6日間で楽しく学ぶLinuxコマンドライン入門(大津真著、インプレスR&D)は、Linuxコマンドラインの基本操作や管理の基礎を解説しています。実際の入門講座でも使用できるように、ひとつのセクションが約1時間を目安に完了するように設定されています。
『6日間で楽しく学ぶLinuxコマンドライン入門』は、大津真さんがインプレスR&Dから上梓しました。
LinuxやOS Xなど、UNIX系OSのコマンドラインの基本操作およびシステム管理の基礎を理解できることを目標とします。
コマンドラインというのは、マシンに対して、マウスを動かすような視覚的な操作ではなく、キーボードの入力だけで表現する命令です。
本書は2022年7月18日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
Windowsよりも処理が早く軽快な操作
パソコンやスマートフォンは、アプリケーションソフトウェアがあって初めて動きます。
そのアプリを使うために、土台となるソフトウェアが下支えとして動いています。
それを、オペレーティングシステム(Operating System=OS)といいます。
たとえば、インターネットに使うブラウザ、メーラー、ワードやエクセルなども、すべてOSが下支えして使えるようになっています。
それだけでなく、マウス・キーボードでの入力、印刷など様々なことを可能にしています。
そのOSは、現在ですと、Windows、OS X(MacOS)、Linux、ChromeOS、Android、iOSなどが使われています。
タブレットやスマホ以外のマシン、つまりパソコンは、Microsoft社のWindowsとApple社のMacに搭載されている Mac OSが有名です。
2021年のデスクトップOSシェアは、Windowsが7割以上を占めているといわれています。
2021年デスクトップOSシェア、Windowsが7割以上独占 | TECH+ https://t.co/mvBS9ke5aG
— 赤べコム (@akabecom) July 16, 2022
それに比べると、Linuxのシェアは2~3%といわれています。
ただ、それは、職場や学校、もしくは家庭での利用も含めて、アプリケーションソフトの継続性の事情から使わざるを得ない面もあり、たとえばサブマシンとしてLinuxを動かしているユーザーも少なくないようです。
Linuxは、最近でこそGUIとしての操作もできるようになりましたが、本来はキャラクタユーザインターフェイス(CUI)といって、パソコンに何かをさせる時に、黒い画面に指示を入力します。
それを、コマンドラインといいます、
WindowsやMacは、マウスでクリックしたり、ドラッグアンドドロップを行ったりなどで視覚的に処理するので、そちらの方が簡単に見えるかもしれません。
しかし、コマンドラインの方が便利な場合もありますし、また以前の『はじめてのLinuxパーフェクトガイド』(リンクアップ/河本亮/ラケータ著、standards)をご紹介した時に述べましたが、Linux特有のメリットもあります。
あらためて、Linuxの利点をまとめると、以下のとおりです。
- 基本的に無償で使えます。 Linuxは基本的に無償で使えます。
- 古いPCを再利用出来ます。
- ウィルス、スパイウェアに強いです。
- 自動でPCの構成を認識してくれます。
- 最初から豊富なソフトが使えます。
- HDDへインストールしなくても使えます。
- PCシステムの勉強になります。
- カスタマイズの面白さを堪能出来ます。
「古いPCを再利用出来ます。」というのは、Linuxは比較的軽量でシンプルなOSのため、マシンスペックが現在のWindowsやMacOSを使えなくなってしまった前世代マシンでも、軽快に動く可能性があるのです。
壊れてもいないし、使い慣れているのに、OS側の都合で使えなくなってしまうのはもったいない、と思われることってありませんでしたか。
Linuxは、その問題を解決してくれるわけです。
しかも、オープンソースといって、プログラムのソースコードが全世界のユーザーに無償公開されているので、次々応用版や進化版が開発。それも無償で使えます。
動かす際は、権限が厳格に管理されているパーミッションという概念によって、どこの誰だかわからない者の勝手な書き込みができないため、ウイルスやマルウェアなどに強いとも言われています。
まあ、もともと利用率のシェアが少ないので、わざわざウィルスを作られるリスクも、Windowsなどに比べると少ない、ということもいえるかもしれません。
もっとも、WindowsやMacOSは、パソコン初心者・入門者にとっては比較的使いやすく、Linuxは敷居が高いかもしれません。
その立場から見た「欠点・弱点」は次のとおりです。
- Windowsではありません。
- マイクロソフトのOfficeは使えません。
- サポートされません。
- 操作方法が独特です。
- 使われる用語が独特です。
- ユーザーが少ないです。
- 種類が多すぎです。
- 英語圏文化なので日本語環境が弱いです。
- インストールしなければなりません。(WindowsやMacOSはプリインストールされています)
Linuxは、使いながら勉強、だけど自由度も高い、ということだと思います。
「マイクロソフトのOfficeは使えません。」と枚挙はしましたが、もちろん、オンラインでどこからでも無料で使えるWeb版Officeは使えます。
いうまでもありませんが、ブラウザ版のアプリ、いわゆるWebアプリは使えますから、たとえばEvernoteを介して、WindowsやMacのマシンとデータの共有化一元化は可能です。
コマンドラインがちょっとむずかしいように見えるかもしれませんが、Windowsの前のOSであったMS-DOSは、コマンドラインでした。
ですから、MS-DOS経験者がLinuxユーザーになると、「懐かしい」と感じるかもしれません。
6日間に分けて解説
本書は、どのような内容か。
「はじめに」から引用します。
タイトルに「6日間で楽しく学ぶ」とあるように、本書は1日目~6日目の6つの章から構成されています。
各章は、1時間目~4時間目の4つのセクションからなり、各セクションは約1時間を目安に完了するような内容であるといいます。
無理なく学べます。
1日目は、Linuxの概要や、ファイルシステムの仕組みとコマンドラインの基本操作を解説しています。
2日目は、ワイルドカードといって、条件に一致する複数のファイルをまとめて指定する特殊な指示について。そして標準入出力の操作、コピーや移動などのファイル操作について説明されています。
3日目は、lessやgrepなど、代表的なテキスト処理コマンド、およびviエディタというテキストエディタについて解説されています。
4日目は、多少高度なコマンドとして、検索コマンドやアーカイブの操作、および複数のコマンドを組み合わせて使用 するテクニックについての説明です。
5日目では、システム管理の基礎知識として、スーパーユーザーの権限でコマンドを実行する方法とファイルの安全管理を中心とした解説です。
このへんになると、MS-DOS時代の経験にはないLinux特有の概念となります。
6日目では、シェルスクリプトなどシェルの活用テクニック、およびシェルの環境設定についての解説。
「敷居が高い」と書きましたが、だからこそ、それを覚えることでパソコンをより自由に使いこなせる突破口とできるかもしれません。
思うに、パソコンというのは、多少難しくても自由度が高いから楽しい、という面も私はあると思うんですね。
たとえば、メインマシンはWindowsやMac、学校の生徒ならChromebookでしょうか。
それはそれとして使い、古くなったマシンにはLinuxを入れて、サブマシンとして楽しむ、という使い方もあるのではないかと思います。
以上、6日間で楽しく学ぶLinuxコマンドライン入門(大津真著、インプレスR&D)は、Linuxコマンドラインの基本操作や管理の基礎を解説、でした。
6日間で楽しく学ぶLinuxコマンドライン入門 コマンドの基本操作を身につけよう (ネット時代の、これから始めるプログラミング(NextPublishing)) – 大津 真
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