眠れなくなるほど面白い図解栄養素の話(牧野直子監修、日本文芸社) は、栄養素に関する情報を図解でわかりやすく解説します。「15時のケーキより21時のフルーツの方が太る!?」「ごまは擦らないと健康効果0に?」といった栄養素の話を幅広く紹介しています。
『眠れなくなるほど面白い図解栄養素の話』は、牧野直子さんが監修し、日本文芸社から発行されています。
眠れなくなるほど面白い図解シリーズの最新刊です。
眠れなくなるほど面白い図解シリーズは、たとえば『人文・思想・歴史』『ファッション・美容・ダイエット』『サイエンス・テクノロジー』『くらい・家庭』『ビジネス・経済』などのジャンルで発行。
本書は『くらし・家庭』というジャンルの中の一冊です。
シリーズ累計発行部数は80万部突破したそうです。
本書は、たとえば、「15時のケーキより21時のフルーツの方が太る!?」「トクホを飲めば健康になる?」「ごまは擦らないと健康効果0に?」といった意外と知られていない栄養素の話を幅広く紹介しています。
「食べない健康法」は「食べる」からこそ成立する
このブログでも何度かご紹介していますが、最近は「引き算の健康法」が流行しています。
要するに、「食べない健康法」です。
飽食の現代は、食べ過ぎることによる弊害があるのは確かです。
ですから、断食や糖質制限による健康法は有効だと思います。
しかし、それは、食べてこそ成立するものです。
食べるからこそ、休食や制限食はアリ得るのです。
何も食べなかったら、人間はそもそも生きていけません。
ですから、食べない健康法以前に、実は食べることと健康の関係を知っておくことが大切なのです。
最近の健康法の中には、昔はこうだったが、今はそうではないからよくないと、昔をモデルにするロジックがあります。
昔は2食だったのに現代は3食食べるからダメだとか、食べ物が欧米化したから生活習慣病が増えたとか、昔の人のほうが体温が高かったから現代人は病んでいるとか。
とにかく、昔>現代、という論法で現在の生活を否定するロジックです。
しかしですよ、だったら昔の人は今よりも長寿でしたか。
メザシとごはんだけで平均寿命が80年超えていましたか。
生活習慣病が昔のほうが少なかったといいますが、生活習慣病を心配するほど長生きしなかっただけの話ではないのですか。
もちろん、生活習慣病を防げる限りは予防したいし、昔のほうが健康的といえる生活習慣もあったでしょう。
だからといって、現代をまるごと否定するのは、科学や文化の発展を小馬鹿にする態度です。
食べることにしてもそうです。
食べない健康法は、食べることが罪悪であろかのようなイメージを受けます。
しかし、伊達や酔狂で栄養学や保健学があるわけではありません。
あくまでも、正しい認識で必要な栄養を摂った上での、少食や絶食ではないでしょうか。
決して、食べなければいい、ということではないはずです。
ということで、本書『眠れなくなるほど面白い図解栄養素の話』は、食材の栄養素とそのはたらき、食べ方や誤解されがちな食知識などを図解でわかりやすくまとめた一冊です。
本書は見開きで、右ページが文章、左ページが図解でひとつのテーマが解説されています。
5大栄養素、いえますか?
