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『毒になる親 完全版』は、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードさんが上梓した悩む数千人のカウンセリング結果と解法

『毒になる親 完全版』は、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードさんが上梓した悩む数千人のカウンセリング結果と解法

『毒になる親 完全版』は、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードさんが上梓した悩む数千人のカウンセリング結果と解法の名著です。毒親というのは、子にとって毒のような悪影響を及ぼす親という意味で使われる言葉です。

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「毒親」は演繹的な真実である

『毒になる親』は、2021年に『完全版』として改定されました。

原書刊行は1989年。

つまり、33年経過したことになります。

毒親というのは、子にとって毒のような悪影響を及ぼす親という意味で使われる言葉です。

内容は、「毒になる親」に傷つけられた子供の心は、歳を重ねても癒されない。悩む数千人の人々を20年以上にわたってカウンセリングしてきた著者が、具体的な方法をアドバイスするものです。

要するに自分(子)にとって悪い親なら許さなくてもいいよ、親だからといってすべてをアンタッチャブルにする必要はないよ、ということです。

子の自分への信頼を取り戻したり、毒の「相続」を断ち切ったりするために、自分の親と向き合い毒親かどうかを批評することは、決して「親不孝」なことではありません。

大いに毒親批判をしましょう、という内容です。

本書は何より、「毒親」という言葉自体が、斬新でかつ的確なために話題になりました。

といっても、「毒親」は医学や社会学など、学術上の明確な定義があるわけではない「俗的概念」ではあります。

が、社会問題というのは得てして演繹的な成り立ちを示すものです。

毒親は人格的に、

などの特徴があり、子に対しては、過干渉、もしくはネグレクトなどを、自分の教育方針や、思い描く親子関係を押し付けるために、暴力や子の人格スポイルに至るまで行います。

Amazonの紹介ページでは、本書についてこう書かれています。

「旧バージョンでは全体を300ページ程度に収めるため、部分的な省略や、場所によっては大幅な意訳を行うことで短縮を行いました。解説の部分は短くしたくなかったので、短縮はおもに実例として載せられているエピソードを端折ることでページ数を調整しました。文庫版ではさらに短くする必要があり、残念ながら一つの章を丸ごとカットしなければならなかったほか、さらに圧縮を行いました。
そこでこの完全版では、旧バージョンで短くしたところをオリジナル通りに書き直し、それ以外のところも文章を改めるなど手を加えました。ページ数はだいぶ増えてしまいましたが、省略や意訳により短縮した部分を復活させたことで、オリジナルの内容をさらに詳しくお伝えできたのではないかと期待しています。30年前に書かれたこの本がいまだに輝きを失っていないのは、著者がいかに被害者の苦しみを理解し、問題の根源を正しくとらえ、正しい解決法を示しているかのあらわれです。今やこのテーマの古典となった本書が、この完全版の刊行をきっかけに今後も末永く読み続けられることを願っています」(訳者まえがきより)

まさに本書は、毒親相談の集大成というべき構成です。

ただ、今だに本書が注目されているということは、残念ながら毒親問題はまだ解決済みではないということでもあります。

親を「毒」といえない旧弊な法律

その理由としては、まず一口に毒親と言っても、いろいろなタイプと度合いがあることです。

つまり、「この程度を毒親と言えるのか」と、子がせっかく自分の親に対して毒親の実感があるのに、自ら否定してしまうことです。

実は毒親なのに、対外的には「良い親」に見える「隠れ毒親」の場合があります。

たとえば、ネグレクトや目に見える暴力は、第三者にもわかりやすいのですが、一方で「教育熱心」な親というはそう見られません。

それどころか、「大学まで出してくれたんだから、いい親じゃないか」なんて評価されます。

でも、それが子供の望まない無理強いだったらどうでしょうか。

良かれと思ってアドバイスしたと毒親は言い訳します。

物は言いようです。

自分の言い分を押し付けているだけでしょう。

子供第一でない親は、みんな毒親なのです。

そもそも、日本では「親孝行」という封建的なイデオロギーが残り、民法818条で再生産されているため、自分の親についての毒親認定とは向き合わない場合も少なくないため、毒親が社会問題であることがなかなか理解されません。

民法第818条
成年に達しない子は、父母の親権に服する。 子が養子であるときは、養親の親権に服する。 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。 ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

「服する」ですよ。

子は親に服従しなさい、ということです。

親であることをタテに、子に特定の選択や価値観を強要する毒親は、今の日本では虐待など違法行為が公然としたものでない限り「合法」になってしまうのです。

未だに家制度の因習を事実上残す目的で、子は親に無条件で従う奴隷であることを示す法律といっていいでしょう。

親を絶対視する間違った道徳

親子関係は対等ではありません。

なぜなら、上記の法律があり、養育しているのは事実だから。

それだけに、子に対する親の教えは、友人のアドバイスとは次元が異なる、絶対的な重みがあるのです。

それは逆に言えば、親子関係の齟齬は、親に全面的な責任がある、ということでもあります。

にもかかわらず、我が国では「釈迦の教え」と称して、なぜか親の方に力点が置かれ、子は生んでくれたことを感謝しなければならないことになっています。

毒親がWeb掲示板で話題になると、必ず、「てめえが赤ちゃんのときは誰がおむつ換えてたんだよ」というコメントが入ります。

でも、ちょっと考えてみてくださいよ。

親は子に頼まれたからその子を生んだわけではなく、自分が子供がほしいから勝手に作っただけです。

いいですか、親は親の意思で勝手に子を生んだのです。

親は、責任持って子供を育てるのは当たり前なのです。

子が感謝したら育ててやる。そうじゃなかったらしなくてもいい、というものではありません。

といっても、別に、子が親に感謝してはいけないと言っているわけではありません。

ただし、子が親をどう思うかというのは、子の「内心の自由」であり、道徳として感謝を絶対的な正解にするような強制ではないはずです。

そんなことをいったら、親に虐待死させられた子の立場がないでしょう。

子が本当に配慮すべき対象は、「前の世代」の親ではなく、「次の世代」の子ではないでしょうか。

次世代に「毒」を引き継がせないようにしよう

毒親はどうして毒親になったのでしょう。

マイケル・ジョゼフ・サンデル先生は、境遇は運次第、本人には選べないといます。

『実力も運のうち 能力主義は正義か?』は「親ガチャ」というキーワードが話題。境遇は運次第、本人には選べないという意味です
『実力も運のうち 能力主義は正義か?』は「親ガチャ」というキーワードが話題。境遇は運次第、本人には選べないという意味です。しかし、同じ境遇ならすべて同じ人生かと言うと必ずしもそうとは限らず、やはり人生は偶然と必然といえそうです。

毒親たらしめる背景は複雑系ですが、少なくとも言えることは、「毒親は毒親に育てられる」ということだと思います。

さすれば、その「毒」は自分の代で断ち切り、子孫には「負の遺産」を残さないようにすべきです。

そのためには、親の毒ときちんと向き合うべきです。

そして、自分はその毒を、次世代に絶対に伝えないようにすることです。

なのに、「親は絶対」として、その毒から目をそらしたら、子孫にその毒は引き継がれてしまいます。

「毒親」という概念に馴染めない旧弊なあなた。

いい加減、目を覚ましてください。

次世代に目を向けましょう。

以上、『毒になる親 完全版』は、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードさんが上梓した悩む数千人のカウンセリング結果と解法、でした。

毒になる親 完全版

  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2021/03/22
  • メディア: 単行本



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