もありません」

「勝手にそんな届けを出すなんて」

「死後離縁というらしいですよ。役所に出すだけです。証人も同意もいりません。でも、夫とは死別なので、遺産も遺族年金ももらう権利があります」

「なにそれ。ずるい」

「ふっ、ずるいのはどっちよ。嫁を都合よく利用するだけの親族なんて、縁を切って当然でしょう」

良子は家を出て、実家に戻りました。

我が国は介護に報いない後進国

ただし、良子の娘は、届出を出しても、血族との関係は切れません。

でも、良子は家を出ていますし、娘も独立していますから、まあこういうのは、逃げたもの勝ちなので、一応一件落着でしょう。

あとは、姑が亡くなったときに、娘に相続の話が来ますが、今までとは逆に、遺産分割協議で娘が納得いかない分け方なら、はんこを押さなければいいのですから、立場は逆転ですね。

私は、こういうトラブルは、日本の法律の欠陥だと思っています。

つまり、「介護は押し付けられたものが負け」という制度です。

対策としては、今回の場合、舅にかかった介護費用は舅名義にすることで、舅への貸付という形にすれば、債務として相続で精算できる場合がありえます。

ただし、それはあくまでも数字として表に出てきたものであり、介護の労力や、それによる離職したり進学を諦めたりといった介護するものの犠牲は還元されません。

老親の介護で、介護に疲れた子供が、殺したり心中したり自殺したりするニュースは、もう数え切れないほどあるのに、国は放ったらかしですからね。

こんな国では、だめでしょう。

以上、『死後離縁』など、体験投稿の5作を収載したのが『本当にあった女の人生ドラマ Vol.64 もうガマンの限界! 倍返しする女』(ぶんか社)、でした。


本当にあった女の人生ドラマ Vol.64 もうガマンの限界! 倍返しする女 – 伊東爾子, 庭りか, 瓜渡モモ, まるいぴよこ, 小野拓実, 本当にあった女の人生ドラマ編集部

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