本書はまず、そもそも論として五大栄養素を枚挙しています。
炭水化物(糖質+食物繊維)
脂肪
たんぱく質
ビタミン
ミネラル
これらに加えて、フィトケミカル、乳酸菌なども挙げています。
そして、最強の栄養バランスは、主食、副菜、主菜を、それぞれ3:2:1の割合にすることが理想のバランスとしています。
太る理由
脂肪細胞は3歳までに増加する
人はなぜ太るのか。
それは、3歳までに増加する脂肪細胞によるといいます。
幼児期に余分な栄養を摂り過ぎると脂肪細胞は急速に増加し、その数はやせても減ることはないそうです。
つまり、幼児期に太っているということは、それだけ脂肪細胞の数が多いということで、大人になっても太りやすい体質であることを意味しているそうです。
遺伝も否定はできませんが、より大切なことは生活習慣とのことです。
21時のフルーツより15時のケーキが◎
甘いものは肥満の大敵とはいいながらも、食べる時間を気にすればむやみに恐れる必要はないそうです。
人の体内には、脂肪を増やす働きのある『BMAL1』というたんぱく質がありますが、1日の中でも最も代謝の良くなる起床後5~6時間は減少することがわかっているそうです。
その時間帯なら、甘いものを食べても脂肪になりにくいわけです。
そこで、夕食後のフルーツよりも15時のおやつにケーキを食べるほうが脂肪になりにくいというわけです。
既存の健康法は疑え
巷間、流行している健康情報について、本書は言及しています。
そのうちの一部をご紹介しましょう。
水はたくさん飲めばいいのか
1日に何リットルもの水を飲むことを勧める健康法がありますが、本書は勧めていません。
たしかに、水には便秘を防いだり、脳梗塞や心筋梗塞を予防したりする働きがありますが、飲みすぎることで体を冷やし、心臓に負担がかかってむくんだり血圧が上がったりするそうです。
本書が勧めているのは、食事以外で1.5リットル。
ただし、珈琲やアルコールなどの利尿作用のあるものは水分摂取量としてカウントしないことといいます。
乳酸菌は「生きて腸まで届く」ものがいいのか
市販の乳酸菌飲料は、「生きて腸まで届く」ことを売り物にしているものがあります。
それは別の言い方をすれば、生きて腸まで届かないものはだめだと言っているようなものです。
でも、そんなことはありません。
本書は、生きて腸まで届かなくても、善玉菌の餌になり腸内環境の改善に役立つといいます。
疲れた時は甘いものがいいのか
「疲れたときには甘いものを食べるといい」との向きがあります。
が、本書は、それはエネルギー切れによる一時的な疲労に対してのみで、むやみに甘いものを食べ続けてしまうと逆効果になると警鐘を乱打しています。
糖質過多は正常な血糖値の調節ができなくなり、自律神経が乱れて疲労感やだるさ、思考力や集中力の低下、イライラや不安感の増加などの不調を引き起こしてしまうそうです。
子どもにファーストフードを食べさせてはいけないのか
子どもにファーストフードは厳禁、という考え方にも「待った」を出しています。
制限しすぎることで、子供がおとなになってから反動が出て、強い執着につながらないとも限らないと懸念しています。
成長に大切なのは、炭水化物、脂肪、たんぱく質。
それらのバランスを考えたメニューにすればいいそうです。
お店では子どもの好きなメニューを選ばせ、それ以外の食事でバランスを調整すればいいといいます。
昔ながらの和食がそんなにいいのか
現代人の食の欧米化を否定する話は冒頭に書きましたが、その一方で和食を持ち上げる向きもあります。
しかし、本書によれば、昔ながらの質素な和食は、たんぱく質や脂質が少なく、理想的な栄養バランスが整っていない可能性があると心配しています。
戦後の平均寿命の伸びが、食の欧米化によってもたらされた恩恵としての面があることは否めません。
本書も、乳製品や肉類をよく摂るようになったことで、日本人の栄養状態が改善。病気に強い体が作られるようになり、平均寿命を延ばすことに大きく貢献しているとしています。
子どもに朝食を食べさせなくてもいいのか
このブログでもご紹介している「食べない健康法」で、真っ先に槍玉に上がるのが朝食です。
1日3食は多すぎるとの立場から、間引きされるのが朝食なのです。
しかし、本書は、「子どもの学力アップを狙うなら、塾よりもまずは朝食を」と説いています。
エネルギー代謝の活発な子どもにとって、朝食を抜くことの害は深刻といいます。
昼食を食べても、朝食を抜いたことで下がっていた血糖値が急激に上がるため、強い眠気に襲われやすくなるそうです。
にんじんは皮をむかずまるごと食べよう
さらに本書は、効率よく食材の栄養素を摂取するための「食べ方」も指南しています。
たとえば、ほうれん草は切って茹でるとビタミンCが40%も失われるので、根本を落とさず株ごとに茹で、水に晒すのも短時間に留めることを勧めています。
にんじんは、外側に栄養が詰まっているので皮ごと食べること。
ごまはそのままではなく、擦ることで栄養素の恩恵を受けることができるが、そのままでも食物繊維のような効果は得られ、加熱すると抗酸化作用が高まるといいます。
食べることは私たちの生活の基本ですから、本書は知っておいて損のないことばかりです。
本書は、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
2022年5月時点で、PrimeReadingのリストにも含まれています。
PrimeReadingというのは、Amazonプライム会員なら、1度に10冊まで無料でKindleが読めるサービスです。
以上、眠れなくなるほど面白い図解栄養素の話(牧野直子監修、日本文芸社) は、栄養素に関する情報を図解でわかりやすく解説します、でした。
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