42歳で産みます~レス11年目の妊娠~(宮島葉子、大洋図書)は、更年期かと思ったらまさかの妊娠に戸惑いながらも出産するストーリーです。LINE漫画が単行本化されました。あなたは42歳になって思いもよらぬ妊娠をしたら生みますか。
『42歳で産みます~レス11年目の妊娠~』は、宮島葉子さんが大洋図書から上梓したLINE漫画のKindle版です。
LINE(連載)漫画とは、LINE Digital Frontier(ライン デジタル フロンティア)という、LINEの子会社が運営する電子コミックサービスです。
2022年7月8日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
4人目「でも」生みたい
『42歳で産みます~レス11年目の妊娠~』は、タイトル通りのストーリーです。
一番上の娘は高校受験を控えている42歳の主婦が、もう妊娠・出産は卒業したと思ったら思わぬ懐妊。
医師から診断されたときこそ戸惑いがありましたが、すぐに心は母親にチェンジしました。
出産を決意し、最初こそ家族にも戸惑いがありましたが、難しい年頃に入りつつあった子どもたちや、子会社に異動となった夫も含めて、生まれてくる子供を中心に一家がまとまった、という話です。
高齢出産とは、医学的にハイリスク妊婦に分類され、女性が35歳以上で初めて子どもを出産すること、又は40歳以上の経産婦による出産です。
本書は、初産ではなく後者、4人目の子供という設定です。
なぜ初産の設定にしなかったのか。
初産ですと、たとえリスクがあっても生みたい、ということになるでしょうから、4人目「でも」生みたい、としたほうが、出産に対するこだわりを表現できるということなんでしょうね。
初産としては、『セブンティウイザン~70才の初産~』(タイム涼介、新潮社)をご紹介したことがあります。
70歳の妻の初産をめぐって、戸惑いながらも夫婦や人間としての輝きを改めて自覚する夫、すくすくと育つ娘・未来の2人3脚の家族を通して、生命や人生の尊厳を考えさせてくれる話です。
セブンティウイザンについては、さすがに現実にはないだろうとしながらも、決して荒唐無稽な話と一蹴されずに、人気漫画になりました。
その理由は、懐妊した妻の台詞にありました。
夫は信じられない思いでしたが、妻は、「いつかできると信じてた」とキッパリ。
読者・視聴者のとくに多くの女性は、ここで感情移入したのではないでしょうか。
表向きは、「70歳で妊娠なんてありえないよ」「ファンタジーだよ」「百歩譲って本当にそうなっても子育ての自信がないよ」なーんていいつつも、心のなかでは「自分のお腹にも子供が宿ったらいいなあ」という思いがまったくないわけではないと思うのです。
だから、自分の思いを疑似体験できる期待が、一挙に高まるのです。
本書が設定する「42歳の出産」というと、ちょうど私の妻と同じです。
私の妻は、42歳11ヶ月25日とギリギリ(笑)、43歳直前で出産したんですけどね。
不妊治療はしませんでしたが、前が帝王切開だったので、その時も帝王切開での出産でした。
子供をほしい人からは、42歳でどうやって自然妊娠したのか、と羨ましがられました。
どうやってって、いわれてもねえ。
やり方はわかるでしょう。
そんな妻ですが、『セブンティウイザン~70才の初産~』の熱心な読者です。
率直に打ち明けますと、50歳過ぎてからも妊娠検査薬を買っていました。
「昔は高かったのに、今は300円ぐらいで買えるから助かるわ」って。
いや、値段じゃなくて、50過ぎても生みたいのかいっ……て突っ込みますか。
妻の場合、45歳で火災による心肺停止を経験し、以来薬を服用したり、CT検査を行ったりするため、妊娠しているかどうかは事前に調べておかなければならない事情があるのです。
とはいえ、調べるということは、「デキてる」可能性はある、と本人は思っているわけですね。
そういうもんですよ。女性の心は。
ただ、先程「羨ましがられた」と書きましたが、この問題はデリケートで、素直に羨ましがる人ばかりではありません。
私の妻が、前置胎盤や高齢出産であったことから、その経験や関連情報を記録したブログを更新していた頃、かなりヒステリックなコメントが続けざまに入りました。
