『片づけられない私を見つめて』(しみず字海/KCデザート)は、ADD(不注意優勢型ADHD)という発達障害の女性を描いた漫画です。注意欠陥障害(Attentin Deficit Disorder with and without Hyperactivity)はどんな障害であるかが明らかにされています。
『片づけられない私を見つめて』は、しみず字海さんがKCデザートから上梓した漫画です。
ADD(不注意優勢型ADHD)という発達障害の女性を主人公に、その学校時代、そして就職してからの生活が描かれています。
「注意が持続できない」「衝動性が強い」とはどういうことかがわかります。
ADHD(注意欠陥多動性障害)とはなんだ
近年、マスコミでも取り上げられるようになったADHD(注意欠陥多動性障害)。
発達障害の一つです。
発達障害は、大きく3つの障害の総称とされています。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
アスペルガー/高機能自閉症/広汎性発達障害などということもあります - 学習障害(LD)
読字障害/書字表出障害/算数障害 - ADHD(注意欠如・多動性障害)
不注意優勢に存在/多動・衝動優勢に存在/混合して存在 など
※りたりこジュニア(https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/)より
さらに、自閉症スペクトラム障害(ASD)とADHD(注意欠如・多動性障害)には、知的障害や高次脳機能障害を伴う場合があります。
アスペルガー症候群の記事でも触れましたが、発達障害のある人は、他人との関係づくりやコミュニケーションなどが得意ではありません。
ADHDも周りに理解されづらく、仕事や学業、日常のコミュニケーションに支障をきたすことがあります。
ただし、その特性から優れた能力が発揮されている場合もあります。
ADHDは、次の3つの症状がみられる発達障害のひとつです。
- 不注意
- 多動性
- 衝動性
子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じるといわれています。
以前は、親のしつけが悪い、もしくは愛情の注ぎ方や育て方が間違っている、子供自身の性格が悪いと見られていたものが、実は先天的な発達障害だったことが最近になってわかってきました。
ということで、本書『片づけられない私を見つめて』は、不注意優勢型ADHDののどかを主人公にした漫画です。
本書では、主人公がADD(注意欠陥障害)と診断されていますが、現在はADHD(注意欠陥・多動性障害)の中の、「不注意優勢型」と診断される障害です。
注意欠陥障害とは、前頭葉など脳の一部に、機能不全があることで起こると考えられています
集中力を維持することが難しく、刺激の少ない単調な仕事は苦手とされています。
横からの割り込みや一番にこだわるなど「順番」という概念が苦手だったり、他の人の話をさえぎったり話に水をさしたりすることもあるといわれます。
ADHDというのは、それに「多動」が加わった診断名です。
学校でも職場でも理解されにくい障害
ということで、本書『片づけられない私を見つめて』は、不注意優勢型ADHDののどかを主人公にした漫画です。
新宿成人ADDセンター・さくらいクリニック院長・櫻井公子さんが監修者をつとめました。
ストーリーは、のどかの小学生生活から始まります。
給食を食べていると、突然「数学の宿題」のことが気になって、まだみんなが食べているのに机の引き出しからバサバサと教科書を取り出します。(一つのことに集中できない)
しかも、その引き出しは古くなったコッペパンの欠片など、何でも押し込まれていて片づけられていません。(整理整頓が苦手)
テスト中に、また思い出したことがあって本を広げてしまい、カンニングを疑われます。(気になることがあるとそこに神経がいき、それまで何をしていたかを忘れる)
テストの点数は、100点をとったかと思えば10点のときもあります。
先生と話をしていても、ふと時計が目に入って、「あ、もう5時だ。テレビのアニメが見たいのに」などと考えてしまいます。
人から呼ばれるとびっくりします。(音や声に敏感に反応)
絵に描いたようなADD(不注意優勢型ADHD)です。
そんな主人公は、学校時代の担任からも、就職してからも理解されません。
その中で、部長の女性もADDだったために、のどかの障碍は理解され、最終的的には、のどかの「一所懸命さ」という取り柄が開花してハッピーエンドになるのですが、全体を通してADHDの特徴がよく描かれたキャラクターでストーリーが展開されています。
ADHDとアスペルガー症候群の違い
では、同じ発達障害ではありますが、異なる障害とされるADHDとアスペルガー症候群はどう違うのでしょうか。
ADHDの特徴として、一つの物事に集中することができなかったり、じっと椅子に座っていることさえも困難なほど落ち着きがなかったり、急に行動を起こしたりするので、みんなが並んでいるのに順番を待てずに割り込んだりすることがあります。
一方、アスペルガー症候群は、思い込みやこだわりが強いことから、何か一つ特定の物に対して好奇心や興味を見せ、集中して繰り返し行うような動作や作業を得意とします。
その意味では、ADHDとアスペルガー症候群は対照的といえます。
いずれにしても、病院へ行って治療を行うだけでなく周囲の理解が必要です。
周囲が、障害を理解せずに、「空気が読めない人」「落ち着きがなく失敗ばかりしている人」として見ても相互理解ができません。
ADHDとLD(学習障害)の違い
では、ADHDとLD(学習障害)はどう違うのでしょうか。
学習障害は、文字通り学習上の問題を抱えている障害です。
具体的には、このようなことがあります。
-
・読む事や書く事が苦手であったり、遅かったりする。
・集中して授業を受ける事が出来ない。
・スペルミスや計算ミスなど、不注意なミスが多い。
とりわけ、言語や計算の分野に目立って不具合が見られるようであれば、「ディスレクシア」に分類される場合もあります。
ただし、必ずしも「低学力」というわけでもないところが、ちょっとわかりにくいところです。
かつて、ミッツ・マングローブさんが、公演中のミュージカルのセリフが入らないことで、「量は全然多くないけど、セリフが覚えられないんです。ちょっと記憶の回路がおかしくて。実は私、学習障害なの」
と、カミングアウトしたことが話題になりました。
果たして、医学的な根拠のあることなのか、自分がそう思っただけでそう言っているのかはわかりませんが、基本的な学力があることと学習障害は両立するので、「限局性学習症」ともいわれています。
一方、ADHDは、学習という限られた行動ではなく、行動全般での問題を抱えている障害です。
たとえば。学習に集中することが出来ないとか、落ち着きが無く授業中に歩き回るとか、突発的な行動や乱暴な態度を取る、といったことです。
ですから、学習障害は認知や学習面で、ADHDは行動面の問題になります。
もっとも、発達障害は単独ではなく、併発の所見は少なくありません。
ADHDとLDの併発の確率は30%~50%以上とも言われています。
みなさんは、ADHDの特徴で思い当たるフシはありますか。
『片づけられない私を見つめて』は、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
以上。『片づけられない私を見つめて』(しみず字海/KCデザート)は、ADD(不注意優勢型ADHD)という発達障害の女性を描いた漫画、でした。
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