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コロナ禍の特別定額給付金を麻生太郎財務大臣は経済活性化に使われず国民の預金は増えたと疑問視もMMTはその前提に反論

コロナ禍の特別定額給付金を麻生太郎財務大臣は経済活性化に使われず国民の預金は増えたと疑問視もMMTはその前提に反論

コロナ禍の特別定額給付金について、麻生太郎財務大臣の発言が物議を醸しています。経済活性化に使われず、国民の預金は増えたと効果を疑問視したのです。その上、預金が増えたからお金に困っている人は少ないと言いますが、MMTの立場からは前提に反論せざるを得ません。

お金に困っていないから貯金になるわけではない

コロナショックで、麻生太郎財務大臣が、一律10万円配布された特別定額給付金の効果を疑問視する発言をしました。


麻生太郎財務大臣が発言したのは10月24日、福岡市で開いた自身の政治資金パーティーの講演で、こう発言したといいます。

「(個人の)現金がなくなって大変だということで、この夏、1人10万円給付というのがコロナ対策の一環としてなされた。(給付金の効果として)当然、貯金は減ると思ったらとんでもない。その分だけ貯金は増えました」
「お金に困っている方の数は少ない。ゼロじゃありませんよ。困っておられる方もいらっしゃいますから。しかし、現実問題として、預金、貯金は増えたのです」

この発言については、自民党支持者も含めて多くの人から反発があったようです。

この発言には、2つのポイントがあります。

  1. 経済を活性化させたかったのに貯金されて活性化に使われなかった
  2. お金に困っている方の数は少ないから貯金になった

「2」については、すでに多くの人が反論しています。

「消費も大切だけど、貯金せざるをえない国民の将来不安にこたえてください」(長野智子)


「本当に「給付金により貯蓄が増えた」というデータがあるなら公表したほうが発言に説得力が生まれるだろうし、たんなる憶測で話しているなら財務大臣としては迂闊に過ぎると思う。」(乙武洋匡)


「ちょっとづつ使うのが庶民」(西村博之)


こうした意見は、「お金に困っている方の数は少ない」から「預金が増えた」、と「考察」した麻生財務大臣に対する的を射た反論といっていいでしょう。

どれも、一理ある意見だと思います。

では、「1」の、経済を動かすために給付したのに、貯めてしまったら本来の目的は果たせない、という言い分はどうでしょうか。

現実に「預金」は、定額給付金の使いみちの2番目に多いといわれています。(一番が生活費充当)

麻生大臣の発言には、預金が増えたことと、給付には意義があることを両立させる反論が必要だ、というのが私の意見です。

西田昌司氏はMMTの立場でこう解説した

MMT(現代貨幣論)の立場は、「国民の預金が増えた? 当たり前だろう。だからどうした。問題はそこじゃないだろう」と、預金が増えること自体を論点としていません。

その主要部分を起こしてみます。

国債発行により予算を出せば、政府の負債残高が増えるけれども、その分 必ず民間の預金残高が増えるんだ、と言ってきました。

これがMMTで我々が言っていることですけれども、要するに政府が赤字国債、建設国債でも同じですけれども、国債発行することによって予算化してお金を出すということは、通貨発行しているということなんですよね。

ですから、その発行した通貨の分、つまりはこの国債の新たに新規発行した分だけのお金が国民側にまわります。

だからそういう意味では、麻生大臣は言われるようにですね。「国民側の預金残高が増えただけじゃないか」

というのは当然なんです。(ただし)それが使われたが使われてないかというのは、ここ(預金残高)には出てこないんですね

といいますのは、もしも12兆円、これ(特別定額給付金)がお金でてますから12兆円分の預金残高が増えます。

それをですね、そのまま預金にしている方ももちろんいるでしょう。しかし大半の方がですね、パソコン買ったり巣ごもりでリモートのためにですね、そういうインターネット機器を買ったりするその消費がものすごく増えたという報道もありましたけれども、使うんですよ。

そういうふうに、お金を10万円もらったものを使います。

使うと、もらった人の預金残高は減りますね。減りますけれどもそれを売った人、その人の預金高当然増えるんですよ。

ですから、経済全体で見るとですね、先ほど言ったように、政府が国債残高を増やした分だけ、民間の方に預金残高、それは個人にいっているか、それを使って、ものを売った法人の方に行っているか、またまた個人同士で回っているか、それはもう、色んな形がありますけれども、答えとしては、民間も預金残高が全体として必ず増えるということなんですね。

給付金を「バラマキ」としか考えられないあなたへ

以上が西田昌司議員の見解です。

つまり、預金残高が増えたこと=消費を刺激しなかった、ということにはならない 、ということです。

麻生太郎財務大臣は、その前提が間違っているのです。

それだけではなく、お金に困っている人が少ないかどうかだって、「預金残高が増えたこと」だけではわからないということです。

ですから、預金残高が増えたことを理由に、給付金をしない理由にはならない、ということです。

しかし、国民の中には、給付金を「バラマキ」ととらえ、それがいずれ増税やインフレにつながると思っている人もいます。

MMTの立場からは、それは間違いということになります。

お金が回らないから企業・商店が立ち行かなくなっているのなら、それをつぶさないようにお金を沢山刷って社会に流す。

もし、それによってお金の価値が著しく変動したら、今度は税金等で調整すればよい、というのがMMTの考え方です。

調整が必要な価値の変動(すなわちインフレ)は、2%といわれています。

今は、インフレとは逆のデフレが問題になっているわけですよね。

そんなときに、給付金の何が問題なんでしょうか。

中には、「世の中は厳しいものなのだから、理由はなんであれ、廃業はそれだけの実力しかなかったと割り切れ」という考え方もあります。

潰れたやつは仕方ない。いちいち世の中が救ってやることはない、という考え方です。

しかし、それによって、その分野の従事者が量質とも衰退し、技術や文化などの発展の機会を失ってしまったら、そのツケはいずれ日本という国そのものの衰退につながっていくでしょう。

バブル崩壊以来の緊縮財政で、日本は出口の見えない(出口のない)「失われた30年」目を迎えました。

もう、これ以上、暗く閉ざされた社会はゴメンだと思いませんか。

以上、コロナ禍の特別定額給付金を麻生太郎財務大臣は経済活性化に使われず国民の預金は増えたと疑問視もMMTはその前提に反論、でした。

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