『空のふしぎがすべてわかる!すごすぎる天気の図鑑 Kindle版』(荒木健太郎著、KADOKAWA)は、雨や雲の不思議をわかりやすく図解しています。雲、空、気象、天気に関する話題を78テーマにまとめ、雲や雪などは図解でわかりやすく紹介しています。
『天気』や『空』の解説書籍というと、天気図の読み方や難しい専門用語ありきをイメージされるかもしれませんが、本書は文章と図解で誰にでもわかりやすく読める雲と雨の図鑑です。
防災・減災のために雲の仕組みを研究
『空のふしぎがすべてわかる!すごすぎる天気の図鑑 Kindle版』は、荒木健太郎さんがKADOKAWAから上梓しました。
荒木健太郎さんは、雲研究者・気象庁気象研究所研究官であり、学術博士です。
「雲研究」というのは、防災・減災のために雲の仕組みを研究している方です。
本書は、新刊ではありませんが、リリースされてから比較的日が浅いですね。
『もっとすごすぎる #天気の図鑑』がでます!雲・空・気象・季節・天気のふしぎを紐解く1冊です。写真・イラスト図解で総ルビなので小学生から読めます。身近な雲から珍しい空、簡単な実験・観察、マンガの技名の天気の言葉などまで心を燃やして書きました。ぜひご覧ください??https://t.co/QuOtXunUgu pic.twitter.com/0QFNJ8QoSt
— 荒木健太郎 (@arakencloud) April 6, 2022
私は、その書籍の価値を語れるまでに、何度も読み込み、関連書籍など読み比べるなどしないとレビューを書けない不器用な人間のため、その書籍を読んですぐにレビューというのは、実は苦手です。
しかし、AmazonUnlimitedの読み放題リストに入っている本書を拝読して昨日一気に読み、本日ご紹介することにしました。
それだけ、読みやすくわかりやすい書籍である、ということです。
雲、空、気象、天気について78テーマにまとめる
本書は、雲、空、気象、天気に関する話題を78テーマ掲載しています。
それに加えて、各章でコラムも加わります。
そして、雲や幸などについては、実際に画像でわかりやすく紹介しています。
そのうちのいくつかをご紹介させていただきます。
天気予報と霊感・占いの違い
天気予報は「予報」であり、外れることがあります。
そこで、私は考えました。
では、霊感や占いとどう違うのでしょうか。
後者も、はずれまるものと思われていますよね。
本書によると、天気予報は、物理学の式をもとに、スーパーコンピュータで未来の大気の状態(風や気温など)を計算して作ります。
ところが、大気は少しの“ずれ”が時間とともに大きくなる「カオス」の性質があるため、天気予報は外れることがあるそうです。
つまり、科学が複雑系にアプローチしているわけです。
しかし、占いや霊感は、根拠が曖昧である上に、その判定の使い方が違いますよね。
「あなたは将来病気になる」と占われたとして、それがもしあたったとして、果たして客観的といえるのか。
なぜなら、その「将来」が、老化してガタが来る80代ならどうでしょう。
占いでは、何歳で何月何日に何の病気と、はっきり白黒がつく判定はしませんよね。
そんなの、あたったうちに入らないだろう、と思いませんか。
また、「病気」の中には、「風邪」も含まれますから、普通ほとんどの人が当てはまるでしょう。
要するに、占いの判定もその受け止め方も、「主観」で成り立っているのです。
そこが、決定的に違います。
雨のニオイの名前
雨が降ると、もワーッとした、独特のにおいが立ち上りますね。
本書によると、あれはペトリコールというのだそうです。
ギリシャ語では「石のエッセンス」。
植物からできた油が、乾燥した地面の土や石の表面にくっつき、雨がふることによって空気中に出ることが原因だそうです。
油の匂いというのは初めて知りました。
「晴れ」の種類と基準
天気予報による「晴れ」は、何で決まるのか。
「晴れ」というぐらいだから、日照かと思いきや、本書によると「雲の量」なのだそうです。
空全体を見上げたときの雲の割合を雲量(うんりょう)といいますが、それを0から10までの数字で段階化し、雲量が1以下なら「快晴」、2~8が「晴れ」だそうです。
つまり、雲の量が空全体の8割以下なら「晴れ」なのです。
ですから、「晴れ」と一口に言っても幅広いですね。
地球温暖化の危機、その真相は……
近年取り沙汰されている「地球温暖化」。
いや、そんなものはないよと言っている人もいます。
しかし、本書によれば、「猛烈な雨」や「猛暑日」はやはり増えているそうです。
その一方で、1日の最低気温が0度未満の冬日は少なくなっており、積雪量も過去30年で減る傾向にあるといいます。
ただ、大雨や大雪は年ごとの変動が大きいため、長期的な変化傾向はもっとデータを増やして調べる必要があるとしています。
予防原則という言葉もありますし、頭から否定しないで、こうしたデータときちんと向き合う必要があると江思いますね。
人の力で天気は変えられるか
最近は、地震のたびに「人工地震か」なんて噂が経ちますが、では天気は人の力で操作できるのでしょうか。
本書によると、これだけ科学技術が発達した現代でも、天気は変えられないといいます。
人工降雨。人口降雪などはありますが、それらは水質資源を確保するためのもので、天気を変えるところまでは至らないそうです。
変えられれば、この日は行事があるから絶対に雨が降らないでほしい、なんていうときに使えそうですね。
でも、そういうのは人間の都合です。
人によって都合が衝突するときもありますし、植物や動物、山や川など、自然界のすべての有機的な動きを操作することになってしまいますから、やはりできないほかがいいのかもしれませんね。
「いまの段階では、天気予報をうまく使うのがよさそうです」とまとめています。
一般の人でも知識が身につく
余談ですが、私は以前、気象予報士が有資格化された頃、受けてみようかと思い、参考書を買ったのですが、天気図と専門用語が載っているので腰を引いてしまい、ほとんど読むこともなく挫折したことがあります。
でも、天気というのは、私たちの生活に密接に関わってますから、できれば知っている方が知らないよりもいいですよね。
本書は、気象予報士を受ける予定のない一般の人でも、十分に雲、空、気象、天気についての知識が身につきます。
雲の不思議、空の不思議、気象の不思議、天気の不思議。
自然界の不思議を、画像ととわかりやすいイラストとわかりやすい言葉で解説してくれていまます。
すべてルビがついているので、お子さんでも読みやすくなっています。
以上、『空のふしぎがすべてわかる!すごすぎる天気の図鑑 Kindle版』(荒木健太郎著、KADOKAWA)は、雨や雲の不思議をわかりやすく図解、でした。