男 花田秀治郎(どおくまん著、Jコミックテラス)は、高等学校を舞台としたどおくまんさんのデビュー作である青春学園漫画

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男 花田秀治郎(どおくまん著、Jコミックテラス)は、高等学校を舞台としたどおくまんさんのデビュー作である青春学園漫画

男 花田秀治郎(どおくまん著、Jコミックテラス)は、高等学校を舞台としたどおくまんさんのデビュー作である青春学園漫画です。といっても、主人公は熱血教師ではなく、柔道部で成績は芳しくない八百屋の一人息子の挫折や頑張りなどを描きます。

『男 花田秀治郎』は、どおくまんさんが、Jコミックテラスから上梓しました。

全2巻で完結です。

どおくまんさんといえば、大阪ならではのナンセンスギャグ漫画でお馴染みです。

これまでに、どおくまんプロとしての作品は、嗚呼!!花の応援団なにわ遊侠伝関西無敵会などをご紹介してきました。

が、それらはどおくまんプロの別の人が原案を担当しています。

「どおくまん」というのは、漫画制作会社の商号ではなく、漫画家個人の名前です。

赤塚不二夫さんの「フジオプロ」とか、そんな感じですね。

それで、本作は、どおくまんプロになる前の、どおくまんさん個人の作品になります。

学生時代に描いたようですね。

この秀治郎シリーズは大学生の時に描いた私のデビュー作です。秀治郎や健太郎を通し青春というものを何とか絵にしようと全力投球で描いた作品です。 多少どはずれていますが。しかし私にはこれこそ若さだと思うのですが。

主人公は花田秀治郎。柔道部で、成績は悪く異性の人気はありませんが、一応特定の相手はいます。

友人が剣健太郎。

剣道部で成績もよく、女性の人気もありますが、硬派です。

2人の友情やそれぞれの葛藤や挫折などでストーリーが進みます。

画風は、最初は丸ペンを使っているのか、線が太く、中崎タツヤさんの漫画かと思ってしまいました。

ああ、デビュー当時は、どおくまんさんもこういう作品を描いていたんだなあと思いました。

本書は2023年4月27日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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本当に美しい女性は心が美しい

第1話を簡単にご紹介します。

『花田秀治郎くん恋愛す』です。

本作はすべて、花田秀治郎くん〇〇す、というタイトルです。

花田秀治郎が、隣の席の天知という女性に夢中になっています。

その女性は髪が長い美女タイプですが、彼にとって敵役となる女性です。

その一方で、教室のスミから心配そうに、じっと彼を見つめる女性・明戸の目もありました。

こちらは、ザンバラ髪でソバカスをつけていて、まあ十人並の器量でとくに華もなし、という感じです。

花田秀治郎の親友は、剣健太郎です。

いつも、帽子を目深に被り、楊枝をくわえています。

シャイで硬派ですが、剣道は主将で、成績も天知とトップを争い、その天知に想われています。

剣は、人や物事を見通す力が花田よりもあるので、天知の本性を見抜いて、花田にアドバイスします。

「とにかく天知はやめた方がいい!!あいつの根性はくさっているぜ!!」

しかし、花田は頭が悪いので、なかなか自分の気持ちを切り替えられません。

「天知の悪口は許さん!!」

「まあ、そこまで言うなら仕方あるまい」

明くる日、花田が登校すると、教室では花田が天知に出したラブレターのことでもちきり。

なんで私信がクラス中に広まっているのか。

天知がわざわざクラス中に見せて、花田をばかにしたのです。

剣の言う通り、天知は「根性はくさっている」女だったのです。

それでも、花田は目が覚めません。

クラスの男子が、「あれは天知が、わざと教室に落としているのを目撃したんだ」と話していると、「だまれ!!うそをつくな!!天知がそんなことするはずないわい」とくってかかるほどです。

花田は、思い切って天知の家を訪ねることにしました。

「今日こそは、自分の気持ちをはっきりと伝えるんだ」

ベルをおそうとしたところ、飼い犬に吠えられて裏まで逃げたところ、彼女の部屋が見えました。

そして、ちょうど寝起きの彼女が出てきました。

デベソで、大口を開けたあくびをして、鼻くそをほじくりなめると、たんを出して放屁をして部屋に戻っていきました。

アイドルは糞をしない、と信じていた花田は大変ショックでした。

ショックで、どこをどう歩いたかわからないうちに、明戸の家の前に来ます。

すると、明戸は家の掃除をしていて、その表情や仕草が花田にはかわいく見えました。

その夜、花田は剣健太郎に話します。

「人間、なにかに打ち込んでいる時の姿がいちばん美しいというが、今日は明戸を見直したよ。とてもきれいだったものな。しかし、だからといって、おれ天知を好きなことに変わりはないんだ」

まだ、完全にふっきれないんですね。

「お前は天知に惚れているのさ」

そう剣に言われて、また天知に気持ちが戻ってしまった花田は、告白するために天知の待ち伏せを決行しました。

すると、天知の少し後ろを、明戸が歩いていました。

そこに、反対側から、目の不自由と思しき老婆が歩いてきます。

天知とすれ違うときに、びちゃびちゃと水たまりを杖でかき回して天知にひっかけます。

天知は、烈火の如く怒り、老婆を罵倒して張り倒します。

水たまりに転倒する老婆。

すると、明戸が急いでかけより、老婆をおこします。

「むむむ、そうだったのか」

義理と人情に生きる花田秀治郎には、天知のこの行為は許せませんでした。

「どあほう」

と、天知を水たまりに張り倒します。

そして、「オレが、(老婆を)病院までおぶっていこう」と、明戸に言います。

ここで、やっと花田秀治郎は吹っ切れたのです。

で、この漫画のオチは、実はその老婆が、剣健太郎の変装だったことでした。

異性に不人気で決して格好良くない花田秀治郎

冒頭に描いたように、『男 花田秀治郎』はどおくまんさんのデビュー作で、1973年~1975年に『別冊少年ジャンプ』で連載されました。

現在はKindle Unlimitedのほか、マンガ図書館Zにて広告付きながら無料で閲覧可能です。


私の世代ですと、青春学園ドラマが人気でしたが、森田健作さんの『おれは男だ!』をのぞくと、あとは熱血先生が主人公なんですね。

森田健作さんにしても、元女子校のウーマンパワーに負けないように剣道部を立ち上げるというヒーローであり、異性に不人気で、決して格好良くない花田秀治郎のような生徒が主人公というのは、なかなか新鮮な物語でした。

この後、ニヒルな剣健太郎も好きな女性ができて悩むなど、昭和の青春学園のドラマツルギーは、令和の現在読んでも楽しいですね。

みなさんも、いかがですか。

以上、男 花田秀治郎(どおくまん著、Jコミックテラス)は、高等学校を舞台としたどおくまんさんのデビュー作である青春学園漫画、でした。

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