目を温めれば視力はよくなる!(中川和宏著、アスコム)は、目の体操やツボ押しなどで目の血流を良くして近視や老眼を改善するという話です。簡単なトレーニングと食べ物や日常生活の改善を指南。著者は老眼についても対策をもっています。
『目を温めれば視力はよくなる!』は、中川和宏さんがアスコムから上梓した書籍です。
中川和宏さんは、視力や老眼などの改善に関する寄稿や著作がいくつもあります。
ただし、眼科医ではなく、早稲田大学政経学部を出たビジョン・フィットネスセンター所長です。
「行動学派のオプトメトリスト(視力眼科医)の行っているビジョン・セラピーというアメリカで最高の成功例を誇る治療トレーニングと出合い、初めて日本に紹介し注目を浴びる」とプロフィールにはあります。
つまり、医師としてのアプローチというより、筋肉や脳と神経の連携を鍛えるトレーナーといった趣です。
脳を刺激することで、視力が良くなるという書籍は、以前ご紹介しました。
中川和宏さんのこれまでの書籍は、簡単に述べると、眼は脳の影響を受けているので、脳までの一連の動きを鍛えるトレーニングをすることを説いています。
本書の趣旨は、タイトル通り、目を温めて血流を良くすれば視力はよくなる、という内容です。
ただし、目を温めて血流を改善することは、目の健康にとって非常に役立ちますが、視力を改善するために直接的な影響を与えるとの医学的なエビデンスはありません。
目を温めることで、目の周りの筋肉がリラックスし、血流が改善することができます。
これにより、目の疲れが軽減され、ドライアイや瞳孔の痛み、頭痛などが緩和される可能性があります。
しかし、視力自体は、角膜や水晶体、網膜などの目の構造や機能によって決まります。
目を温めることは、これらの構造や機能に直接的な影響を与えるわけではありません。
そのため、目を温めて血流を改善することは、視力を改善するための唯一の方法ではありません。
視力を改善するためには、適切な栄養を摂取し、適切な運動を行い、目を休めることが重要といわれています。
また、視力が低下している場合は、眼鏡やコンタクトレンズなどの補正器具を使用することで、視力を改善することができます。
それ以外に眼科医が実践している療法には、通電治療という、目の周囲に電気ショックを与えて筋肉を緩めて視力を回復させる方法もあります。
『近視進行抑制の8つの方法』(石川まり子/小走由美子著)をご紹介しました。
しかし、こちらもエビデンスが確立せず、現在も自由診療扱いです。
まあ、そんなに高額ではないのですけどね。
いずれにしても、視力の改善に関する具体的な方法については、眼科医に相談することが重要という話です。
そんな中で、中川和宏さんは、どんなトレーニングを提唱しているのでしょうか。
「たった3つのトレーニング」と「食べ物」で目を温める
本書は、目を温めるためのトレーニングとして、「たった3つのトレーニング」と「食べ物」を挙げています。
そして、目のトレーニングが脳も若返らせることができるというのです。
前述のように、中川和宏さんは、目と脳との関係を重視していますが、今回もそこに言及しているわけです。
では、その3つのトレーニングとはなにか。
- 目のパチパチ体操(クロージング・オープニング・フィットネス)
- 目のツポ押し体操(ビジョン・マッサージ)
- 指先追いかけ体操(シフティング)
目のパチパチ体操(クロージング・オープニング・フィットネス)とは、眼筋のストレッチです。
眼をギュッと閉じて→上を見る→眼をギュッと閉じて→下を見る→眼をギュッと閉じて→右を見る→眼をギュッと閉じて→左を見る
これを1セット10秒ずつ1日1回でいいのだそうです。
眼球の動きを支えるのに必要な外眼筋と、ピントを合わせる毛様体筋を総合的に動かす効果があるといいます。
ここで「上を見る」「下を見る」というのは、クビは動かさずに目だけ動かします。
本書に図解されています。
これ、眼科医が目の状態を見るときにさせますよね。
目の周りに点在する眼のツボをマッサージすることで、血流を良くして「目を温める」ものです。
