アラサー女性が求める「結婚したい男性」のポイント、という記事が話題になっています。もちろん批判的嘲笑的な意味で。女性にとって、生涯の伴侶の理想は大切です。ただ、そこには『星の王子様』を待望する、旧態依然とした女性の結婚観が見て取れるのです。
旧態依然、むしろタチが悪くなったアラサー女性の結婚観
男女雇用機会均等法ができて、もう30年になるでしょうか。
総合職という社会進出の新しい機会ができ、女性の自立がいわれています。
ドラマも、もっぱら男に傅くか弱い女ではなく、男性と対等、もしくは女性をめぐる複数の男性の三角関係を描いたものまで登場しました。
ですから、令和の女性は、さぞや結婚に対して進歩的な考えをお持ちだろうと思いきや、未だに「婚活」と称して結婚相手を求める営みが行われているようですね。
いやいや、その中身が進歩的なのだろうと思いなおしたところ、昭和時代と基本的には変わりません。
いや、変わらないどころか、「あなた好みの女になりたい」(昭和時代)から、「あなたが私好みになりなさい」(平成・令和時代)という意味で、タチが悪くなっているのかなという疑いもあります。
……というのが、今回話題になっている記事です。
TRILLというサイトの、『ある程度の経済力…アラサー女性が求める結婚したい男性のポイント』というタイトルの記事が、Web掲示板で取り沙汰されています。
どういう記事か。
学生の頃は見た目や運動神経で惹かれていたけれど、アラサーになってくると、相手に求めるポイントが変わってきた。
そこで、アラサー女性が求める「結婚したい男性のポイント」なるものを5つ枚挙、という内容です。
- 安心感を与えてくれる
- 女性問題で不安にさせない
- 家事をきちんとしている
- ある程度の経済力
- なんでも相談できる
詳しい解説は、もと記事をご覧ください。
ある程度の経済力…アラサー女性が求める結婚したい男性のポイント – TRILL [トリル] https://t.co/fhTuy3iL4h #トリル @TRILL_OFFICIALより
— 石川良直 (@I_yoshinao) March 22, 2021
それにしても、なんだろうな、と思いますね。
お姫様気分で、アレもほしい、これもしてくれ、と、おねだりしまくってますね。
一見、アラサー婚活女性の立場に立っているふりをシて、実は笑いものにしているトンデモ記事じゃないですか。
ただマジレスすると、先程、「タチが悪くなっている」と書きましたが、どうしてかというと、要するに、相手に対して「~してほしい」「こうありたい」と望むことばかりで、自分の側からの価値提供がないんですよね。
それで、交渉が成立すると思いますか。
せっかく均等法ができて30年もたっているのに、社会というものを何もわかってないんだな、と思いました。
自分は相手にどんな価値を提供できるのか
たとえば、「人脈」という言葉がありますよね。
それは、異業種交流会で名刺交換しまくって、名刺が溜まればできるものでしょうか。
そうじゃないですよね。
名刺交換や挨拶のレベルで、要するに面識があるだけでは、人脈とは言えないですよね。
人脈といえるのは、相手に自分の価値を感じてもらったときです。
人と関係を築くときって、まず自分が価値を与えることを考えますよね。
価値を与えて与えて、そして相手に信用してもらうんですよね。
商品の「無料お試し」なんていうのも、そういう精神ですよね。
結婚相手も、それと同じではないでしょうか。
いや、生涯連れ添うことを前提とする結婚生活こそ、お互いに価値を感じなかったら成立しないのではないでしょうか。
つまり、「どうしてこの人と暮らしたいのか、連れ添いたいのか」という問いに対し、少なくとも結婚する時点で、回答が自分の中になかったら結婚なんか出来ませんよね。
なのに、このアラサーときたら、その視点が欠落しています。
自分の額面の希望だけを並べ立てて完結した思考停止です。
自分の価値をいかにして相手に届けるか、という話が全く無いですよね。
相手の人と向き合って、お互いの価値観をすり合わせて、どんな人生にしていきたいのか、ということがないと、愛情も信頼関係もわくわけがないでしょう。
当該記事のまとめサイトです。
【社会】アラサー女性が求める「結婚したい男性」のポイント…ある程度の経済力、家事ができる、真面目で安心、何でも相談できる [ボラえもん★]
https://t.co/e582ThxOUy pic.twitter.com/9aEaDlF9GT— 石川良直 (@I_yoshinao) March 22, 2021
主なコメントを抜粋します。
4ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 21:53:07.80ID:6rqUifv80
でこいつは何をしてやれんだよ?7ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 21:53:26.00ID:ie8ujH9A0
女は何を提供できる20ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 21:55:48.91ID:gzRmOaoz0
男にも選ぶ権利があるからw60ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 22:00:40.61ID:0qRxMW/o0
アラサー女性が求める「結婚したい男性」は、わざわざアラサー女性を求めない66ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 22:01:34.20ID:NxzPz2OW0>>87
アラサー女の平均的な意見が聞きたいな
これが平均的な意見なら日本終わりだろ
