『Amazon Kindleダイレクト出版完全ガイド』(いしたにまさき、境祐司、宮崎綾子著、インプレスジャパン)は電子書籍作成解説の書籍です。無料ではじめる電子書籍セルフパブリッシングAmazon Kindleについて出版のノウハウを説明しています。
ネットユーザーで、Amazonで書籍を買われた経験のない方は、探すのが珍しいぐらい少数でしょう。
そのAmazonで販売される書籍には、紙で製本化されているものだけでなく、パソコンや専用リーダーなどで読むデジタル版の書籍(電子書籍)も販売されているのはご存知でしょうか。
それが、Amazon Kindleといいます。
Amazon Kindleには、既存の紙の書籍をデジタル化したもの、Amazon Kindle用に書き下ろしたものなどありますが、後者の場合、所定の手続きをすませ、Kindle形式にデータを完成すれば、書籍を上梓した経験のない人でも、Amazonで自分の「書籍」を売ることができます。
その出版には手数料もかかりません。
つまり、AmazonKindleは、誰にでも開かれた無料の出版窓口になっているのです。
出版社や取次店を通さなくてもAmazonから本を販売できる
『Amazon Kindleダイレクト出版 完全ガイド 無料ではじめる電子書籍セルフパブリッシング』(いしたにまさき、境祐司、宮崎綾子著、インプレスジャパン)を読みました。
電子書籍をAmazonで売るためのノウハウをまとめた書籍です。
新刊ではありませんが、自費出版やブログの書籍化を考えている人なら、ぜひ目を通しておきたい電子書籍自費出版のマニュアル。
今更ですが、今後ますますニーズはあると思いますのでご紹介したいと思います。
アマゾンで、自分が作った本(電子書籍)を売ることができる、という話は以前から聞いたことがありましたが、具体的な仕組みやノウハウについて知ることができたのは、私の場合、この『Amazon Kindleダイレクト出版 完全ガイド 無料ではじめる電子書籍セルフパブリッシング』でした。
簡単に述べると、電子書籍(Kindle=キンドル)の形で、出版社や取次店を通さなくてもAmazonから直接自分の本を上梓できるということです。
これを、KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)といいます。
電子書籍というのは、文字通り紙に印刷せず、デジタルデータの形式で読み物の体裁をまとめたものです。
Kindle=キンドルは、アマゾンが開発・販売している電子書籍の読み込み端末と、対応のデータ形式を指しています。
Amazonが取次店も兼ねた仕組み
自分の文章を本にできたらいいなあ、と考えている人は少なくないようです。
以前は、定年になってから、売るためというより、自分の記録を残すために、自費出版で自伝を書く人がいました(今もいるでしょう)。
それには、自費出版を受け付けてくれる出版社が必要です。
紙媒体の書籍を作って刊行してくれるのは出版社だからです。
自分の本を出すというと、出版社が費用をもって印税も払って本を出してくれる企画出版と、出版費用と出版社の利益を支払って本を作ってもらう自費出版とがあります。
実際には企画出版でも、できた本の何割かを著者に買い取らせるような場合もあるのですが、大きく分けるとその2つです。
もちろん、一般の人が何か書いたからといって、簡単に出版社は企画出版では本にしてくれません。
なぜなら、編集、装丁デザイン、印刷、製本など書籍は作るだけでも相当の費用がかかるからです。
かといって、自費出版で出しても、その「相当の費用」が自分持ちになるだけでなく、書籍コード(ISBN)を割り振って取次店(書籍の問屋)に流してくれるとは限りません。
出版業界というのは、取次店が力を持っており、書店は委託で取次店が卸す書籍を置いているだけなのです。
したがって、取次店が動いてくれなかったら、全国の書店に書籍は並びません。
たとえ取次店から各書店に置かれても、無名の人の書籍では売りようがないでしょう。
つまり、一般の人が書籍を書店化に並べるためには、出版社と取次という、2つの関門を突破しなければなりません。
かくして、(流通する)書籍を上梓するのは、一般人にはできない文化人的ステータスのように見られているわけです。