具体的に、目の周りのどこをどう押すといいのかは同書に詳しく書かれています。
動体視力を鍛える体操です。
右手か左手の人差し指を顔から30センチ話したところに出して、前後左右に動かして目で追う体操です。
これも同書では図解で説明しています。
全体を通して、血流改善とともに、目を使うための筋肉を解していますね。
では、目に良い食べ物とはなんでしょうか。
中川和宏氏いわく、現代人の食生活には2つの欠点があり、それは、
タンパク質不足
抗酸化物質不足
だそうです。
意識的にたんぱく質の食品を摂るということと、ロドプシン、イチョウ葉エキス、ルテインなどが具体的に紹介されています。
それらは、健康食品としておなじみですが、冒頭に書いたように、人間の体にどう作用するかの医学的証明はありません。
ただ、いったん「ヤル」と決めたら、信じてとことんやってみることです。
中途半端では、いずれにしても結果は出ないでしょう。
侵襲性もないし、物は試しぐらいの気持ちで入ってもいいので、まずはヤッてみることです。
脳の機能の改善で老眼も防げる
ところで、中川和宏さんは、視力とともに老眼についても回復のトレーニングがあるとしています。
老眼といえば40代前半位から出てくる老化現象の一つ、というのは「間違い」と言い切る記事が、部屋を片付けていたら『日刊ゲンダイ』(2012年7月27日付)にありましたので、こちらもご紹介します。
まず、同紙を読んだ限りでは、「老眼が老化現象というのは間違い」という話ではなかった。
老眼は脳の機能の老化によって起こるものだから、それを改善することで老眼も防げるという話でした。
「「一般的に老眼は、『目のピント調整能力の衰え』と考えられています。確かにそういった要素もありますが、もっと大きく関係しているのが脳の機能の低下です。日が捉えた映像の情報を脳で判断・解釈して初めて、目の前にあるものが『見える』。ところが、脳の機能が低下すると、それができないのです」
「「脳の機能は加齢とともに衰えていきます。細胞が老化するからです。レかし近年、意識して?訓練″することで、脳細胞が復活することが複数の潮発で証明されています。つまり、脳の細胞と関係の深い老眼も、改善することができるのです」
ようするに、老眼は老化現象であることに変わりはない、ただ、目の老化ではなく脳の老化だということです。
まあそれは本質ではないので措くとして、ではどうすれば、その脳の老化による老眼を防ぐことができるか。
中川和宏さんは、「1日15分でいい。早い人なら10日で効果を実感でき」る独自のトレーニングを編み出したとしています。
クロージング・オープニング法…まぶたをギューツと閉じて、目を大きく見開き、バッと上を見る。まぶたをギユーツと閉じて、目を大きく見開きバツと下を見る。同じ要領で、右、左も見る。
スピード遠近法…「4メートルほど離れたところのカレンダーやポスター」と「手元から40?50センチ離したところの新聞や本」を交互に見る。最初はゆっくり、徐々に速く。
平面遠近法…紙に、「あ」から→「ん」まで順不同で書く(できれば別の人に書いてもらう)。それを「あいうえお」順に文字を迫っていく。遠くできるようになったら、その逆に迫っていく。
イメージ近法…手元の本の1文字を3秒間、焦点を合わせて見る。次に3秒間目を閉じる。その間、目は閉じているが、文字に焦点を合わせ続けているイメージを保つ。バツと目を開け、先ほどの文字に焦点が合っているか確認。できるようになったら、5秒、10秒と時間を延ばしていく。
ためしにやってみましたが、心持ち視力が上がり、眼圧が下がったような気がしました。
まあ、目にとってはいい刺激になるのかもしれません。
ただ、脳との関係では個人では測定できないのでわかりませんでした。
みなさんは、いかがですか。
以上、目を温めれば視力はよくなる!(中川和宏著、アスコム)は、目の体操やツボ押しなどで目の血流を良くして近視や老眼を改善、でした。
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