ドクター・キリコ事件(平成10年)の真相など重大事件の謎を論考するのは、『平成日本を震撼させた重大事件未解決ミステリー』(PHP研究所)Kindle版です。過去の事件の問題点に学び、令和という時代を安全に生きぬくための一冊です。
『平成日本を震撼させた重大事件未解決ミステリー』は、グループSKITがPHP研究所から上梓しました。
この記事は、Kindle版をもとにご紹介しています。
近年、凶悪犯罪の「数」は減っているといわれていますが、一方で「質」が変わってきているともいわれています。
以下に、その特徴を解説します。
より計画的かつ複雑な犯罪
近年の犯罪は、より計画的かつ複雑になっています。これは、犯罪者がより高度な技術や情報を利用することができるようになったためです。たとえば、インターネットを利用した詐欺や、暗号化通信を利用した犯罪などが挙げられます。
犯罪者の年齢が低年齢化
近年の犯罪の特徴の一つに、犯罪者の年齢が低年齢化していることが挙げられます。若い犯罪者は、より軽い刑罰を受ける可能性が高く、また、更生の機会も多いため、法執行機関にとっても課題となっています。
暴力的な犯罪の増加
近年では、暴力的な犯罪が増加しています。特に、銃を使用した犯罪や、テロ行為が顕著です。これにより、社会に対する脅威となっているため、法執行機関がより厳格な対策を取る必要があります。
犯罪のグローバル化
近年では、犯罪がグローバル化しています。これは、国際社会の結びつきが強くなったことや、グローバルな情報ネットワークが発展したことなどが原因となっています。例えば、国境を越えたマネーロンダリングや、人身売買などが挙げられます。
犯罪の隠蔽化
犯罪者たちは、犯罪を隠蔽するために、より巧妙な手口を使うようになっています。例えば、不正アクセスによる詐欺の場合、被害者に察知されないように、銀行口座から少額のお金を引き出すだけでなく、長期間にわたって、被害者のクレジットカード情報を盗み続けることもあります。
犯罪の無差別化・愉快犯化
お金がないから経済的な目的(金・物取り)を達成する。相手がにくいから殺傷するという怨恨などは、犯罪の動機としてわかりますが、最近では「誰でも良かった」「殺してみたかった」といった、動機が不明な事件も目立つようになってきました。
これらの特徴からわかるように、近年の犯罪は、より高度化・複雑化しており、法執行機関がより厳格な対策を取る必要があると言えます。
本書は、そうした難事件から、犯人自体が見つかっていない事件に加え、逮捕されても、「なぜ被害者家族の訴えは警察に届かなかったのか」「犯人の本当の動機は何だったのか」など、重大事件に隠された未解決の謎に焦点を当て、考察しています。
今回ご紹介するドクター・キリコ事件は、その中のどれに入るでしょうか。
「より計画的かつ複雑な犯罪」かもしれませんが、本人に殺す意図がなかったことで、これらともまた違うタイプの事件と言えるのかも知れません。
本書は2023年4月12日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
青酸カリがあれば逆に安心できた!?
事件が起こったのは、1998年12月12日午後1時ごろ。
東京都杉並区に住む当時24歳の女性(24)宅に「草壁竜次」から送られた、10人以上の致死量に相当する23グラムの青酸カリ入りカプセルが全部で6個詰めを口にし、女性はそのすべてを飲んで死んでいました。
送り主の住所は架空のものでした。
ただし、電話はつながり、「本当に飲んだんですか。彼女が死んだら自分も死にます」と言って、本当に服毒自殺をしました。
送り主は、私立大学の理工学部工業化学科を出た薬物知識のある27歳の男性。
卒業後は、北海道の医薬品開発会社で働いていましたが、すぐに退社。
単身でインドやタイなど海外旅行をしていましたが、そのときに「お守り」としてもっていたのは青酸カリ。
いつでも死ねるという選択肢を持つことで、開き直って生きる術を見つけたといいます。
男性は、東京都に住む「美智子交合」なるハンドルネームの主婦(当時29歳)が運営していた、「安楽死狂会」なる文字通り安楽死を取り扱ったウェブサイトに設置された掲示板に「専属医」として招かれ、「ドクター・キリコの診察室」という掲示板で、安楽死したい人の相談に乗っいました。
そして、「青酸カリの保管委託」という名目で、被害者の女性を含む数人に青酸カリを送付していました。
その名目通り、キリコ自身は、自殺幇助の目的ではなく、自分のようにいつでも自殺できる青酸カリが手元にあることで、逆に安心して自殺に踏み切らないことを狙っていたといいます。
キリコが自殺したのは、まさにその引責であったと見られています。
後先になりましたが、なぜこれをドクター・キリコ事件と呼ぶかというと、『ブラック・ジャック』に登場した、主人公の敵役として、死にたい人を死なせる仕事をしている「医師」から命名したものでした。
しかし、本人に自殺幇助の意図がなかったのなら、ドクター・キリコと呼ぶのは違うように思います。
さて、みなさんは、この事件をどう考えられましたか。
仏教の「四法印」という教えの一つに、一切皆苦というものがあります。
世の中や人生は、自分の思い通りにならない苦しみの連続なのだ。思い通りにコントロールできることは決して多くはないという真理を教えているのです。
だから、苦しい、生きづらいから死ぬ、というのは、そもそも人生として当たり前のことであり、そんなことで死ぬのはおかしいだろう、ということになります。
え、別に仏教なんか信仰していないって?
