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殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件ー(清水潔著、新潮文庫)は、冤罪と真犯人野放し追及が話題

殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件ー(清水潔著、新潮文庫)は、冤罪と真犯人野放し追及が話題

殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件ー(清水潔著、新潮文庫)は、冤罪と「真犯人」野放しが話題の事件ノンフィクションです。なぜ北関東連続幼女誘拐殺人事件が起こったのか。著者の粘り強い取材から真相が浮かび上がってきます。

『殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件ー』は、清水潔さんが新潮社から上梓した事件ノンフィクションです。

横山ゆかりちゃん誘拐事件。

両親がパチンコに熱中しているうち、店内で待っていた娘のゆかりちゃんがさらわれて行方不明になりました。

以来26年、いまだに行方不明です。

ただし、犯人は判明していて、警察が動かないだけ、という二重に戦慄の事件です。

その背後には、日本の正義の裏に潜む深い闇があったのです。

新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。

写真週刊誌「FOCUS」⇒日本テレビで事件記者として活動する清水潔さん渾身の一冊です。

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犯人特定済みなのに「未解決事件」

横山ゆかりちゃん誘拐事件が起こったのは、1996年7月7日の七夕。

横山保雄さん、光子さん夫妻とともに来店した群馬県太田市内のパチンコ店パチトピアで、ひとりになって遊んでいる間に行方不明になった女児、横山ゆかりちゃん(当時4歳)。

店の防犯カメラには、ある男性がゆかりちゃんと話す様子が映っており、表に出た男を追うようにして、ゆかりちゃんは外に出て行ったところまでが記録に残っています。

が、以来26年、いまだに行方不明です。

少女誘拐事件はこれだけではありませんでした。

ゆかりちゃん事件の1996年以前より、4~8歳の女児を狙った殺人事件が、栃木と群馬の県境半径10キロ以内で連続して起きていました。

  1. 1979年の「福島万弥ちゃん事件(足利市)」殺害
  2. 1984年の「長谷部有美ちゃん事件(足利市)」殺害
  3. 1987年の「大沢朋子ちゃん事件(尾島町亀岡、現・太田市)」殺害
  4. 1990年の「松田真実ちゃん事件(足利市)」殺害
  5. そして

  6. 1996年の「横山ゆかりちゃん事件(太田市)」

です。

本書『殺人犯はそこにいる』によると、著者の清水潔さんは、こう仮説を立てたといいます。

つまり79年~96年の17年間に、半径10キロ圏というサークル内で5件もの類似手口の事件が起きていたのだ(中略)これは同一犯による、連続事件ではないのか――。

著者は一連の事件を、北関東連続幼女誘拐殺人事件と名付けます。

なんとなれば、1~4の事件は。

という共通点があるからです。

ところが、4番目の「松田真実ちゃん事件(足利)」は、すでに幼稚園のバス運転手だった菅家利和さんが逮捕され「解決」。

菅家利和さんは、無期懲役で17年服役していました。

服役していたのなら、「横山ゆかりちゃん事件(太田市)」は起こせません。

つまり、「4」と「5」が同一犯ということは理論上なくなります。

すると、清水潔さんは、「だったら、菅家利和さんは真犯人ではない」と推理します。

しかし、実際に服役しているわけです。

そこで、清水潔さんは2009年(平成21年)5月、起訴の根拠となった遺留物のDNA型を再鑑定してもらうことに。

結果、一致しないことが判明し、菅家利和さんは冤罪被害者だったことが明らかになりました。

現在のDNA鑑定は、100兆に1人という精度です。

が、当時は1000人に1~2人の精度、つまり国内に同じDNAと判定される人が12万人もいて、菅家利和さんのDNAは、偶然真犯人のDNAと一致してしまったのです。

さらに、清水潔さんは、菅家利和さんの自白も虚偽であることを証明しました。

清水潔さんの推理があたった世紀の冤罪事件です。

と同時に、清水潔さんの推理通り、5つの事件は同一犯という「北関東連続 幼女誘拐殺人事件」としての可能性も高まりました。

清水潔さんの追求はそこで終わりません。

なんと、聞き込みで真犯人の居所も突き止めました。

真犯人は、以前よりも進んだ100兆に1人の精度のDNA鑑定も完全一致していました。

そして、清水潔さんは警察に情報提供も行ったそうです。

しかし、栃木も群馬も警察は動きませんでした。

その記録については公開もされています。


この動画には、防犯カメラによって、犯人やゆかりちゃんの生々しい映像が入っています。

なぜ警察は動かないのか

なぜ?

逮捕しない理由は、警察のプライドと言われています。

同一犯なら、4番目の「松田真実ちゃん事件(足利)」で正しい捜査が行われていれば、横山ゆかりちゃん事件は起こらなかったことになります。

それなのに、冤罪まで出してしまった。

つまり、明らかに間違った捜査をしてしまった。

それを認めたくないから、横山ゆかりちゃん事件も踏み込まないのです。

警察ってそんなもんなんですね。

本書によれば、ゆかりちゃんの両親について、「パチンコ店に子供なんかを連れていくからだ! 当時も今も両親はそんな言葉を浴びせられてきた。」と書かれています。

ネットだったら、もうスレッドがいくつも立つでしょうね。

気持ちとしてはわかります。

4歳の子をパチンコ屋のベンチに1人座らせ、お腹を空かせたらおにぎり渡して1人食事させるなんて、呆れ返ります。

ただ、それをもって、誘拐した人物と同列にして、どっちもどっち、とするのは違うでしょう。

本質とすべき点が、そこではないと私は思います。

5つの事件はパチンコ店だけでなく、公園でも起こっています。

つまり、いつどこだろうと、目を離したときと、悪魔が獲物を捉えたときが一致してしまったら、事件は起こってしまう、ということが本質なのです。

被害者叩きより、そうならないようにするにはどうしたらいいか、を考える方が建設的です。

警察のいい加減さは、私も経験したことがありますが、まあそれはまた、別の機会に書きましょう。

以上、殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件ー(清水潔著、新潮文庫)は、冤罪と真犯人野放し追及が話題、でした。


殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫) – 清水 潔


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