小川満鈴さんの「プロレスは八百長ではなくエンタメ」というブログ記事のスレッドが盛り上がって5chで3スレッド目に入っています。今更の話が行われるのは、日本のプロレスに対する真剣勝負的価値観が根強くあるからです。どうしてそうなったか振り返ります。
「演出」の中から真実を垣間見る
もとの記事は、小川満鈴さんのブログです。
『プロレス×やらせ?×八百長×どうでもいい×自由』というタイトルです。
プロレスについて述べていますが、ま、何を今更というか、マニアからすると他愛ない記事ですが、いわゆる一般の人がプロレスをどう捉えているかはわからないので、たぶん記事に公益性はあるのでしょう。
ちょっと長くなりますが、主要部分を引用します。
当たり前のようにプロレスに対して「八百長」とか「やらせ」と言う人がいます。
まあ、それでいいと思います。そう思うなら「そう」としか言えない。
が、だからこそ私も自由に発言しますと、
じゃあそのように「やらせ」とか言っている人たち、例えばハリウッドの映画で銃を乱射しているの本当だと思っています?
もちろん「演技」「CG」とか「演出」って理解して観ていますよね? そして興奮して楽しんでいますよね?
テレビドラマ、漫画、アニメ、舞台、演劇の恋愛にドキドキして感情移入していますよね?
どうしてそれらには「八百長」「やらせ」とか言わないの?エンタテインメントとして同じですよね?
逆に言えば、それほど「すごい技術」「体力」の総合エンタテインメントだからこそそういった「やらせ」とかの論議にもなるわけです。
という記事です。
プロレス⇒八百長⇒真剣勝負ではないから大したことない、という風評と戦っているわけですね。
まあ、正直細部は突っ込めますけどね。
若い娘の書き物ですから、水を指すつもりもないのですが、プロレスでは凶器で流血するのも、頭から落とすのも本当のこと。
ですから、プロレスの見せ場を「銃を乱射」云々でたとえるのは不適切です。
それに、マニアは演出そのものを楽しんでいるよりは深いですよ。
演出そのものも見ていますが、演出の中にある「本気」や「ホンネ」を垣間見ています。
だから、「アンドレと前田はなんでああなった」とか、「鈴木みのる対アポロ菅原の真相は……」なんて昔の不穏試合を未だに語るのが大好きだし、虚実ないまぜのものだとわかってても、レスラーのインタビュー記事は目を皿のようにして熟読するのです。
「演出」と割り切ってたら、不穏試合の評価も変わってくるし、少なくともそんなにこだわらないでしょう。
小説や映画やドラマも、ストーリー自体は創作でも、ディテールに描かれている真実に心惹かれるのです。
プロレスのマニアックな醍醐味は、そのへんですよね。
この方も、子役出身なら、たぶんわかってくれるでしょう。
ということで、まとめサイトです。
ネット民は、どんな感想をいだいたのでしょうか。
小川満鈴「『プロレスは八百長・ヤラセ』と言う人がいるが(台本のある)映画やドラマと同じエンタメ。セメントで戦ったら10秒で終わりますよ」★2 [ラッコ★]
https://t.co/rkDp7oxlor pic.twitter.com/m6ZPY7nKbJ— 石川良直 (@I_yoshinao) March 26, 2021
主なコメントを引用します。
13名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 19:38:54.07ID:kKVV3IzW0
言い方変えただけじゃねーか20名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 19:46:14.26ID:OGIOHPFH0
うん、そんなのどうでもいいんだ
事前に勝敗が決まってるのか決まってないのか?
