30代、40代から始めるデジタル断捨離のすヽめ(本能寺逢休著、火雄出版)は、書籍書類のデジタル化による断捨離の方法を紹介しています。デジタル断捨離は12のメリットと3つのデメリット、30代から始める4つの理由などを体験に基づきまとめています。
『30代、40代から始めるデジタル断捨離のすヽめ』は、本能寺逢休さんが火雄出版から上梓したKindle書籍です。
『親の書籍5000冊と夫婦の2200冊を15冊に、有象無象の書類をファイル10冊分に減らした究極の断捨離術』というサブタイトルが付いています。
断捨離というと、「捨てる」イメージが強いのですが、本書のタイトルに有る『デジタル断捨離』というのは、書籍の情報をデジタル化するということです。
意外と気が付かないのですが、書籍は購入代金だけでなく、保管コストもあります。
何十冊、何百冊とまとまった量になれば、部屋のスペースをしっかりとります。
書籍をスキャンニングしてデジタルデータ化すれば、それまでの「本をおいていたスペース」が空きます。
そのデータ保存には、クラウドサービスを使えば、省スペースどころかゼロスペースです。
本書には、デジタル機器を使って、本や書類を自炊、廃棄する「デジタル断捨離」により、これまでに両親の本5000冊以上、自分の本2200冊以上を計15冊に、有象無象の書類をファイル10冊分に減らしたと書かれています。
著者の本能寺逢休さんは、新聞社で研修担当として、取材や記事執筆の方法を指導。
また、認知症で独り暮らしをしていた母親を、6年間にわたりITを利用した遠距離介護の経験から、家族が楽しみながら継続できる介護を提唱しています。
本書は2023年1月20日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
たんなる断捨離ではなく情報処理の効率化をはかる
『デジタル断捨離』の前提となるのは、「自炊」作業です。
自炊ってご存知ですか。
ここでいう自炊とは、ご飯を作ることではありません。
既存の紙の書籍を、裁断してバラバラにしてからスキャナーでスキャンし、PDFデータとして電子書籍化する作業です。
著作権問題はさておき、自炊を代行してくれる業者もいます。
しかし、どうしても時間が取れないという方でなければ、ご自身でされた方が良いかもしれません。
自分ですれば費用もかかりません。
本書によると、著者の父親が亡くなった後、母親の認知機能が徐々に低下。
者のある場所を忘れて探しものに時間がかかるようになったため、断捨離を決意したとのこと。
といっても、ただ捨ててしまうことは反対され、デジタル断捨離を納得してもらったとか。
たんなる断捨離ではなく、情報処理の効率化をはかれることが大切なのです。
というのも、著者のお母さんだけでなく、著者自身が、自分の処理能力を超える本や資料に囲まれていたために、脳の処理速度がどんどん低下。
記事を書くスピードが遅くなり、注意力が散漫になって忘れ物はかりしていたとか。
実家のデジタル断捨離を始めた当時、著者は30代後半だったそうです。
身の回りの視覚情報を適量にするためそのぐらいから始めることを推奨。
40代、50代になると、視力や判断力が落ちてきて、生産性が落ちることを指摘しています。
そして、本書では、デジタル断捨離の12のメリットと3つのデメリット、30代から始める4つの理由などを体験に基づきまとめています。
アマゾン販売ページには、目次も公開されているので、どのような内容かはそこでわかります。
たとえば、デジタル断捨離の12のメリットは、
- 残業が激減
- 忘れ物が激減
- 仕事のアイデアが湧き出るように
断捨離の効果 偶然? こじつけ?