生もうと判断するかどうかは生む人自身の価値観
ネットの掲示板における定番の炎上ネタのひとつが、高齢出産ではないかと思います。
どうして、高齢出産というとネット民は燃えるのか。
まあ、小松みゆきさんの出産の時にも書きましたが、要するに嫉妬なんでしょうね。
記事にも書いたように、ネガティブな発言には、おおむね大きく3つの傾向があります。
- ダウン症や染色体異常のリスクをもっともらしく懸念する
- 高齢出産でない出産経験者が上から目線でコメントする
- 子どもがいない人の嫉妬も含めて「子どもが可愛そう」と説教する
たしかに母体が高齢になるほど、胎児のダウン症や染色体異常、また妊婦としてや生んだ後の子育ても含めての体力など心配がましてくることは確かですが、確率が増えるだけで、25歳の出産も、35歳の出産も、40歳の出産も、障碍のある子を生むかもしれないし、母体が危険にさらされるかもしれない点では実は同じ。
上記のように、胎児のダウン症や染色体異常は心がけや年齢だけの問題ではないし、縁もその人の「実力」だけでは説明がつかない、要するに、若くして出産したからその人が偉いというわけではない。
「授業参観で年をとった保護者が来るのは可愛そう」なんて書き込みも定番ですが、そんなことは当事者の子どもの個々の内心の問題で、あなたが決めつけることではないでしょう。
たとえいくつだろうが、妊娠出産子育てのリスクを踏まえて、それでも生もうと判断するかどうかはその人の価値観であり、第三者がとやかく意見するものではありません。
誰が高齢出産しようが、あんたの生活に何の関係があるのか、ということです。
でも「3」は多いですね。
「年をとってからの子育ては大変だ」etc……
島国根性丸出しの陰険なわが日本人は、いつからそんなに、見たこともない他人の生活や人生まで心配するほど、心が深い人になったのでしょう(笑)
何より私が腹が立つのは、障碍児のことを知りもしないくせに、さかしらに「かわいそうだ」などと説教をしていい気になっていることです。
そのような説教をするアンタは、障碍児とその子育てをどんだけ知ってるんだ?
もし私がリアルにその人と対面していたら、とことん詰問したいものです。
人間の選別の根本的矛盾
#一律給付金が出ますように#参議院議員選挙2022#投票しよう
魚拓②
これまた…皆さん先祖返り、というか進化してないんですね。これがNHK党クオリティ。 pic.twitter.com/PHJUJDlzAW— 伊藤 (@LnnSo5) July 7, 2022
先日も、NHK党の党首が、「質の悪い子供を増やしては駄目だ」などと発言して話題になりました。
障碍児を生むこと⇒失敗作、といわんばかりの考え方は、ひっきょう、優秀な遺伝子の血統こそ価値がある、という考え方に行き着かざるを得ません。
しかし、その価値観には大きな矛盾があります。
まず、質が良い・悪いは、誰がどんな権限と基準で決めるのでしょうか。
人が人の選別なんてできるものではないのです。
そこに、道理や合理性ある回答はうまれないと思います。
特定の価値観に基づく「優秀」な人だけ残して、それが未来の不測の事態に生き残れる強さがあるかどうかなんて、わからないでしょう。
人類を次世代につなぐには、多様であることが求められるのです。
何より、「質の良い」だの「優秀」だのという命題による順位付けを行ったら、かりに何らかの基準による線引きで順位が「下」の「質が悪い」「優秀でない」人を排除しても、残った人にはさらに順位があります。
結局、1位でなければ誰もが「質が悪い」方に入ってしまうロジックなのです。
選別というのはそういうことです、
そもそも、我が国は現在絶望的な出生率にあり、人口が減れば経済もさらに縮小します。
そこんとこ、どう考えてるんだろうね。
でも今の日本は、民度がかなり低下しているから、そんな党でも当選者が出てしまうんでしょうね。
いったい日本はどうなっていくのでしょう。
以上、42歳で産みます~レス11年目の妊娠~(宮島葉子、大洋図書)は、更年期かと思ったらまさかの妊娠に戸惑いながらも出産する、でした。
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