『節約する人に貧しい人はいない。』(幻冬舎)は、貧しくなるのは貧乏だからではなく世間体を気にして無駄なカネを使うからだと唱える書籍です。その一方で、金は人と関わることでしか得られないので、飲み会はどんどん参加しようと説いています。
生活は自分にとって必要なだけ求めること
『節約する人に貧しい人はいない。』(中川淳一郎著、幻冬舎)は、貧しくなるのは貧乏だからではなく、世間体を気にして無駄なカネを使うからだといいます。その一方で、金は人と関わることでしか得られないので、飲み会はどんどん参加しようと説いています。
見栄を捨て、自分だけの幸せを手に入れる。他人と比べない。競争しない。妬まない。「自分のため」の金銭感覚の身につけ方収入に応じた生活なんて、幻想。「家賃は月収の3割」は信じなくていいし、クレジットカードは最低ランクで問題ない。……といったことを書いています。
中川淳一郎さんは、ネットニュースの編集者として活躍。
その経験を書籍として上梓しています。
中川淳一郎さんは、過去の『ネットのバカ』『縁の切り方 絆と孤独を考える』などの書籍で、一貫して次のようなことを述べています。
- 友達がたくさんいるふりをして、ネットの「友達」を増やすヒマがあったらリアルの友人との関係を深めよう。
- 友人は「数」いればいいというものではなく、葬式で泣いてくれるぐらいの「質」を重視。せいぜい10人。知人も含めてリアルに付き合える人なんて30人がいいところだ。
- 自分に合わないと思った友人は絶縁しても構わない。人生のステージで付き合う人は変わるから新しく出逢えばいい
というものでした。
要するに、見栄や虚栄心で無駄に時間やエネルギーを使うな、自分にとって必要なだけ求めなさい、という考え方です。
本書『節約する人に貧しい人はいない。』の「節約」も、その考え方にたっています。
つまり、お金が貯まらない原因は、所得の低さではなく、見栄や虚栄心による支出だというのです。
住宅費(家賃)は給料の30%とか、結婚指輪は給料の3ヶ月分とか、何の根拠もない世間の「常識」に左右されてはいけない。
収入がふえても、自分で必要な範囲でだけ消費すればいい、としています。
世間は、それほどあなたを気にしてはいないから、いちいち高い洋服や装飾品も必要ない。
ことほどさように、貧乏だった時代の金銭感覚を保てれば、人はいくらでも貯金ができるというのです。
本当に貧乏な人は、本書に書かれている「節約」以上のことをせざるを得ないし、そういう人は金を貯めるために節約しているのではなく、そもそもお金がないから必要最小限の消費しかできません。
ですから、「いくらでも貯金ができる」というのはちょっと表現がオーバーかなと思いました。
どのように人間関係を維持するか
一方、著者は人間関係構築における「節約」は反対しています。
結局人間が金をくれるのだから、人間と仲良くするしかない
として、「飲み会は断るな」としています。
となると、これまで中川淳一郎氏が述べていた、付き合う人を絞れ、という主張と異なるようにも見えます。
が、たとえば「カネにがめつい人は付き合うな」など、選別は必要であることを説いているので、矛盾はしていないのでしょう。
問題は、その選別の基準でしょうね。
逆に、変な人と付き合っちゃったばっかりに、足を引っ張られるということはありますから。
「節約」をテーマとする本書では、具体的に、どういう立場のどんな人なら自分が奢るべきか、また割り勘にすべきか、など、細かい話ですが大事なこともケースごとに解説しています。
そして、どのように人間関係を維持することができるのかの10ヶ条も列記されています。
- 相手の立場がどうであろうが、敬語で喋る。
- 自分がされてイヤなことは多分相手もイヤだろうから、それはしない(遅刻されたり舌打ちされたりする程度の些細なことでも)。
- 相手にとってトクすることを提供する(安い店をたくさん知っている、時々割の良い仕事を提供できたりする等)。
- 質問攻めにし、相手に気持ちよく語ってもらう。
- 電話が来たらすぐに出る。出られなかったら折り返す。
- 関係を維持したい人間の悪口を裏で言わない(ただし、緑を切りたかったら積極的に悪口は言うべき)。
- 何かをお願いされた時に忙しぶらない。
- カネ以外の利点を提供する(話が面白い、趣味が合うなどでOK)。
- SNS等をあまり見ないようにする。
- 連絡をする時は、「〇月○日空いてる?」という問いかけをするのではなく、「〇月〇日に、××の会合があるのでいらっしゃいませんか?」と、相手が判断できるようにする。
「9」は、SNSには相手の支持政党・宗教・外面と違う本音などが書き込まれていることがあるので、それを見て失望しないよう「知らぬが仏」で見ないほうが良いと書かれています。
私個人の意見として、それに付け加えますと、「誰かと話している時、そこにいない人のことは話題にしない」というのも心がけています。
自分がいないところで勝手に話題にされたら、内容がなんであれ、気持ち悪いと思いませんか。
だって欠席裁判だし。
また、悪気なく話したことでも、相手を通して、「悪気」を勘ぐれる話として伝わりかねません。
もとより、悪気があろうがなかろうが、どう感じるかは「いない人」の心ですから、こちらの意図は無関係です。
いずれにしても、話があるのなら直接話すべきだと思います。
みなさんは、人間関係の維持に何か心がけていることはありますか。
以上、『節約する人に貧しい人はいない。』(幻冬舎)は貧しくなるのは貧乏だからではなく世間体を気にして無駄な金を使うからと唱える、でした。