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医療先進国であるはずの日本が保健所が対応しきれず入院もままならないのは緊縮財政と新自由主義的な「効率主義」のツケである

医療先進国であるはずの日本が、保健所が対応しきれず入院もままならないのは、緊縮財政と新自由主義的な「効率主義」のツケである

医療先進国であるはずの日本が、保健所が対応しきれず入院もままならないのは、緊縮財政と新自由主義的な「効率主義」のツケであると感じた、20日の『NHKスペシャル』。なぜ保健所は戦力拡充できないのか、日本の感染症対策の根本的な問題が見えてきます。

なぜ保健所は戦力を拡充できないのか

もとの情報は、20日に放送されたNHKスペシャル(再放送は後日あります)

『パンデミック 激動の世界(11)▽検証“医療先進国”(前編)』というサブタイトルが付いています。


番組の内容は、こう説明されています。

新型コロナが浮き彫りにしたさまざまな課題に迫るシリーズ。今回はコロナ禍で苦闘を強いられ続ける保健所がテーマ。全国の保健所は徹底した感染経路調査などで感染拡大を早期に抑え込む「防衛線」となってきた。しかしその戦力はあまりに少なく「クラスターつぶし」は各地で継続困難となり社会を止めないと蔓(まん)延を防げない事態に。なぜ戦力拡充できないのか。その真相を探ると、日本の感染症対策の根本的な問題が見えてきた

要するに、コロナ対策として、保健所のマンパワーが限界を超えてしまっている、という話です。

保健所に荷電してもずっとつながらない、PCR検査を受けさせてもらえない、受けられても4、5月は7~10日待たされるなど、経験ありませんか。

番組内では、職員が電話で、ウイルス陽性者の過去の行動を聞き取り調査するのですが、放送されていた保健所では1日40件。

保健所長は、もはや限界にあると判断し、職員は1人1人の足取りを追うのではなく、医療機関や介護施設など聞き取りの対象を絞ることを決めます。

クラスターを防ぐためには、1人1人の足取りを追わなければなりません。

その意味では、苦渋の選択だったと思います。

ネットでは、これをもって「感染しているかもしれない人を追わないコロナ隠し」という声もありますが、そうではなくて、そもそも保健所のマンパワーに限界があったのです。

では、なぜ保健所のマンパワーは不足しているのでしょうか。

「一番の原因は、「保健所法」が1994年制定の「地域保健法」に変わり、全国の保健所が半減されたことにあります。1992年、全国に852カ所あった保健所は、2020年4月現在、469カ所に減らされました」と指摘するのは、亀岡照子さんの寄稿(月刊『住民と自治』 2020年10月号 より)です。


亀岡照子さんによると、大阪市で38年間自治体労働者、保健師として働いてきましたが、「国や大阪府、大阪市が新自由主義の経済効率優先の社会を目指し、公衆衛生や医療を軽視した結果、さまざまな感染症や食中毒事件の被害が拡大」しているといいます。

日本共産党の公式サイトでも、「保健所法の全面改悪で始まったもの」としています。

第五条では、「二次医療圏」という、従来の保健所区域より広い所管区域を設定し、統廃合が進められました。

 改悪前、都道府県の保健所は六百三十一カ所でしたが「二次医療圏」は三百四十二カ所で、無理やりこれにあわせれば半減近い削減となります。政令指定都市・中核市などや特別区の保健所も、厚労省告示で「都道府県の設置する保健所との均衡」を「勘案」するとされました。

 保健所は、憲法二五条が国に義務づけた「公衆衛生の向上及び増進」を担う機関とされ、設置・運営費に国が補助しています。これを削減するのが法改悪のねらいで、自治体は財政的裏づけもなく保健所業務の一部を肩代わりさせられました。保健所にも新業務が追加され、少ない人員で広い地域を担当し、住民密着の業務は困難になっています。この改悪に日本共産党は反対しましたが、スピード審議で強行可決されました。

