グリム兄弟などを漫画化した『まんがでわかる世界の偉人伝総集編』は、古今東西を超えて著名な人々の物語を描いています。漫画で35名、文章で24名を収録した読み応え十分のヴォリュームで、老若男女を問わず楽しめ感動できる一冊です。
本書も、最近ご紹介しているよだひできさんのまんが偉人伝シリーズです。
ただし、今回は国外の人々(59名)になります。
その中でご紹介したいのは、ヤーコプ・グリム(1785年生まれ)とヴィルヘルム・グリム(1786年生まれ)のグリム兄弟です。
19世紀ドイツで活躍した言語学者、文献学者、民話収集家として知られています。
特に、『グリム童話集』の編纂で有名です。
グリム兄弟は、ドイツ各地の民話や昔話を収集し、『子どもと家庭のメルヒェン集(Kinder- und Hausmarchen)』として、1812年~1815年にかけて出版しました。
この童話集は、後に『グリム童話集』として広く知られるようになりました。
グリム兄弟の童話集『子どもと家庭のメルヒェン集』には、多くの有名な物語が収録されています。
Copilotに、その一部を選んでもらいました。
1. 白雪姫 – 邪悪な継母から逃れた白雪姫が、七人の小人たちと出会う物語。
2. 赤ずきん – おばあさんの家に向かう途中で狼に出会う少女の話。
3. ヘンゼルとグレーテル – 森の中で迷子になり、魔女の家にたどり着く兄妹の冒険。
4. シンデレラ – 継母と義姉たちに虐げられながらも、王子と結ばれる少女の物語。
5. ラプンツェル – 高い塔に閉じ込められた長い髪の少女の話。
6. ブレーメンの音楽隊 – 音楽隊を結成しようとする動物たちの物語。
7. カエルの王さま – カエルが王子に変わる魔法の物語。
8. 狼と七匹の子ヤギ – 狼から逃れようとする子ヤギたちの話。
これらの物語は、グリム兄弟がドイツ各地から収集した民話や昔話を基にしています。
本作に沿って、その人生と功績をかいつまんで見ていきます。
童話編纂と言語学で活躍
ヤーコプ・グリムと、ヴィルヘルム・グリムの、グリム兄弟はドイツのハーナウで、1歳違いの兄弟として生まれました。
父親は法律家で、幼年期は裕福な家庭に育ちましたが、父親が早くに亡くなり、思春期は経済的に困窮しました。
それでも、母方の伯母の支援を受けて、兄弟はマールブルク大学の法学部に進学しました。
ヤーコプ・グリムは学者志望、ヴィルヘルム・グリムは作家志望でした。
大学では、古代ゲルマン文学や民間伝承に興味を持ち始めました。
ヤーコプは特に言語学において重要な功績を残し、「グリムの法則」として知られるドイツ語の音変化の法則を発見しました。
ヤーコプは政治的にも活躍し、ウィーン会議に出席するなど外交官としても活動しました。1837年には「ゲッティンゲン七教授事件」で国王に抗議し、大学を追放されるという事件もありました。
ヴィルヘルムは体が弱かったため、兄ほど目立った政治活動はしませんでしたが、地道な研究で多くの成果を上げました。
そして、兄弟は各地のおとぎ話収集の活動も行いました。
おとぎ話には、子供の心を育てる大切なものが詰まっている。忘れ去られてしまう前に、話を聞いて記録しておこうと考えた兄弟は、兄のヤーコプが主に高齢の人たちからヒアリングし、弟のヴィルヘルムがそれを編集しました。
その二人三脚の仕事『こどもと家庭のための童話(グリム童話集)』ですが、当初学者たちは、「ひとさまから聞いた話をまとめただけで価値はない」と酷評し、本も売れませんでした。
しかし、それは時間をかけて覆され、次第に子どもの心をつかみ、いまでは世界的に有名な童話となりました。
一方、言語学の方ですが、兄弟はベルリン大学で教鞭をとりながら、『ドイツ語辞典』の編纂に尽力しました。
この辞典は、彼らの生涯では完成しませんでした。
しかし、これも意義を理解した学者たちがあとを継ぎ、1961年にようやく完結しました。
グリム兄弟の情熱と献身がなければ、『グリム童話集』は人類から失われていたかもしれません。
言語学の仕事についても、ドイツの文化や伝統を保存し、次世代に伝えることに大きく貢献しました。これは、文化遺産の重要性を再認識させてくれます。
現代で評価されなくても後世が評価することもある
マンホールカード 233枚目
栃木県 下野市グリム童話、赤ずきん?
このオオカミをどうやったらお婆さんと間違えるのだろう(笑)
下野市はグリム兄弟にゆかりのある????の都市と姉妹都市で、グリム推し
写真はグリムの館?
前回訪問時、カードが在庫切れだったので、今回念願の入手です?? pic.twitter.com/BBpYc2aM51— マンホール296号 (@mrirube2) February 17, 2024
ということで、グリム兄弟は、民話収集家としてだけでなく、言語学者としても大きな功績を残しました。
兄弟の存命中には結実せず、しかし、それが後世に評価され仕事が引き継がれたことで、研究と収集活動がドイツ文化の保存と発展に大きく貢献しました。
私はこのブログでしばしば、晩生の偉人をご紹介していますが、年を取って始めたことが、長生きして自分で完結できる場合もあれば、グリム兄弟のように、中には志半ばで人生が終わってしまう場合もあります。
それでも、その残した仕事に意義があれば、後の人々によってそれは開花するわけです。
いまは評価されていなくても、後世に評価されることもあるかもしれないというのは、現代でもあり得るので、現在の価値観だけですべてを決めつけずに、言論の自由や人権などを守って、冷静に見守ることも必要ですね。批判はいいんですけどね。
グリム兄弟の作品で、印象に残るものはありますか。
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