田中絹代などを漫画化した『まんが日本史ヒロイン1000人』(世界文化社)は、神話の時代から現代まで「歴史を創った女たち」の物語です。教科書に出てくる人物はもとより、大河ドラマや朝の連続ドラマの実在するヒロインなども登場します。(本文中敬称略)
本書は、歴史に名を残す人々の生きざまと功績をを漫画化しましたが、女性ばかり集めています。
288頁に、ざっと数えたところ1037人紹介されています。
今回は、その中で、ちょうど1000人目にあたる田中絹代(1909年11月29日~1977年3月21日)をご紹介します。
田中絹代は、山口県下関市で生まれた女優であり映画監督です。
14歳で松竹に入社し、映画界にデビューしました。
実働期間は、1919年~1977年。
いつものように、Copilotに代表作を尋ねました。
1. 『雨月物語』(1953年)
溝口健二監督の作品で、田中絹代はこの映画でその演技力を存分に発揮しています。戦乱の中での人間ドラマを描いた名作です。
2. 『西鶴一代女』(1952年)
こちらも溝口健二監督の作品で、田中絹代が主演を務めています。江戸時代の女性の波乱万丈な人生を描いた作品で、彼女の演技が光ります。
3. 『サンダカン八番娼館 望郷』(1974年)
熊井啓監督の作品で、田中絹代はこの映画でベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀主演女優賞)を受賞しました。戦前の日本から海外に渡った女性たちの物語を描いています。
4. 『楢山節考』(1958年)
木下恵介監督の作品で、田中絹代は老母役を演じています。厳しい自然と人間の生き様を描いた感動的な作品です。
おはようございます。今日は田中絹代さん誕生日。「サンダカン八番娼館」「前略おふくろ様」のお婆ちゃんしか知らない私はよく昔の美人女優伝説を聞かされましたが、後年観てみると美女というより庶民派アイドル系でした。50年代は実力派女優として活躍。「恋文」「乳房よ永遠なれ」等監督作も秀作。 pic.twitter.com/3hJp1lLBga
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) November 28, 2021
1975年の『サンダカン八番娼館 望郷』でベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀主演女優賞)を受賞。
1970年に紫綬褒章、1977年に勲三等瑞宝章を受章しています。
世代的に、高菜絹代の現役時代というのは、老婆しかわかりませんが、邦画界の歴史を名を留める大女優ということは理解しています。
国際的女優、2人目の女性映画監督
今日は田中絹代さん誕生日。リアタイは「前略おふくろ様」。若い頃の可愛さは抜群です。俳優としての絶頂期が邦画黄金期に重なり、巨匠作品等で数々の名演を残しました。個人的には「風の中の牝鶏」の女らしさを残す主婦役が好き。「お遊さま」を観てると溝口惚れてたなと思います。監督作品も秀逸。 pic.twitter.com/1DXJBpdIO3
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) November 28, 2022
田中絹代は本名。
「絹のような肌の女の子になるといいね」と、名付けられたそうです。
幼少時に父をなくし、移住先の大阪で、琵琶少女歌劇団に入門しました。
16歳で松竹に入社し、1931年に上映された初のトーキー映画に出演しています。
『伊豆の踊子』(1933年)『愛染かつら』(1938年)の主演をつとめます。
2作とも、何度も映画化やテレビドラマ化されましたね。
私がリアルタイムで観たのは、『伊豆の踊子』が6度目の映画化である山口百恵版で、『愛染かつら』は昼メロドラマの藤巻潤、新藤恵美版です。どちらも1974年でした。
戦後は、一時期低迷したものの、『煙突の見える場所』(19531年)の五所平之助・『西鶴一代女』(1952年)や『雨月物語』(1953年)の溝口健二といった監督作品で新境地を開拓。
Copilotによると、戦前の清純派から、戦後はより多様で複雑な役柄を演じるようになり、感情の表現がより深く、リアリティを追求するようになったといいます。
『恋文』(1953年)では、女性として2人目の監督もつとめました。
前略おふくろ様
??小説 田中絹代??新藤兼人 A b
前略おふくろ様, 雲のじゅうたんまで
1924年14才~1976年66才 女優生活は50年余り
西鶴一代女でヴェネツィア国際映画祭, 国際賞
大監督と組んだ 五所・黒澤・小津・溝口・成瀬
日本映画、知らない事ばかり…
溝口監督との紆余曲折は不可解でした pic.twitter.com/G7AUJ1SylT— ボレロ (@borero1855) November 28, 2023
……とまあ、いろいろ書きましたが、私がリアルタイムで観て覚えているのは、『前略おふくろ様』(1975年10月17日~1976年4月9日、NTV)です。
脚本は倉本聰が担当し、東京の下町(深川)にある料亭「分田上」を舞台に、照れ屋で臆病な板前の青年・片島三郎(萩原健一)と、周囲の人々との触れ合いを描いた青春ドラマです。
片島三郎(通称: サブ)は、山形県から集団就職で上京。
料亭「分田上」で板前修行をしていますが、山形の母親(田中絹代)に手紙を書き綴ることが日課です。
その手紙文が、萩原健一自身によるナレーションとしてストーリーを進めています。
分田上の板前が、梅宮辰夫、小松政夫、小原秀明。梅宮辰夫は若女将さん(丘みつ子)のことを想っていて、丘みつ子もそれがわかっているくせに、放蕩を繰り返す夫(桜井センリ)とは別れずにとっておく、ずるい(笑)設定です。女将(北林谷栄)も、先刻承知なのに見て見ぬふり。
小松政夫が、仕事場では寡黙、休憩時間には仲居さんとの下世話なおしゃべりにふける切り替えがリアリティがありました。小松さんは細かい芝居が本当にうまいですね。
サブの、はとこの海ちゃん(桃井かおり)はトラブルメーカーで、分田上の仲居のかすみちゃん(坂口良子)は、サブが好き過ぎて、これまて時々厄介な存在に。意を寄せる(演: 坂口良子)。
ピラニア軍団の室田日出男と川谷拓三は、鳶職で、悪い人たちではないのですが、ちょっと短期で、サブにとってはこれまた気を使う相手なのです。
このドラマは、八千草薫の料亭で第2シリーズも制作されましたが、第1シリーズ中に田中絹代は亡くなったため、遺作になりました。
今日はかなり「ビンテージ」な話になりましたが、田中絹代さん、覚えておられますか。
以上、田中絹代などを漫画化した『まんが日本史ヒロイン1000人』(世界文化社)は、神話の時代から現代まで「歴史を創った女たち」の物語、でした。