宗派にもよりますが、仏教というのは本来、信仰するものではなく、個人がありのままに事象現象を悟る世界です。
外界の現象を合理的に解明するのが科学であり、人間の内心を合理的に探るのが本来のお釈迦様の仏教です。
つまり、人間は金持ちだろうが貧乏だろうが、大学出だろうが中卒だろうが、男前だろうがそうでなかろうが、仏教を信じようが信じまいが、どんな立場や価値観であっても、一切皆苦の人生だと言っているのです。
どうですか。これを読まれているあなただって、悩みも苦しみもあるでしょ。
そういうもんなんですよ。
そんなことで死んで、家族を悲しませたり迷惑をかけたりしたらどうするんですか。
だれだって一切皆苦で生きているのに、あなただけ生きづらいから一抜けたとやられたら、残った人はどうするんですか。
いずれにしても、人間というのは、死にたい死にたいと思っても、人のちょっとしたアドバイスで、気を取り直すこともあります。
どっちみち、未来永劫不老不死というわけではないのですから、いずれは死にます。
何もわざわざ、面識もないネットの付き合いだけの人に介錯してもらうことはないだろうと思うのですが、どうなのでしょうか。
「謎」をともなう事件を51事件リストアップ
『平成日本を震撼させた 重大事件 未解決ミステリー』は、未解決事件、起訴されてはいるものの、再審請求などが行われ謎が残るもの、動機に疑問が残るものなど、核心部分で「謎」をともなう事件を51事件リストアップしています。
その目次からご紹介します。
第1章 平成24~21年 再生の時代
01 尼崎連続変死事件(平成24年)
02 PC遠隔操作事件(平成24年)
03 慶應義塾大学学生投資詐欺 (平成24年)
04 大分県日出町連続事件(平成23年)
05 大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件(平成22年)
06 尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件(平成22年)
07 大阪西成女医不審死事件(平成24年)
第2章 平成20~16年 転落の時代
08 秋葉原無差別殺傷事件(平成20年)
09 岡山鍾乳洞地底湖行方不明事件(平成20年)
10 舞鶴女子高生殺害事件(平成20年)
11 琵琶湖バラバラ殺人事件(平成20年)
12 首都圏連続不審死事件(平成19年)
13 英国人女性講師殺害事件(平成19年)
14 京都精華大学生通り魔殺人事件(平成19年)
15 加古川小2女児殺害事件(平成19年)
16 構造計算書偽造事件(平成17年)
17 ジェイコム株大量誤発注事件(平成17年)
18 栃木小1女児殺害事件(平成17年)
19 四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件(平成16年)
20 上海総領事館員自殺事件(平成16年)
第3章 平成15~11年 停滞の時代
21 泉南郡熊取町小4女児誘拐事件(平成15年)
22 北九州監禁殺人事件(平成14年)
23 附属池田小事件(平成13年)
24 室蘭女子高生失踪事件 (平成13年)
25 世田谷一家殺害事件(平成12年)
26 西鉄バスジャック事件(平成12年)
27 新潟少女監禁事件(平成12年)
28 京都小学生殺人事件(平成11年)
29 桶川女子大生ストーカー事件(平成11年)
30 光市母子殺害事件(平成11年)
31 栃木リンチ殺人事件(平成11年)
第4章 平成10~6年 不安の時代
32 和歌山毒物カレー事件(平成10年)
33 ドクター・キリコ事件(平成10年)
34 群馬一家3人殺人事件(平成10年)
35 神戸連続児童殺傷事件(平成9年)
36 東電OL殺人事件(平成9年)
37 太田市女児行方不明事件(平成8年)
38 柴又女子大生放火殺人事件(平成8年)
39 薬害エイズ問題(平成8年)
40 地下鉄サリン事件(平成7年)
41 八王子スーパー強盗殺人事件(平成7年)
42 井の頭公園バラバラ殺人事件(平成6年)
43 福徳銀行5億円強奪事件(平成6年)
第5章 平成5~元年 転換の時代
44 八戸市女子中学生刺殺事件(平成5年)
45 埼玉愛犬家連続殺人事件(平成5年)
46 三重小2女児失踪事件(平成3年)
47『悪魔の詩』訳者殺人事件(平成3年)
48 イトマン事件(平成3年)
49 女子高生コンクリート詰め殺人事件(平成元年)
50 リクルート事件(平成元年)
51 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(平成元年)
どれも、メディアを賑わせた事件ばかりですね。
他の事件についても、また折を見てご紹介しましょう。
以上、ドクター・キリコ事件(平成10年)の真相など重大事件の謎を論考するのは、『平成日本を震撼させた重大事件未解決ミステリー』、でした。
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