その点、AmazonKindleによる出版、KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)は、
- 個人が出版費用をかけずに
- 取次店や出版社との付き合いがなくても
- Amazonで全ネットユーザーに向けて販売することができる
という電子書籍自費出版のシステムです。
Amazonといえば、書籍のネット販売事業で世界的にシェアを広げ、今や中古書籍(マーケットプレイス)や書籍以外の商品についても扱うようになりました。
今度はKDPによって、Amazonは自らが「Amazon専属取次店」の役割も兼ねているわけです。
まだハードルは高いかもしれないがチャンスでもある
本書は、KDPについて、AmazonにおけるKDPの手続き、原稿の書き方、Amazonで発売した後の売り方などについて解説されています。
ただ、「書き方」「売り方」といっても、この本を読んだらただちに原稿が書ける、本が売れるといったことではありません。
原稿を書くときのソフト(LibreOffice)の使い方や、「総字数は8~10万字」「かける時間は3ヵ月」「原稿がすでにあるなら1ヵ月」といった書き進め方、それと「売り方」についてはブログで宣伝するなどの方法をアドバイスしているだけで、どんな原稿を書くか、どんな宣伝ブログを作るか、というのはあくまでも著者が考えなければなりません。
KDPの気になる印税は、35%、もしくは70%です。
通常の企画出版は10%以下です。この違いは大きいかもしれません。
たとえば初版3000部刷るとして、1500円の書籍を出すと、初版分保証として著者には45万円の印税が、おそらく今のご時世ならマックスだと思います。
一方、Kindleで1000円で販売すると、印税は1部売れて350円。
時々売れない日があるとしても、2日に1部のペースで売れると1年あれば企画出版の印税を超えられる計算です。
売れる書籍なら、Kindleの方がオイシイでしょう。
もとより、採算抜きで、Amazonという巨大出版サイトで自分の書籍を販売したい、本を出してみたい、ということならこういう試算に関係なくいい機会だとは思います。
ただ、一般の書籍は、編集者がついて、推敲、校正、名誉毀損や著作権、肖像権に抵触しないかどうかのチェックなどをしてくれますが、KDPはそうしたチェックが一切ないので、出版後のリスクはあるし、当然何かあればその責任は自分がとらなければいけません。
同書では、第三者に見てもらうことを提案しています。
私なら、SNSを開設して読者の意見を聞き、改訂していくかもしれません。
また、「売れる書籍」と「中身の優れた原稿」というのは必ずしも一致しません。
売れるかどうかは、ひっきょうマーケティングにかかっていますから、このへんも、(売りたいのなら)一般の人が参入するのは難しいところかもしれません。
たとえば、自分が書籍化したい企画でブログを作り、参照数が多かったヒットブログなら電子書籍化してみる、というのがいいかもしれません。
コメント欄で意見ももらっているわけですから、それを採り入れて編集するのです。
私は、紙の書籍は本職なのでこれまで上梓経験がありますが、本書を呼んだ時点で電子書籍の経験はありませんでした。
しかし、本書によって、その意欲や関心は高まり、10年ぶりの上梓をAmazonKindleで行いました。
KDPについては、Amazonのサイトからヘルプで入ったり、その他ブロガーの解説ページを閲覧したりしても知ることはできますが、実践の手順全体をまとめたものを、必要なときにいつでもパッとページを開けられるようにするために、こうしたリファレンスマニュアルは1冊あった方がいいと思います。
みなさんも、いかがですか。
とくに、ブログを長く続けている方にはおススメします。
以上、『Amazon Kindleダイレクト出版完全ガイド』(いしたにまさき、境祐司、宮崎綾子著、インプレスジャパン)を読んで書籍を出そう、でした。
Amazon Kindleダイレクト出版 完全ガイド 無料ではじめる電子書籍セルフパブリッシング – いしたにまさき, 境 祐司, 宮崎 綾子
保険屋本格派: 新卒の代理店研修生試行錯誤記 (市井アーカイブノベルズ) – 目見薫, 草野直樹
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