ひろゆきさんと三橋貴明さんの徹底討論が話題です。「1人産めば1000万円支給」というひろゆきさんに地動説転向したか?との期待も、よくよく聞いてみるとそうではなかったという展開。それでもじっくり型にはめていく三橋貴明さんの進行があってこそでしょう。
不要なところと必要なとこを見極めてお金を出せという話
【ひろゆき×三橋貴明】徹底討論!1人産めば1,000万円支給せよ? https://t.co/YOrySRwCV6 @YouTubeより
— 石川良直 (@I_yoshinao) May 30, 2021
三橋貴明さんは、ひろゆきさんが、「1人産めば1,000万円支給せよ」と述べたという記事にびっくりして、「いつ緊縮財政派から変わられたんですか?」と、ひろゆきさんに尋ねているところから動画が開始。
一人産めば1000万円支給だったら、1000万円は産んだ母親に支給してほしい。児童手当とか、たいてい父親に支給してるけど、あれはやめてほしいよね。https://t.co/wjozX6a3OE
— レイ???? (@iranaiotto) April 27, 2019
この記事によると、
例えば少子化対策として、「今年中に子どもを産んだら1人につき1000万円支給します」と言ったら、けっこう解決する気がします。子どもを産んだらたくさんお金がもらえるとなったら、おそらく結婚している人たちは頑張りますよね。そうしたら、突然、翌年だけ出生率がドンと増えることになるでしょう。こういう話をすると、すぐに「そんな高額を支給する財源がどこにあるんだ」という反論が出ますよね。でも、すでに社会保障の予算はなくて、年金をどうやって払うのかも見えないまま突き進んでいるので、「10年後どうなるか分からないけれど子どもを産んだら1000万円支給する」というのは、例えば国債をバンバン発行したりすればできるんです。
と述べているので、三橋貴明さんは、そのことを指しています。
それに対して、ひろゆきさんは、「是々非々で、不要なものはお金を使わず、必要なものはお金を使うべきという考え」と答えています。
私が見たところ、ひろゆきさんは、お金を「モノ」として捉える点で、いわゆる主流派経済学の粋を出ていません。
たとえば、2021年1月20日のTBS『グッとラック!』で、「政府のお金って基本的に国民のお金を預かって、国民に戻すので、さっさと配っちゃえばいいと思う」と私見を述べたことは以前ご紹介しました。
その前提において、「必要なもの」にお金を集中させようと言っているだけのことで、財源はまず国債発行でという、いわゆるMMT(現代貨幣理論)に基づく財政出動論というわけではないと思います。
ですから、天動説(主流派経済学)から地動説(MMT)に転向したわけではなく、そんなに驚くような話ではありません。
もちろん、三橋貴明さんはそれをご存知で、あえてひろゆきさんが国債発行を主張していることを強調して、次の議論をしやすくしているわけです。
やっぱり国債は「借金」扱い
ひろゆきさんは、コロナだから財政支出はいいけれども、コロナ以前から日本政府に「借金」はあり、EUのような経済圏に入る場合、財務規律の点で選択肢を失うからまずい、と発言。
それに対して、三橋貴明さんは、日本政府の長期債務残高を提示します。
1970年度と2020年度を比べると、債務は166倍になっていること。政府の国債発行を減らしている国はないし、2020年度は90兆円増えているのにインフレにもならない。逆に何が問題なんですかね、と質問します。
ひろゆきさんは、貨幣価値の違う昔と比べても仕方ない。残高が増えること自体は構わないけれども、歳入に対する借金の割合が問題。
三橋貴明さんは、それはプライマリーバランスを黒字化させる、赤字を縮小させるということかと確認。
ひろゆきさんは、「額」ではなく「割合」と回答します。
三橋貴明さんは、「歳入に対してプライマリーパランスがどのぐらいのパーセントですかってことですか」
ひろゆきさんは、「そうです。国際基準でこれぐらいだったらいいよね、ということだったら問題ない。プライマリーバランスがマイナスになること自体も僕は悪いとは思ってないんですよ。他国に比べて著しく悪いと、経済協定を結びましょうっていう時に、お前の国だめだよと不利な扱いを受ける可能性があるということ。
現状、アメリカは北米と経済圏作り、ヨーロッパヨーロッパで経済系作り、中国はの仲のいい国で経済て作る。日本は人口が下がって、GNPが下がっている状態で多分もう日本独自で経済系は無理だと思う。
昔の80年代とかであれば、日本っていうだけで独自の経済圏できたんですけど、それじゃあもうどっかの経済圏混ぜてくださいよって言わないと多分30~40年後って成立しないので、TPPぐらい入っておいたほうがいいよねっていう段階で、 TPPの中にもうアメリカとか中国も入りましょうみたいな話になってる時に、要はでかい国外した方が牛耳れるわけじゃないですか。それじゃあTPPにアメリカがいました、TPPに中国入ってきましたっていう時に、日本外したが牛耳れるんじゃねっていう時に、借金の割合高いからお前ダメだと言われたら、反論できないですよね。」
三橋貴明さんはこれに対して、ユーロ加盟国というのは共通通貨だが、日本の場合はアメリカやイギリスと同じように独自通貨国。中央銀行が国債を買い取ってしまえば事実上借金ではないと思うんですよね、と答えます。
日本の通貨は受け取りは一切しません?それはない
すると、ひろゆきさんは、EUでユーロ使っている国は確かにユーロを使っているが、EU加盟国でユーロを使ってない国もある。ユーロつかっていなくても追い出さる、と回答。
三橋貴明さんは、借金の取り扱いについて、自国通貨建てで中央銀行が買い取ってしまえば、国の返済義務もなければ利払いも必要ないような「借金」と、実質的に返済しなきゃいけない借金というのを同一視するのは「どうかなと思うんですよ。すでに国債の48.35%を日銀が持っていて、これは返済がいらない。そこをどう思われます?」と押します。
ひろゆきさんは、「じゃあそこが何パーセントまでだったら増やしていいのかという安全圏がない。バブルもそうだが、どの段階でまずくなるかは誰も正解を知らない。日本の国債もじゃあ日銀が100%買い取ります。200%買い取りますと言ったところで、202%でいきなり世界からこの国やべーよって言って、日本の通貨は受け取りは一切しませんでなる可能性があるじゃないですか」
三橋貴明さんは、即座に「それはないと思いますけどね」と回答します。
「株式の価格は当然青天井だから、市場の実勢価格からはるかに跳ね上がることはありますが、国債は上限が決まっています」
ひろゆきさんは「下限の話です。国債受け取らないって話です」と話を遮ります。
ここまで視聴して、なーんだやっぱり、と思いました。
なぜかといえば、手垢にまみれきった、国債の価値論になっているから。
つまり、日本の国債は信用を失う、という、アンチの定番の言い分です。
でも、三橋貴明さんが冷静にそこまで追い込んだとも言えます。
ということで、だいぶ字数がかさんできましたので、このブログでは、高橋英樹さんインタビュー以来となる、「次回に続く」ということにさせていただきます。
以下は、ひろゆきさんの発言シリーズです。
よろしかったら、こちらもご覧ください。
以上、ひろゆきさんと三橋貴明さんの徹底討論が話題です。「1人産めば1000万円支給」というひろゆきさんに地動説転向したか?の期待も、でした。
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