タスク・スイッチング防止効果
些細な選択肢をあらかじめ決めておく効果
ドーパミン分泌効果
デフォルトモード・ネットワーク効果 - 予期せぬアクシデントに慌てずに対応できるように
- 認知症の親の遠距離介護が各段に楽に
- 場所を選ばずにノマド的な働きが可能に
- 隙間時間での読書が充実
- 休日を有効に活用できるように
- デジタル断捨離をきっかけに本格的な断捨離に覚醒
- 小さい賃貸マンションに住み替え、家賃を節約
- 決断力向上に伴い、会社の断捨離とFIRE生活の実現
- 沖縄移住の実現、移住に向けて身軽に引っ越し
などを挙げています。
一方、デジタル断捨離の3つのデメリットは、
- 初期投資に5万円以上必要
- 時間と手間がかかる
- 親の家を断捨離しようとすると、壮絶な親子げんかに発展しがち
などを挙げています。
人によりけりかもしれませんが、「3」はわかりますね。
著者のお母さんには悪いですが、終活は息子さんのためでもあるんですけどね。
物が増えると、部屋が狭くなって不便だと思うのですが、昔の人は物が増えると豊かになったような気持ちになるみたいですね。
本書のタイトルにもなっている「30代、40代から始める」4つの理由としては、
- 40代は大きな飛躍のチャンス
- 40代はサラリーマン人生の岐路
- 体力と気力の低下に合わせた、働き方にシフト
- 退職後の第二の人生と、突然降ってわく親の介護を両立させる下準備
(ナポレオン・ヒル「思考は現実化する」より)
などを挙げています。
私はもう、30代、40代をとーーーーーーっくに過ぎてしまったので、どうにもなりませんが、たしかに40代ぐらいを目処にそれを行うのはいいかもしれません。
50すぎると、そもそも部屋の片付け自体がおっくうになるんです。
その上、「自炊」って手間と時間がかかりますから、面倒になってしまうんですね。
本書では、デジタル化するのは書籍だけでなく、たとえば付箋付きの書類、名刺、レシート、取扱説明書、健康診断結果、賞状、手紙、新聞のスクラップ、さらにアルバムの写真など多岐にわたり、ノウハウが書かれています。
私は名刺については、スマホアプリのCamScannerで撮り、それをEvernoteに保存しています。
アルバムの写真は、フラットベッドスキャナできっちりスキャンすることもありますが、手間がかかるのでやはりスマホアプリのフォトスキャンを使っています。
データはハードディスクにはほとんど保存せず、クラウド中心ですね。
なぜかというと、私は以前、パソコンの近くにおいてあった外付けのハードディスクにデータのバックアップをしていたのですが、12年前に火災を経験。
パソコンだけでなく、ハードディスクも燃えてしまいました。
その時、無料サービスとして行われていたNドライブというクラウドサービスに入れておいたデータや、Imapメールは残ったため、以来、データはクラウドに保存することに決めたのです。
情報処理の価値観が変わる
まだ20世紀ですが1990年代中頃。インターネットが普及し始めた時期ですが、すでに一部の企業では、社員に端末を持たせて、営業日誌や顧客とのやり取りはすべてそこで完結させ、データは会社のサーバーで一元管理、というクライアントサーバーシステムを採り入れているところがありました。
主に、保険会社とかコンサル会社とかでしたけどね。
営業マンが保険料を算出する料率も、従来のような分厚い料率表は使わず、端末で閲覧や計算ができる仕組みです。
それらは、端末で仕事が完結するわけですから、自分専用のデスクもなく、大きなテーブルで自由に着席するフリーアドレス制。
紙資料がないことや残業代なども削減できました。
私は当時、そうした企業のシステムを取材する仕事をしていたのですが、資生堂を訪問したとき、「残業代や紙代やオフイススペースなどのコストダウンがはかれますね」などと知ったかぶって質問したところ、担当者は「わかっちゃいないなあ」という顔をして薄笑いを浮かべながら首を振り、「情報についての質が変わることがいちばん大事なこと」だと教えてくれました。
データの一元化資産化共有化ですね。
今までは、社員の個人的な資産にならざるを得なかったものが、会社で一元管理できるようになった。
それによって、社員が異動や退職をしても、次の担当者にすぐに引き継げるわけです。
しかも、営業社員全員で共有化できることで、より効率の良い営業展開が可能になります。
話は戻りますが、こうした個人・家庭レベルのデジタル断捨離にも、そうしたメリットがあるのではないかと思いました。
つまり、家族によるデータの資産家共有化ができますよね。
そして、どこでもアクセスできる。
データはクラウド上に置いておけば、転居なども負担が少なくなります。
デジタル断捨離、いかがでしょうか。
以上、30代、40代から始めるデジタル断捨離のすヽめ(本能寺逢休著、火雄出版)は、書籍書類のデジタル化による断捨離の方法を紹介、でした。
30代、40代から始めるデジタル断捨離のすヽめ: 親の書籍5000冊と夫婦の2200冊を15冊に、有象無象の書類をファイル10冊分に減らした究極の断捨離術 – 本能寺逢休