そこだから35名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 20:07:40.70ID:irNBImzx0
何を今さら45名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 20:16:07.37ID:2HbUMp8F0
ミスター高橋の全ての試合は事前に勝ち負けが決まっているという暴露本にレスラーが誰も反論しなかった時点で終わったわ
予め勝ち負け決まってるのにいかにも勝ち負けを争ってるように見せかけるって八百長の定義そのものだろ46名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 20:16:37.86ID:VxnSbGoY0
プロレスはファンタジーなのよ
ただプロレスラーの鍛えたものすごい体がプロレスラーの技にリアリティを与えているんだよな55名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 20:27:42.41ID:FuYmUswG0
新宿伊勢丹前でのアントン夫妻襲撃事件は、日本史の教科書に載せるべき凶悪犯罪57名無しさん@恐縮です2021/03/26(金) 20:29:59.83ID:vZdpFVdr0
危険度高い技やギリギリの攻防を興業としてやるなら約束組手的なものになるのは当たり前
マジレスすると、まだ「八百長」と書いている人がいますが、この著者の記事を真面目に読んでいませんね。
それとも、「八百長」という言葉の意味がわからないのかな。
八百長とは、真剣な勝負事と見せかけて、一方が故意に負けるうわべだけの勝負をすること。 なお、「対戦の相手と予め『どちらが勝つのか』を決めている」ならば、『通謀を図る』と表現される。(Wikiより)
試合の流れ、そしてケツを決めるのですから、つまり試合そのものが展開が決まっているのですから、「故意に負ける」もへったくれもないでしょう。
相撲で、相手に星をやるようなものが八百長ですが、たとえは悪いですが、しょっきりで最後のオチで勝負がついたものを八百長と言いますか。
なぜ、八百長と言いたがるかというと、それだけ真剣勝負志向が強くて、その反動なんでしょうね。
では、どうしてプロレスを真剣勝負という観点から捉えたがるのか。
カール・ゴッチが神様扱いされる理由は……
プロレスに対するイメージやあり方は、日本の場合、マスコミに対して絶対的な立場を確立した力道山時代の影響が大きいと思います。
都合の悪いことは箝口令。
逆らったら取材拒否で、プロレスへのツッコミを禁じました。
来日した外国人は、羽田空港で記者会見させました。
いったい、どこの要人だと思っちゃいますよね。
たかが全国ドサ回り巡業で、興行会社に呼ばれた外国人に過ぎません。
そして、コミッショナーとして与党大物政治家をいただき、プロレス中継には一部上場企業にスポンサードさせ、ショーではなくスポーツ中継にすべく、実況は局アナをあてました。
権威付けに余念がなかったわけです。
アメリカでは、実況もプロモーション側の自前ですから、エンターテイメントという作り方がはっきりしている点が全く違います。
これは、正力松太郎、三菱電機、大野伴睦、児玉誉士夫らによって作られた壮大なファンタジーですけどね。
そして、アメリカでレスラーとして通用しなかった力道山は、そのコンプレックスからか、日本では門下生に対し、気まぐれでガチンコをさせました。
ですから、本当に「八百長ではない」側面はあったのです。
今はわかりませんが、力道山時代の門下生が現役だった頃は、前座の若手レスラーは、派手な技を使わないガチンコをさせられたといいます。
それと、女子プロレス、ビューティーペアとかクラッシュギャルズなどがいた全日本女子プロレスですが、こちらもガチンコをやらせることでは定評がありました。
しかも、双方に相手が悪口を言っていたと吹き込んで、真剣勝負と言うより憎しみ合いによる心のデスマッチをやらせていました。
エンターテイメントに徹していたアメリカと違い、そうしたことから、日本のプロレスには虚実ないまぜの真相を知りたいというマニアの欲求が生まれたんでしょうね。
プロレスラーのプロレスの試合ですから、プロレスが巧いかどうかがすべてのはずです。
ところが、ガチンコだったら誰が強いか、なんていう議論が日本のマニアは大好きで、アメリカでは中途半端にしか売れていなかったカール・ゴッチが神様扱いされるのは、そういう理由です。
ま、プロレスの話も始めるときりがありませんが、今回はこの辺にしておきましょう。
以上、日本のプロレスはどうして真剣勝負か否かの視点で見たがるのでしょうか。話題になっている小川満鈴さんの記事から考えます、でした。
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