眠れなくなるほど面白い図解脳の話(茂木健一郎著、日本文芸社)は、科学最大の謎といわれる不思議なヒトの脳に関する謎を解明した書籍です。脳は自分を映す鏡です。著者は人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかるとしています。
『眠れなくなるほど面白い図解脳の話』は、茂木健一郎さんが日本文芸社から上梓した書籍です。
本書は、Kindle版をご紹介します。
著者いわく、脳に対する関心が、年々高まっていることを感じるそうです。
いわゆる「脳科学ブーム」から、最近では さらに人工知能の発達による危機感も脳への興味の増大に結びついていると思うそうです。
脳といえば、人間の、というより動物の神経系の中枢であり、理性も実際の行動もその差配によるものですが、私たちは、その仕組を知った上で行動しているわけではありません。
Amazonの販売ページには、書籍中に記載されている様々な脳に関する話のタイトルが披露されています。
なぜ、脳から意識が生まれるの?
ひと目ぼれは、どうして起きる?
頭がいいって、どういう人?
なるほど、私もそれらに答えることはできません(笑)
ことほどさように、脳についての興味深いトピックや、基礎的な知識などがわかりやすくまとめられています。
構成は、見開きで上掲のようなひとつのお題を取り扱い、右ページは本文、左ページは図解になっています。
ということで、今回は本書をご紹介することにします。
本書は2022年9月7日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
脳が意識を生むのは現代科学の最大の謎
脳は、ほかの臓器と同様に物質であるにも関わらず、「意識」を生みます。
これは現代科学の最大の謎、と著者は言います。
そりゃそうですね。
胃や腸が意識を持っている、という話は聞きませんからね。
調子が悪ければ痛くなりますけど。
脳の大脳皮質は、神経細胞が凝縮してつくった神経回路で覆われています。
外からの情報は神経細胞の連携で伝わります。
このとき分泌される神経伝達物質のバランスによって、意識はポジティブにもネガティブにもなるそうです。
人間の意識は、脳細胞の関係性にあるので、神経細胞ひとつを取り出して培養しても、人間の意識は生じないといいます。
いずれにしても、ぜひ、その脳の「謎」を1日も早く明らかにしてほしいですね。
世の中には、事故や病気で脳細胞を傷め、障害が残ったり、もっと重症なのは寝たきりになっている人もいるのです。
本人や家族がそういう経験をすると、この課題は切実です。
頭がいいってどういう人?
「あの人は頭がいい」
と、当たり前のように私たちは表現しますね。
ではいったい、頭がいいというのはどういうことでしょうか。
上の学校に行った人?
商売が上手い人?
きれいな文章が書ける人?
本書によると、現代の脳科学では、頭の良さ=他人とうまくやっていけること 、だそうです。
他人と心を通じ合わせ、協力して社会を作り上げることが、人間の頭の良さの本質だというのです。
ギャーッ
だったら、全然私は及ばないじゃないですかーっ
また、サルなどの群れをつくる動物と比べても、人間の社会的知性が優れていることは疑う余地はありません。現在までの知見を総合すると、厳密な意味での他人の心を読み取ることができるのは、すべての動物のなかで人間だけだとされています。(中略)
他者を受け入れ、矯正していくことが「頭のよさ」につながっています。つまり、いっしょに仲良くいることで頭が良くなるということです。
いや、これはちょっと頷けないでしょう。
私はなかなかのなかよしではなく、批判精神も必要だと思います。
批判することは、決して他者を受け入れないことにはなりません。
本当に受け入れないのなら、全く相手にしませんから。
相手を受け入れるからこそ、賛辞も批判もあるし、心を通じることも反目することもあるのではないでしょうか。
ですから、この点は留保をつけたいと思います。
一目惚れはどうして起こるか
これもまた大事な話ですね。
たとえば、理想の異性像があったとしても、そうではないタイプを好きになることってありますよね。
いや、そういうことに満ちているかな。
要するに、好きなタイプがいて、それにあてはまる人を好きになるのではなく、好きになった人が結果的に自分のタイプの人、みたいな感じです。
それはともかくとして、本書によると、「まだはっきりとした結論は出ていません」としながらもこう書かれています。
ひと目ぼれは、相手の情報がインプットされ、大脳新皮質が論理的に詳しく解析するよりも前に、感情の回路が「この人大好き!」という結論を出してしまった状態です。
人を好きになることは、直感によるところが大きいと言えるでしょう。
ということで、要するに「好みのタイプは?」なんて質問自体、あまり意味はないのかもしれませんね。
人生は旅
以上のような、お題ごとの解説が入る構成です。
後先になりましたが、目次をご紹介します。
第1章 脳の取扱説明書 脳の基礎知識(12テーマ)
第2章 脳は成長する 能力を最大限に発揮させる方法(10テーマ)
第3章 脳はひらめく これからはひらめきの時代(10テーマ)
第4章 AIと脳の未来 AI時代の脳の活かし方(8テーマ)
第5章 脳の働き 脳機能の一部を除いてみよう(11テーマ)
これら各章について、カッコ内に書いた数だけ「お題」があります。
著者は、「はじめに」でこう述べています。
コミュニケーションや創造性において大切なのは、一人ひとりの「個性」である。個性は欠点と長所からなっていて、その全体として意味をもつ。100人いたら、100人の個性が「正解」な のである。上も下も、順位も偏差値もない。
ただ、そのかけがえのない個性を活かすためには、自分自身を知らなければならない。(中略)その上で、自分にしかないユニークな能力は何か、どこが欠点で、どこが長所なのか、ゆっくり じっくりと考え、感じてみてほしい。人生は旅である。自分のことを知らないと、楽しい旅にはならない。
人生は旅なんですね。
いい旅をするために、ぜひ本書をご覧ください。
『眠れなくなるほど面白い』シリーズは興味深いシリーズ
『眠れなくなるほど面白い』シリーズは、これまでにもご紹介してきました。
眠れなくなるほど面白い図解仏教(渋谷申博著、日本文芸社)は、仏教に関する疑問を図解のQ&A形式で61テーマでまとめた書籍です。
眠れなくなるほど面白い図解栄養素の話(牧野直子監修、日本文芸社) は、栄養素に関する情報を図解でわかりやすく解説しています。
このブログでは、今後もこのシリーズに注目して興味深い書籍をドシドシご紹介したいと思います。
以上、眠れなくなるほど面白い図解脳の話(茂木健一郎著、日本文芸社)は、フシギなヒトの脳に関する身近な疑問でナゾを解明した書籍、でした。
眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話 ヒトの脳はフシギでいっぱい 身近な疑問でナゾを解明 [ 茂木 健一郎 ] – 楽天ブックス