『積木くずし最終章』(穂積隆信著、駒草出版)は、空前の大ベストセラーとなった『積木くずし』完結編。大どんでん返しの結末です。2012年に制作されたドラマが、BSフジで2022年4月9日に放送されて10年ぶりにトレンドキーワードになりました。
ドラマの初出は2012年11月23日ですから、「ひと昔」前の作品であるにも関わらず、今も人気があるんですね。
それはとりもなおさず、家庭の問題は深刻であり、かつ他人の家庭をあれこれ批評して、自分のところはマシだと思いたい大衆がいかに多いか、ということにほかならないと思いました。
それにしても、本書のドンデン返しはすざましいものでした。
なぜ、穂積隆信さん(1931年7月20日~2018年10月19日)はこんなにもすざましい人生を選んだのか、考えさせられました。
日本図書館協会選定図書です。
由香里は実の娘ではなかった
巷間のレビューを見ると、穂積一家、とりわけ穂積隆信さんについていろいろ論評というか人格の揶揄すらありますが、私は、そもそもそれは違うのではないかと思います。
書くということは、そうせずにはおれなかったことを書かずにはいられない、という行為です。
それが法的・倫理的にいいか悪いかというのは、別途おやりになればいい。
文芸作品としての評価は、そこじゃないだろう、と、穂積隆信さん批判に熱中する大衆に対しては一言しておきたいと思います。
人にはそれぞれ事情があるわけで、その事情をどう克服したか、そのうえでどう生きたかを読むべきです。
あなただって大した人生じゃないんだから、あまりズに乗らないことです。
さて、本書は、娘・由香里が「不良少女」となり、そこからいったんは立ち直るが、皮肉にも書籍のヒットで穂積隆信が講演で全国を走り回る生活になり、再び覚醒剤生活へ転落。
妻と借金取りによって財産はすべて持ち逃げされ、奥単位で稼いだはずなのに、穂積隆信には借金だけが残った。
ところが妻は金を使い果たして自殺。
娘も亡くなり、再婚した新しい妻も脳梗塞で倒れて高次脳機能障害になってしまった。
実は娘・由香里は、亡くなった前の妻が、借金取りとの間に作った不倫の子だった。
「積木」は結婚生活の当初から崩れていた。
だが、車椅子生活である今の妻との生活で、やっと人間らしさを取り戻した、という流れです。
本書がリリースされた当時、前妻の悪事や、由香里が不倫の子というのは、穂積隆信の作り話だと決め付ける人もいました。
その人たちに問いたいが、どうして、でたらめだといえるのでしょうか。
投機や博打にうつつを抜かしていた、という話も聞かない穂積隆信さんが、一文無しで亡くなったことは公然と報道されています。
つまり、持ち逃げを否定していたら、お金の行方の説明がつかないでしょう。
その限りにおいても、ちっともいい妻ではありません。
また、前書までは妻との出会いと結婚が、唐突な感も否めなかったのですが、本書の説明で辻褄が合います。
母親の代から愛人を職業とする女性が、ロケ先にいた。
きれいだというだけで、当時から男がいたその人を好きになり、1ヵ月後にその人が手紙をよこしたからといって、ろくに知らないまま結婚してしまった。
「男」とはその借金取りであり、妻は当時から借金取りと男女の関係だった。
一般論としても、それははやまった結婚でしょう。
養成所時代をともにした愛川欣也さんが言うように、穂積隆信さんは、少しおっちょこちょいで人がよすぎるのではないでしょうか。
そして、世間知らずの役者バカでもあるのだろうと思います。
百歩譲って、一部大衆の言う通り、それが穂積隆信さんの作り話だったとしましょう。
しかし、だからどうだというのでしょうか。
つまり、その真偽自体、第三者のあなた方にわかるはずもないし、その詮索は不毛です。
それよりも大事なことは、そういう悪妻のもとで、穂積隆信さんは何を思いどう生きたと書いてあるのか、そこを読み取ることではないでしょうか。
いずれにしても、そういう結婚で人生を棒に振っている人は、おそらくこの世の中にたくさんいるだろうとおもいます。
一部大衆は、他人に寛容であるがゆえに他人にだまされ、翻弄されるという生き方が理解できないのではないか。
だから、そんなことありえないだろう、と頭から思ってしまうのではないでしょうか。
私は、多少は人生に苦労しているので、そうは思いませんでした。
いずれにしても、『積木くずし』は別に教育問題を語っているわけではないし、穂積隆信さんにとっては明かすことが不都合なことも含まれています。
たんに、穂積隆信さんが自分の人生を自分の考えに基づいて綴った。
それだけのものだと思いました。
娘が一番可愛そう
そういう意見にも一言しておきましょう。
たしかに、娘の不幸は親がオノレの不明を恥じることです。
ただ、娘自身がどう生きるかは娘の問題。
「親のせいでこうなった」というのは自由だし、それはおそらく間違ってはいないでしょう。
でも、それをいったところで、世間は「可愛そうな子供」として下駄を履かせてくれるわけではないし、グレても自分が損するだけです。
後にも書きますが、母親と一緒に穂積隆信さんを裏切っておいて、母親が亡くなるとまた戻ってくる。
私だったら、三行半を突きつけた毒親のもとに戻るなんて、考えられないな。
早逝した娘も、毒親であることだけですべてを免罪できない問題を抱えていたのではないでしょうか。
そもそも人を「クズ」呼ばわりするなよ
少し前ですが、Web掲示板の関連スレッドをご紹介します。
穂積隆信さんは悪人とは思えませんが、ネット民は何でも叩くのが好きだな【芸能】元妻も娘も後妻も逝って「穂積隆信」が「積木くずし」の後始末 https://t.co/K5I13V4e81 pic.twitter.com/IS9leUnnNU
— 石川良直 (@I_yoshinao) April 12, 2022
もと記事の『週刊新潮』(2018年11月1日号)を要約します。
1982年に上梓された『積木くずし』は、一人娘で中学1年だった娘の非行を赤裸々に綴り、約300万部のベストセラーに。
