脳が突然鋭くなる「短時間」睡眠法(藤本憲幸著、パンローリング)は、四時間短眠で人生を有意義に過ごす勝利者になろう!と説く書籍です。今まで健康の重要な因子とされていた睡眠「時間」は、多ければいいというものではないと指摘しています。
『脳が突然鋭くなる「短時間」睡眠法』は、藤本憲幸さんがパンローリングから上梓した書籍です。
私は、Kindle版を拝読しました。
AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
4時間の短眠で質の良い眠りと自己実現の時間を増やす
睡眠というと、「十分な睡眠」が健康のためにはよいといわれてきました。
睡眠不足は、ストレスとともに万病の元のように言われたことも。
しかし、それには疑問がありました。
だったら、睡眠時間を増やせば増やすほどいいかというと、必ずしもそうとはいえず、『眠りすぎると体に悪い』報告もあるからです。
たとえば、2014年に成人の双子を調査した結果、長時間の睡眠が鬱のリスクを高めるという報告がありました。
米・国立生物工学情報センター(NCBI)によると、8時間以上の睡眠は健康を損なう可能性があると考察されています。
『Journal of American Heart Disease』によると、1日平均10時間を超える睡眠を取る人は、1日平均7時間の睡眠を取る人と比べて心臓発作と心血管疾患のリスクが高まることが示されています。
では、すくなればいいのか。
いや、やはり寝ないと集中力も判断力も落ちているようだ。
だとすれば、睡眠の質が問われるのではないか。
睡眠の時間が多ければいいというものではないのではないか。
そんな疑問に答えているのが本書です。
本書は、これまでいわれてきた8時間睡眠の常識を反証。
4時間の短眠により、質の良い眠りを経験するとともに、浮いた4時間を自己実現のために使おうと説いています。
“ストレス気配り”は睡眠の質を落とす
本書は、ナポレオンや野口英世などが、短眠で自己実現を果たしたことを紹介。
質の良い睡眠を短時間行えば、人間は活力ある日々を送ることがデキるといいます。
もちろん、体調の悪い時には体を横たえて安静にすることで、自然治癒力を喚起して体に抵抗力をつけていく。
そのことは正しいものの、惰眠として長時間眠るのはむしろよくないと書かれています。
眠っている間に体力が低下するからです。
さすれば、横になり安静にすることと、長時間眠ることの違いはどこにあるのか。
長時間眠っていると、少しも疲れが取れないどころか、かえって体力は弱っている。そこで、自分は眠りが少ないから疲れが取れない、ということになる。
それはつまり、眠りが少ないのではなく、質の悪い睡眠が良くないというわけです。
熟睡できない理由として、本書は、たとえばストレス気配りはやめようと述べています。
文明が高度化し、私たちの日常生活や人間関係がいろいろ複雑化してくると、「相手のことを思いやりなさい」「友達を大切にしよう」「相手の立場にたって物事を考えよう」といった、思いやりルールが社会の中で言われるようになります。
でも、世の中は、筋の通らない、道理の分からない人間もたくさんいます。
一生懸命親切にしても、後ろ足で砂をかけられるような仕打ちを受けたり、誤解されたり、逆恨みされたりすることはめずらしくありませんが、それらはすべてストレスになってしまうといいます。
本心からやりたくてたまらない、見返りなど全く期待しない親切や思いやりでないと、悪玉ストレスになるというのです。
それが、「俺があんなにしてやったのに、あいつは理解していない」「俺の気持ちを踏みにじった」「私たちの気持ちが通じなかった」などといった形で自分の心に返ってくる“ストレス気配り”で、寝る際に頭の中に蘇ってくるのです。
本来、眠るということは、1日の疲れを取り、新しい明日のための活力を十分に補給するものなのに、脳も意識も前日の悪いイメージ、悪い思い出ばかりを追うことになり、自然に呼吸も浅くなり、首や肩の筋肉が凝ってしまう。
そうすると、心と体がリラックスできないので、熟睡できずに朝まで眠れなくなってしまうわけです。
本書は、ブラックノートをつけて、寝る前にすべてを忘れてしまうことを勧めています。
ブラックノートというのは、要するにネガティブな思いの日記帳です。
日々の嫌なことを書くことで吐き出し、気持ちがすっきりするというのです。
が、私の経験では、それを書くと、漠然としていた心の中の疑念や憤りが論理的に整理され、つまりどうして自分が腹がたったのかが改めて明確になり、逆に今まで以上に執念深く怒りを覚えるので、むしろ運気が落ちるような気がするのですが、とにかく本書はブラックノートを勧めています。
「短時間」睡眠法の5つのルール
では、質の良い短眠はどうすれば得られるでしょうか。
本書では、5つのルールを述べています。
ここでは、ルールの枚挙だけしておきます。
- ストレスを絶対に寝床へ持ち込まないこと
- 食事は眠る3時間前にすませる
- 快便こそ快眠を生み出すカギである
- 運動(ヨガ)と想念による完全熟睡への道
- 睡眠環境を整えること
いずれにしても、「短眠は焦らず、急がず、マイペースで」と本書はアドバイスしています。
短期間で結果が出ないと、その方法は間違っているとすぐに諦めてしまうのはせっかちな日本人にありがちなパターン。
短眠を実行するということは、自分の心と身体に大革命を起こすことであるのだから、時間がある程度かかるのは仕方がないわけです。
食べないと睡眠時間も少なくて済む
ユニークだなと思ったのは、食べることと睡眠の関係です。
つまり、食べることで睡眠が必要になる。
1食で3時間。3食で9時間というわけです。
要するに、現代人は食べ過ぎだから、控えたら睡眠時間も少なくて済みますよ、という話です。
藤本憲幸さんについては、体を浄化する毒出し断食(藤本憲幸著、主婦の友社)をご紹介したばかりです。
藤本憲幸さんは、「断食」とともにヨガを組み合わせて、その再生を指導しています。
消化には多量の酸素を必要とするため、食べてしまうと脳に酸素がいかなくなるといいます。
さらに、天ぷらやとんかつ、すき焼きなど脂肪分の多いものを摂った場合、完全に吸収して排泄寸前までに要する時間は約16時間ぐらいかかるので、その間に次の食事が入ると、内臓に負担がかかるといいます。
1日3食ですと、食間は16時間は空かないですからね。
脂肪を全く使わない食事というのも難しいですし、つまり、1日3食では、「内臓に負担がかかる」状態になる可能性は高いわけです。
そうなると消化不良で、下痢や便秘を招く⇒体内に有毒ガスを発生させる⇒有毒ガスが体内の酸素を吸収したり壊したりする⇒体内の酸素が不足して内蔵の働きがますます弱くなる⇒疲れやすくなったり、身体に活気が乏しくなり、十分な睡眠をすることができず、いつも浅い眠りで超惰眠をし、その上、睡眠不足を訴えるようになるといいます。
論より証拠です。
本書で詳細をお確かめください。
以上、脳が突然鋭くなる「短時間」睡眠法(藤本憲幸著、パンローリング)は、4時間短眠で人生を有意義に過ごす勝利者になろう!と説く、でした。