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『魔性の中年女~杉並資産家老女殺害事件の黒幕~』は、1989年に起きた杉並資産家老女ら2人殺害事件(準広域重要5号事件)を漫画化

『魔性の中年女~杉並資産家老女殺害事件の黒幕~』は、1989年に起きた杉並資産家老女ら2人殺害事件(準広域重要5号事件)を漫画化

『魔性の中年女~杉並資産家老女殺害事件の黒幕~』は、1989年に起きた杉並資産家老女ら2人殺害事件(準広域重要5号事件)を漫画化しました。資産家老女から男女3人が騙して資産を奪った上に殺害し、さらに仲間割れから1人が射殺された事件です。

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杉並資産家老女殺害事件とはなんだ

杉並資産家老女殺害事件というのは、1989年に発覚した、正式事件名を杉並資産家老女ら2人殺害事件(準広域重要5号事件)といいます。

広島で、事業がうまくいかない不動産ブローカーの男が、夫と3人の子供を捨てた女と、駆け落ちのように東京にやってきて起こした事件です。

不動産ブローカーは、内縁関係であった愛人の女性と共謀。

東京都杉並区で、アパートを経営する一人暮らしの老女から、土地をだまし取ろうと計画します。

老女の経営するアパートに入居した女性は、温泉旅行に誘い出すなどして人間関係を作ります。

そして、元保険代理業の男性を、長期入院中の老女の長女と戸籍上の婚姻をさせました。

長女本人も知らないでっちあげの婚姻届で、主犯女を信じ切っている老女は長女に確認もとらなかったそうです。

その上で、老女が所有する杉並区内の土地の売買契約書を偽造。

不動産会社に転売して約2億800万円を騙し取りました。

事件の発覚を恐れたブローカーは、老女の首を絞めて殺害。

それだけではなく、老女の長女と戸籍上の婚姻をした共犯者の男性まで、仲間割れの末、口封じのために短銃で射殺した上に、首を切って岐阜県の渓谷に遺棄しました。

ブローカーは死刑。

愛人の女性は懲役5年の実刑でした。


量刑は、よく3人以上殺害した場合は死刑の可能性が高い、などといわれますが、2人であっても、動機に酌量の余地があるかどうかを総合的に判断して、死刑の場合もあり得ます。

死刑制度自体には賛否両論ありますが、それは措くとして、たしかに人数だけで機械的に量刑が決まるというのは、その質次第では非合理な気もしますから、死刑制度がある以上、「2人」であっても死刑判決はあり得るのでしょう。

ブローカーと愛人の女性は、老女が「失踪」として事件が公になった時点で逃亡しました。

一時期は、フィリピン潜伏という話もありましたが、実際には国内に潜伏。

養鶏場に住み込んで働いたり、スナックを経営したり、中古車販売店の経営を始めたりしていました。

その逃亡先で、テレホンクラブで知り合った女性に覚醒剤を打ったことで足がついているのですから、もう犯罪のダメ押し状態です。

むしろ、ブローカーが死刑で、共犯である愛人の女性は「たった」5年というのが少ないのではないか、という気さえしてきます。

だって、発案者や計画者がどうだろうと、2人で犯したことなのです。

このへんは、男女平等でなくていいのでしょうかね。

こういう「男社会」に文句を言わないのは、SDGsなる「17の目標」の中の、「ジェンダー平等」に反しないのか、関連識者に伺ってみたい気もします。

それはともかく、この事件を漫画化したのが、『魔性の中年女~杉並資産家老女殺害事件の黒幕~』(神崎順子、ユサブル)です。

犯行後は逃亡して茨城でスナックを経営

先程、男女の量刑の違いについてこだわりましたが、事件は内縁関係の「2人」が主犯です。

なにしろ、本書では、愛人の女性が主導した犯罪のような描かれているほどです。

オープニングは平成2年(1990年)の元旦。

神奈川県の中央高速道路高架下に捨てられたトランクから、人間の腐乱死体が発見されたところから描かれています。

すぐに身元は判明し、都内杉並区の資産家老女とわかります。

老女の不動産は、売却されていました。

最重要容疑者は、どこといって取柄も特徴もない一人の中年女でした。

広島から駆け落ちしてきたものの、食い詰めた中年男女2人は、女が住むアパートの大家である老女に狙いを定め、孤独な独居老女に取り入りました。

病気で入院中の老女の長女と、主犯男の元部下を偽装結婚させ、老女の身内になります。

犯行後、指名手配の2人は逃亡。

茨城でスナックを経営していました。

もちろん、資金は奪った金でしょう。

が、4年後の1995年、主犯男がテレクラで知り合った女に覚醒剤を使ったことであっけなく逮捕されました。

事件の影響で法律も改正

杉並資産家老女ら2人殺害事件(準広域重要5号事件)が教訓となり、

  1. 国民の利便性の向上を図る。
  2. 登記の正確性を確保すること。

不動産登記法が、105年ぶり(2004年)に改正されました。

具体的には、

  1. 出頭主義の全面廃止。
  2. 「登記済証(権利書)制度」の廃止に代替する「登記識別情報制度」
  3. 「保証書制度」の廃止に代替する「事前通知制度」の充実や「資格者代理人による本人確認情報の提供制度」「登記原因証書」「申請書副本」の廃止に代替する「登記原因証明情報の提供制度」の導入

といったところです。

要するに、売買による所有権移転などで、登記を申請する原因となった契約や事実を正確に証明する登記原因証明情報の添付が必須になり、不動産の保証書制度と予告登記制度がなくなり、資格者代理人による本人確認制度が導入されることになりました。

なお、この事件は、倍賞千恵子と岩城滉一により『闇に咲く女 杉並老女殺人事件』(フジテレビ)としてドラマ化されましたが、当初の放送予定日だった1993年3月19日当日に、突然放送中止になりました。

「放送直前に容疑者の家族の関係者から「家族の気持ちを考え実名での放送に配慮してほしい」と連絡があり差し換えになった。」(1993年3月31日付朝日新聞)のです。

結局、このドラマは放送されることはありませんでした。

本書は、マンガ図書館Zなどで、無料で読むことができます。


単話版のほか、『ザ・女の事件Vol.1-3~特集/おのれのエゴと欲のために、子を、夫を殺した女たち!!』にも収録されています。

以上、『魔性の中年女~杉並資産家老女殺害事件の黒幕~』は、1989年に起きた杉並資産家老女ら2人殺害事件(準広域重要5号事件)を漫画化、でした。


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