ちなみに海外の女性が男に求める条件は、全世代で教養が入って来るよ、日本の馬鹿女は何故か誰も言わんけどな170ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 22:14:46.44ID:2YzAvR0n0
要は金とお手伝いさんが欲しいんでしょうか。
そういうのないから、自活してコンシェルジュでも雇ってくださいね。216ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 22:20:12.31ID:fVyB1Uz/0
・子供を大切にしてくれそう
という基準はないのな274ニューノーマルの名無しさん2021/03/21(日) 22:28:19.91ID:I/Cn1W750
ま、男でもこれは同じだな513ニューノーマルの名無しさん2021/03/22(月) 00:58:42.34ID:MIonB+S+0
こういう寄生志向だから30過ぎても結婚できないんだよ
まあ、これらのコメントが全てですね。
私は、この手の話に出できがちな、「高望みするな」なんてことは書きません。
大切な生涯の結婚相手の理想は、無理に下げる必要はありません。
どんどん高望みしてください。
ただし、問題は、望んだ相手に対して、自分がその人といかなる価値観でどう向き合っていくか、ということです。
その視点がないことが、イタイのです。
「私はルックスに自信があるから、ルックスという価値を与えられるわ」
いやいや、たぶん、ルックスが良くてもダメでしょうね。
「美人は3日で飽きる」と言いますし、そもそもそんな「魅力」は加齢とともに失せてしまいます。
……と書くと、「じゃあ男はどうなんだ」という反論もあろうかと思いますが、もちろんこれはお互い様です。
相手にどれだけの価値を提供できるかということは、相手と向き合わなければ成立しないものです。
私の友人で、似たような話があったのでご紹介します。
高校時代の同級生がそうだった
私の元同級生で、東京近郊に豪邸の実家がある人がいます。
貯金は30代で2億円と言っていました。
その人が、30過ぎても満足に女性と付き合ったことがないというので、私はある女性を紹介したのですが、2度目のデートで自然消滅したらしい。
といっても、彼はソノ気があったので、彼がフラられたわけですが。
理由を聞くと、元同級生いわく、「結婚したら実家に住んで欲しい(つまりゆくゆくは親の面倒を見て欲しい)」と言ったらしい。
2回目のデートでそれを言ったのは早すぎたかもしれないと「反省」していましたが、私は回数の問題ではないと思いました。
自分は金と家がある。あんたは良妻賢母、専業主婦としての「安定した」結婚生活が待っている。文句あるかという提案が、よろしくないのです。
「金と家」という価値があっても、と思いますか。
それは、彼が勝手に「価値」だと思いこんでいるだけで、相手にとっての「価値」がそこにあるかどうかはわからないでしょう?
お金は大事かもしれないけど、そんなことよりまず、私とだったらどんな家庭を築きたいか、どうして私なのかが知りたい、と普通は思うんじゃないかな。
でも、彼の提案には、なぜその女性を選ぶのか、という視点、つまり彼にとっての彼女の価値を語っていないですよね。
相手の人間的な固有の価値を求めているのではなく、実家の留守番をして親の面倒をみる独身女性ということを求めているだけです。
配偶者は家政婦じゃないんだからな!
その人が何を求めて結婚したいと思っているのか、相手に寄り添って話を聞いていません。
それもなしに、「僕には金と家がある」と言っても、むしろそれは、「俺はそれだけの資産家なんだから文句ないだろう」という、相手に対する無礼なマウンティングでしかないのです。
「2億の『ハシタ金』と、ド田舎の実家ぐらいで、アタシの人生や結婚観を舐めんなよ」と、彼女が思ったのは想像に難くありません。
元同級生には、もう1人紹介したのですが、「会ってみない?」と話しただけで、見合いの釣書のようなものを出してきたので、それを相手に渡したらその人は会う前に引いてしまいました。
彼の悪い癖で、彼は何度会っても名刺交換をしたがる奴で、また始まったと思いました。
人間づきあいを、額面を表現するツールがないとはじめられない。
それはすなわち、付き合う前にお互いの「格」を、確かめましょうという付き合い方です。
最初から「見合い」ということわりがあるならともかく、そうでないのに、そんなことやられても困りますよね。
だったら、元同級生はそれほど名門一家なのかと思いきや、釣書に書いてあったのは、父、自分、弟とも日大出です、という「自慢」。
もし、その女性が旧帝大だったらどうするんですか。とんだ恥さらしですよ。
そんなものを出さずとも、「裸の自分」でどうして勝負できないんですか。
いや、裸っていっても、フルチンという意味ではないですよ。
ありのままの自分で、相手と向き合ってコミュケーションしろよ、という意味です。
彼は、「女性とのコミュニケーションが苦手だから」と言い訳していましたが、違うんだな。
人とお付き合いするのに、いちいち「格付け」を判断したりさせたりという悪い癖を直さないと、男女に関係なく「愛情」も「友情」も育めません。
まとめ
話を戻します。、
「結婚したい」という自らの欲求があるのなら、相手には自分から価値を提供することです。
そして、相手の思いに寄り添うことです。
「こういう人なら結婚相手に考えてやっても良い」とか、「これだけしてやるんだから文句ないだろう」というふんぞり返った態度では、その中身に関わらず結婚はできないでしょう。
結婚は、相手があって成立することです。
以上、アラサー女性が求める「結婚したい男性」のポイント、という記事が話題になっています。もちろん批判的嘲笑的な意味で、でした。
Photo by Antonino Visalli on Unsplash