 保健所の統廃合には自治体・住民の反対が強く、市長に「現行体制維持」と答弁させた横浜市など、運動で存続をかちとった地域もあります。経済の地球規模化などで新種の病原体との遭遇機会も増えているいま、保健所は増設・強化こそが必要で、各地で地域保健法見直しの声が高まっています。(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-10/faq.html より)


わかりやすい解説ですが、残念ながら『しんぶん赤旗』は、少し根拠のない希望に満ちた書き方をするクセがあり、「各地で地域保健法見直しの声が高まっています」が、見直しは行われていない、と書くべきです。

今回コロナ禍で、医療崩壊が盛んに言われましたが、どうして医療技術も病床数もあるのに崩壊するんだ、という向きもあったでしょう。

要するに、コロナに対応できる病床が、1年以上経っても手当できていない、というところに問題があるのです。

病院の数はたくさんあるが、感染症対策ができにくい


西田昌司参議院議員は、配信動画において、病床数について言及したことがあります。

小池百合子知事が言うこととは、もう少し違うところに注力したらどうかと述べています。

東京都の感染者数は300人台ぐらいまで減ってきたと思いますから、問題は病床の使用率です。
この病床の使用率は感染者数が減ってきているから減るはずなんですけれども、そもそも東京都が用意しているですね了病床数が人口のわりにまだまだ少ないということなんですね。
その理由は何なのかというと、京都等の場合、医師会、私立病院協会等、民間の病院等も、お互いフェイストゥフェイスでお付き合いしています。数も東京都のような大きなものではなくて、かなりこじんまりした形になっています。
そこで、病床を確保するために、お互い協力してやろうというのが、まだうまくいっていると思いますが、聴くところによると東京都のような巨大な都市圏で、たくさんの病院、お医者さんもたくさんいると、その中で切磋琢磨で競争原理で次から次へ病院を作ったり、病院を運営されている。その中で、そういう調整がうまくいってないのではないか、と言われていました。
行政が注力しなければならないはその部分。病床を確保するために何ができるのか。東京だけでなく日本全体の問題ですが、ヨーロッパやアメリカに比べて圧倒的に感染者数、重傷者数、死亡者数が桁違いに少ない。それでも緊急事態宣言を出さなければいけないのは、使用できる病床数が少ないからなんですね
病院の数は先進国の中でも圧倒的に多いが、感染症に対応できるだけの病床がない。その理由は、今まで感染症というのは、結核が長い間国民病だったが、ツベルクリン、BCGでかなり少なくなってきた。そこで医療の効率化ということで、感染症、結核のための病院が統廃合されてくる。民間に医療を任せる体質になってくると、かつて国立病院や大学病院等でキャパシティを持っていたものが非効率になる。非効率になると医療費の無駄だと。そこを改善して民間を中心にやってもらうほうが安く済むという考えで、民間病院が大きくなっていった。さころが、今回のようなコロナ禍に対応できない。
その結果、病院の数はたくさんあるが、感染症対策ができにくいというのが、日本の医療現場が逼迫している最大の原因です。

思うに、保健所減らしも、感染症病床の逼迫も、緊縮財政と新自由主義的な「効率主義」のツケが来たような気がしますね。

さすれば、MMT(現代貨幣理論)の立場から言っても財政出動しかありません。

志位和夫日本共産党委員長が、MMT(現代貨幣理論)について「急激なインフレになる可能性がある」として賛成しない旨を表明
志位和夫日本共産党委員長が、MMT(現代貨幣理論)について「急激なインフレになる可能性がある」として賛成しない旨を表明しました。そして、軍事費削れとの持論を展開しましたが、それがコロナ禍の給付金に間に合うのかどうかは発言しませんでした。

それにしても、日本共産党は現状把握や分析は勉強になるのに、どうして結論はずっこけてしまうのでしょうか。

「インフレ」の夢想に怯えてるときじゃないでしょう。

NHKスペシャルの再放送は、6月23日(水)午前0:25です。

以上、医療先進国であるはずの日本が、保健所が対応しきれず入院もままならないのは、緊縮財政と新自由主義的な「効率主義」のツケである、でした。


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