穂積隆信さんには3億円もの印税が入り、かつ講演活動などで俳優の仕事を超える収入。
娘には、月30万~40万円もの小遣いを与えていたと書かれていてます。
その娘は、1983年にその小遣いで買ったトルエン所持で逮捕。
娘は、「娘の恥のお蔭でいい思いをして、絶対に復讐してやろうと思った」と語ったとか。
さらに、(前)妻が億単位の全財産を持って娘と出奔。
穂積隆信さんに残ったのは未納の公共料金や、土地売却に伴う数千万円の所得税などの負債だけ。
夫婦は離婚し、娘は逮捕を繰り返す。
破産状態に追い込まれた穂積隆信さんは、旧知の美容院経営の女性と再婚。
しかし、脳梗塞で高次脳機能障害になり、穂積隆信さんが亡くなるまで介護することに。
前妻は持ち逃げした金を使い果たして自殺。
父親を恨んで裏切ったはずの娘は、結局穂積隆信さんのもとに転がり込んだものの、腎臓病により35歳で早逝。
そして、1人ぼっちになった穂積隆信さんは87歳で病死。
という経過です。
『週刊新潮』ははっきりと書いていませんが、前妻の財産持ち逃げには男がいたようです。
主なコメントを引用します。
今で言う
三田佳子一家みたいなもんかな
4名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:30:27.70ID:FAqGAR6r0
娘と奥さんが先に死んだのには当時びっくりしたよ
6名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:32:57.25ID:6ohMh6Pk0>>38
一家でクズなだけじゃん
7名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:33:36.48ID:DTwLVQVd0>>16>>17>>69
35で腎臓って
8名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:34:37.77ID:SsR3MRwe0>>10
穂積もクズだが娘も元妻も大概じゃん
11名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:36:30.81ID:DTwLVQVd0>>21>>22
父親はクズか?
20名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:52:08.95ID:CVq5siDZ0
>>17
マジで現在進行形の娘の非行を本にするってどういう神経してるのか理解できない
ぐれてあたりまえ
21名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 06:54:10.66ID:l6yJmhx20
>>11
いや父親は娘や嫁に甘かっただけ
底なしのクズは娘と嫁
31名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 07:06:16.19ID:HhamDHQR0
娘も穂積の実の子じゃなくて
お抱えの税理士との不倫の子
元嫁も豪遊しまくって、最後はナマポ
真面目に生きるのが馬鹿らしくなる日本
34名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 07:07:14.76ID:WjRrKRvAO
>>20一応娘に書いていいか聞いた上で書いたらしいけど
娘さんは本の出版より、ドラマの放映のがショックだったらしい
51名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 07:45:25.69ID:okFa9vv+0
元妻は病んでたのか?
億の金もって出ていって最終的に生活保護って
相当だよな
娘の進学時に髪の毛黒くしてあげるとかの考えなかったのかね?
53名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 07:48:57.04ID:l6yJmhx20>>59
血の繋がらない子供を旦那に面倒見させた挙句に旦那の金を盗んでトンズラ
サラッと読んでもこの元嫁はクズすぎるだろw
57名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 07:54:33.18ID:GtVERU3n0>>65
元妻が億単位の金持ってたのにどうやったら使い果たせるのか
男に金貢いで逃げられた?事業失敗?
あと元妻と逃げた娘もちゃっかり父親の元に帰ってるとか
ちょっとありえないわ
78名無しさん@恐縮です2018/11/02(金) 08:20:49.30ID:Qb4FpCu/0
目立った非行は無くても
いまもこんな感じの家庭は多いw
意図しなくても、
家系にアスペ質の人間がいればこうなりうる。
現実を隠して幸せを装ってるだけ。
「78」の書き込みは興味深いですね。
「アスペ」云々はともかくとして、要するにどなたさんも「危ない家庭」だから、それがあまりにも派手に表面化した家庭を手厳しく唾棄することで、自分を正当化させたり、日頃の溜飲を下げたりしているのではないでしょうか。
そもそも、このことに限らず、大衆の芸能ニュースに対する論評なんて、その程度のメンタリティでしょうからね。
コメントの微妙な食い違いは、
3人とも「クズ」なのか、前妻と娘が「クズ」なのか、というところかな。
何をもって「クズ」とするかは主観の問題なのでわかりませんが、いずれにしても、ひとさまをクズ呼ばわりするのはいかがなものでしょうか。
あんたがただって、そんなにご立派な人生じゃないでしょう。
私は、人間は間違いうるものですし、ちょっとしたきっかけで、穂積隆信さんの一家のような転落は、誰でもありえると思います。
登場人物を唾棄するのではなく、他山の石にさせていただくというスタンスでいいのではないでしょうか。
以上、『積木くずし最終章』(穂積隆信著、駒草出版)は、空前の大ベストセラーとなった『積木くずし』完結編。大どんでん返しの結末、でした。